楽天が爽快ドラッグを買収へ ―― サービス強化し日用品ECの競合に対抗

爽快ドラッグの通販サイト

楽天は10月28日、日用品・健康関連商品ネット販売大手の爽快ドラッグを買収すると発表した。爽快ドラッグの全発行済み株式を、親会社である住友商事などから約89億円で買い取る。楽天では2016年から、商品ジャンルごとの強化を進めており、「楽天市場」内でも知名度の高い爽快ドラッグを子会社化することで、商品価格と配送サービスの競争力を高め、日用品直販事業の売り上げ増を目指す。

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ケンコーコムとの連携も

爽快ドラッグは小林製薬の子会社として設立され、07年に住友商事が買収。16年3月期売上高は、前期比20.6%増の310億8000万円だった。近年は、ベビー関連商品のあかちゃんハウスやペット用品のココロを傘下に収めるなど、日用品以外にも商材を拡大。現在は、日用品通販「爽快ドラッグ」のほか、ベビー関連商品の通販サイト「ネットベビー」、ペット関連用品通販サイト「快適ねこ生活」「快適いぬ生活」などを運営している。
「爽快ドラッグ」は、楽天市場の優秀店舗を表彰する「楽天ショップ・オブ・ザ・イヤー(SOY)」のグランプリを7年連続で受賞していたほか、「ヤフーショッピング」など他社仮想モールでも表彰される有名店舗。また「ネットベビー」も楽天SOYで上位に入るなど知名度が高かった。

株式譲渡は12月となる予定。爽快ドラッグの小森紀昭社長は続投する。その他の役員体制は未定。また、ヤフーなど楽天の競合他社が運営する仮想モールに出店する店舗については、運営を継続する。
楽天では買収の理由について、「生活用品と日用品向けネット販売は成長分野として重要視しており、ジャンル戦略強化の一環」と説明。同ジャンルは価格や配送日数が購入の決め手となることから、サービス強化で売り上げ増につなげる方針だ。
楽天では15年3月、日用品などのネット販売を行うケンコーコムを完全子会社化しており、今後は商品の販売拡充や、物流インフラ・システムの効率化、人材・ネットワーク・データといった経営リソースの最適化といった両社間の連携を進める。
爽快ドラッグはこれまで、各社仮想モール内の有名店舗として売り上げを伸ばしてきたものの、商品によっては届けるまでの日数が遅くなるなど、配送周りが弱点となっていた。楽天子会社となることで、インフラ強化も期待できそうだ。一方、ケンコーコムでも、前期ネット販売事業は赤字となっており、物流コストが利益を圧迫していた。爽快ドラッグとケンコーコムの前期ネット販売売上高を合算すると500億円を大きく超えるため、一定のスケールメリットも期待できそうだ。
楽天では、楽天市場内で実施する「楽天24」での日用品ネット販売事業をケンコーコムが手掛けている。今後の「楽天24」の運営体制については「未定」(広報グループ)としている。

競争激化する日用品EC

日用品ネット販売では、ヤフーの連結対象であるアスクルが運営する「ロハコ」が売り上げを急増させているほか、アマゾンジャパンやヨドバシカメラも注力するなど、価格競争や配送面でのサービス競争が激化している。最近はロハコやヨドバシカメラにおいて、自社配送や短時間配送といったサービスの大幅強化が目立っている。爽快ドラッグ、ケンコーコムともに、配送面では遅れを取っているだけに、両社間の連携を進めながら配送を強化する必要があろう。
ただ、日用品やベビー用品、ペット用品を扱う楽天市場出店店舗にとっては、有力な競合店舗がモールを運営する楽天の子会社となるため、反発がある恐れも。また、取扱商品が似通った2社の価格戦略や商品戦略も変わってきそうだ。
楽天では日用品以外にも、書籍やアパレルでも直販を展開している。楽天では、「直販ありきということはなく、ユーザーにとってどのやり方が一番良いのかジャンルごとに検討している」(山田善久副社長)と説明。特定ジャンルについては、直販を強化することで楽天市場への来訪を促し、モール全体の流通額増につなげる狙いだ。

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