押さえておきたい「LINE」のEC活用法 第1回 【公式アカウント】

LINE リザベーション広告ビジネスプランニングチーム 大島 航 氏

当コーナーでは、国内に6800万人の月間アクティブユーザーを抱える「LINE」の活用法について、LINEの担当者に解説してもらいます。LINE はEC事業者でも使えるサービスを複数提供していますが、この連載では毎回1つのサービスを取りあげます。第1回目は「公式アカウント」です。大手企業を中心に利用が進んでいる公式アカウントですが、その役割だけでなく料金体系はどのようになっているのでしょうか。あるいは運用方法にコツはあるのでしょうか。運用を検討している企業だけでなく、すでにアカウントを持っている担当者にとっても参考になるかもしれません。それではLINE の大島航氏に説明してもらいます。

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そもそも公式アカウントの役割とは?

LINE公式アカウントは、マーケティングファネルで言うところのすべてをカバーするものになります。公式アカウントを開設してからは友だち(フォロワー)の獲得を行いますが、例えば「スポンサードスタンプ」によって一度に数百万人を獲得して認知を広げることもできます。その後メッセージ配信やタイムラインへの投稿によって興味関心を喚起します。そして実際に商品を購入してもらってからは、「LINEビジネスコネクト」などを使ってCRMを行うことも可能です。つまり、入口の顧客獲得から出口のリピートまでをカバーすることが可能です。特定のユーザーに狙いをつけるというのであれば他の媒体でも可能ですが、規模を追求するというところはLINEの強みです。そのため公式アカウントの主な使い方としてはマスでリーチさせている企業様が多いです。

公式アカウントはマスにリーチできる

実際の運用費ってどうなっているの?

費用について説明しますと、まずはアカウント開設時に「エントリープラン」か「エントリー半年・年間契約プラン」かを選択してもらいます。前者の場合は4週間・8週間・12週間の3パターンがあり、後者は6カ月・12カ月の2パターンがあります。この5つの契約期間から選んでいただきます。そして契約期間が終了してさらに継続する場合は「継続プラン」に移行してもらいます。

エントリーの期間をどう捉えるかは企業様によって異なりますが、押さえておいてもらいたいのは継続プランに移行した際の料金テーブルは友だち数に応じて費用が決まります(=右表参照)。友だち数が500万人を超えると月額が据え置きになるため、一部の企業様ではリーチ単価が0.1 円台まで下がるケースもあります。
LINEではブロックをしていないアクティブな友だちを「ターゲットリーチ」と呼んでいますが、その数が仮に100万人いて月に2回メッセージを配信したいということであれば、月額375万円(税別)かかります。このターゲットリーチ数の100万人という数字がどの段階で決まるかと言うと、継続プランに移行する段階の友だち数が反映されます。

継続プランの料金表。ターゲットリーチの数やメッセージ配信数に合わせて料金が変わっていく

公式アカウントを開設しエントリーの段階でスポンサードスタンプを実施すると、獲得できるターゲットリーチ数はおおよそ100万人を超えます。スタンプを実施後すぐに継続プランに移行すると友だちが増加したタイミングであるため、料金が高くなります。
というのも、エントリーの半年・年間プランの場合、初月は日割りですがその後の5カ月or11カ月は月額250万円で、メッセージを月に4回配信できます。継続プランであれば100万人の友だちに4回送るとなると、月額600万円かかりますがエントリープランであれば月額250万円で運用ができるため非常に効率的です。そのためエントリー時には最長の12カ月の年間契約プランが人気です。
ちなみに、エントリープランの4週間は800万円、8週間は1200 万円、12 週間は1000 万円となっており、エントリー時の費用は長い契約ほどお得になるよう設定されています。4週間や8週間などのプランは夏季キャンペーンなど期間限定で使われています。年末年始など季節性の高い商材を扱われる企業様がその時期だけアカウントを開かれることもあります。

実際に開始したい時はどうすれば良いの?

企業様が公式アカウントを始める場合、基本的には広告代理店や当社の営業担当にご連絡いただければ、ご提案に伺います。開設が決まってからはそれほど時間はかかりませんが、公式アカウントの開設は毎週火曜日に3枠が上限になっています。決めていただいた段階で仮押さえをして、3枠が埋まると前後の週でご提案することもあります。週によっては順番待ちもあります。

公式アカウントは年間での契約となると高額な商品ですので、数カ月や長い場合は1年をかけて検討して導入いただくことも少なくありません。投資対効果や運用方法なども事前に何度もお打ち合わせさせていただくこともございますし、そもそも広告商品の中でもスタンプという広告は当社しか手がけていませんので企業様側で他の広告メニューと比較するのが難しいという面もあります。

アカウントを開設していざ運用するとなった場合、開設と同時にスポンサードスタンプを配信する企業様が多いです。スポンサードスタンプは3500万円からと高額ではありますが、一度に数百万人の友だちを獲得できるためリーチ単価で言うと効率は良くなります。
もちろん公式アカウントを運用していても、スポンサードスタンプを使わない企業様はあります。ターゲットとなるユーザーが限られているような場合は、スポンサードスタンプのようなマスにリーチすると逆に効率が悪くなります。そうした企業様は独自に友だちを集めたり、「LINE」内でスタンプを提供する「スタンプショップ」を介さずに自社のスタンプをユーザーに直接告知する「ダイレクトスタンプ」という商品もあります。ほかにもミッションを課す「ミッションスタンプ」やみなし属性に基づき性別などセグメントを区切る「ターゲティングスタンプ」などもあります。スタンプ以外にも「LINEポイント」をフックにして友だち追加をするとポイント付与といったやり方もあります。

ただ、一人あたりの獲得単価で見るとスポンサードスタンプが最も効率は良いです。

メッセージ配信での注意点は?

獲得した友だちにメッセージを配信していくわけですが、メッセージの内容は会社によって異なります。メッセージは3回連続の投稿(吹き出し)までを1つのメッセージとしてカウントしますが、通販系の企業様ですと、1つ目の吹き出しをテキストにして2つ目を訴求するアイテム画像、3つ目を「50%オフ」といった構成が多く見られます。吹き出しごとに内容や訴求ポイントを変えているのです。3つの吹き出しを使えるとはいえ、あまりたくさん投稿すると嫌がられるという判断から企業様によっては1つの吹き出しだけを使い、効果が出ているケースもあります。これはユーザーさんとのコミュニケーションであるため、正解はありません。
仮に月に4回メッセージを配信する場合、配信する時間帯は1回ごとに管理画面で設定できます。しかし、毎回同じ時間帯で配信する企業様も多いです。それが最も効率が良いという考えかもしれません。あるいは同じ時間帯で、それぞれメッセージの内容を変えて効果をテストしている企業様もいらっしゃいます。

メッセージ配信のゴールデンタイムは決まっており、通勤時間帯やお昼休み、あるいは夕方6時頃は混み合います。EC系のアカウントでは他業種と比較して午後6時台に配信する割合が高いです。ユーザーが夜に購入するので、帰宅のタイミングでメッセージを配信して購入につなげる戦略と思われます。そこで他社さんとの兼ね合いで午後6時ちょうどだと混むので、少し時間をずらすという企業様もいらっしゃいます。混み合うタイミングをあえて外してもらうことでCTRが高まる可能性もありますので、そこは工夫のしがいがあるところです。

そもそも、人と人がコミュニケーションしている中に企業のアカウントが友だちとして追加されているので、メッセージもTPOを考えて、その時に必要なオファーを推測することが重要だと考えております。

画面の見せ方はどうなっているの?

メッセージに画像を使うのを「リッチメッセージ」と呼んでいます。決まったフォーマットの中で分割して複数の画像やURLを掲載することができます。このほかにもリッチビデオメッセージで動画を送ることも可能です。テキストだけでなく、リッチメッセージを使ったほうが画像訴求もできるので、企業様は使われています。

公式アカウントの運用であまりうまくいかない企業様に多いのは、バナー広告みたいなものを送っていたり、メッセージで何を訴求するかが練られていないというケースです。逆に配信するコンテンツを工夫している企業様はCTRも高くなっています。やはりユーザーが見て、目を引くかどうかは重要です。
タイムラインの活用も重要です。メッセージがプッシュ型だとすると、タイムラインはプル型です。ユーザーが「いいね」や「コメント」をすると、そのユーザーがつながっている別の友だちにも拡散される仕組みになっています。また、企業の投稿に対してユーザーがスタンプをコメント欄に投稿することも多いです。タイムラインへ月に4回投稿できますが、メッセージとは別にタイムライン用に「いいね」や「コメント」を集めて拡散されるようなコンテンツを投稿するのが効果的なようです。もちろん新商品の情報などを投稿しているケースもあります。公式アカウントを開設いただいた際には、タイムラインも是非使っていただきたいです。

ECで成功しているの?

楽天市場やアマゾンなど大手のECだけでなく、ファッション系ECもうまくいっているケースが目立っています。例えば120万人のターゲットリーチ(アクティブな友だち)がいて、1つのメッセージのCTRが20%という事例もあります。総じてファッション系は他の業種よりもCTRが高い企業様が多いです。ファッション系では、単純に「〇%オフ」というよりも「週末限定」のような“限定感”を訴求すると、タイムリーな情報としてユーザーの目に入りやすいようです。

アカウントの運用で、スタンプだけに頼るとどうしても限界があります。逆に、企業独自の取り組みをやっていると、ブロック率が低くなります。例えばアマゾンさんはユーザーがブラウザで見ていた商品を「LINE」を通じて1 to 1でレコメンドしています。そうした運用のオリジティは大きいです。「LINE」でいろいろな仕掛けを実施すると、スタンプの効果も上がるという好循環もあるので、是非一緒にお取り組みをさせていただきたいと思います。

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