ハウス食品グループ、独自乳酸菌商品発売で拡販強化 ――通販専用サプリ投入でECにも本腰へ

イメージキャラクターとして俳優の鈴木亮平さんを起用して独自乳酸菌「乳酸菌L‒137」 配合の商品を多数、投入して売り上げ拡大を図る(画像はハウス食品のwebサイト)

ハウス食品グループが独自乳酸菌を配合した健康食品の販売に本腰を入れ始めた。同社で独自に培養、生産する免疫賦活力に優れた乳酸菌を配合した乳酸菌関連製品を8月13日から発売した。同商品の拡販のため、EC の展開も強化していく考えで、通販専用サプリメントを展開。同社の通販サイトでの拡販を強化していくほか、インフォマーシャル展開なども実施していく考え。ハウス食品グループでは研究開発に長期間をかけて効果を検証してきた独自の乳酸菌を今後の収益の柱の1つとして戦略的に育成・拡販していく考えで、今後、大規模な広告宣伝を行い、素材認知度を高め、店頭販売や通販などのBtoCチャネルを軸に、メーカーらに機能性素材や飼料添加剤として販売するBtoBチャネルも強化し、乳酸菌関連事業全体で3年後をメドに年間70億円規模の売り上げを目指す考えだ。

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「乳酸菌L‒137」商品を多数投入

サプリメントを通販専用商品として投入。ECサイトを中心にしつつ、インフォマーシ ャルなどでも販売していく(画像は通販サイト「ハウスダイレクト」より)

ハウス食品グループでは子会社で健康食品の製造販売を行うハウスウェルネスフーズが長年研究してきた東南アジアの発酵保存食から発見されたという乳酸菌株から培養した他の乳酸菌よりも免疫賦活効果が高く、風邪や歯周病の予防や改善に効果があるなどのエビデンスを持った「乳酸菌L‒137」を配合した各種製品の販売を開始した。
「まもり高める乳酸菌L‒137」という製品ブランドで、8月13日から通常の食事や飲み物に混ぜて摂取するパウダースティック(税別700 円= 10 本入り、同2000円=30本入り)とヨーグルト風味のドリンク(税込190円=120ml入り)を発売。また9月10日からはゼリータイプ( 同190円=180g)を販売する。加えて、ハウス食品が展開する食品に同乳酸菌を配合した製品も展開。カレールー「まもり高める乳酸菌L‒137 バーモントカレー」やスナック菓子「とんがりコーンスイート塩キャラメル味(乳酸菌入り)」、即席デザート製品「乳酸菌フルーチェイチゴ」、即席めん「うまかっちゃん鶏だしとんこつ(乳酸菌入り)」も8月13日から販売した。

通販専用品、定期販売で15%引きに

これらの製品は店頭販売を軸にハウスウェルネスフーズが運営する通販サイト「ハウスダイレクト」でも販売していくが、これらとは別に通販専用商品として1日1粒を目安に摂取する「まもり高める乳酸菌L‒137 サプリメント」(30粒入り)を同じく8月13日から発売した。価格は税込2700 円。定期販売では最大15%引きで、また初回購入者限定で半額で販売する。同商品は通販サイトで販売していくが、拡販を図るために「今後、インフォマーシャル展開もやっていこうと考えている」(ハウスウェルネスフーズの曽我恒太郎乳酸菌事業部長)としており、乳酸菌関連商品の発売を機に、これまで独自商品が少なく、いまだ年間5億円弱にとどまる自社通販の売り上げ拡大にもつなげたい考えのようだ。

プロモーションに多額の投資を

同社では乳酸菌関連商品の発売にあわせて今後、「(乳酸菌L‒137の)力や効果、エビデンスをお客様に理解頂くため、かなりのマーケティングコストを投下していく」(広浦社長)としており、広告宣伝を強化していく考え。一環として俳優の鈴木亮平さんを「まもり高める乳酸菌L‒137」のイメージキャラクターとして起用。同社の通販サイトやウェブ広告でも鈴木さんを全面に押し出した訴求を行っていくほか、8月13日からはテレビCMの放映も開始している。
競合も多い乳酸菌関連市場に参入した狙いと勝算について広浦社長は「“免疫”をキーとした健康作りという乳酸菌の市場はまだ完全にできあがっていないとみている。現状の乳酸菌市場に参入しそこでシェアをとっていくという考え方ではなく、新しい乳酸菌のマーケットを作っていきたい」とし、今回、新たに展開を開始したBtoC チャネルを中心に、主に海外の健食メーカーなどに向けた機能性素材や国内外の畜水産物の生産者に向けた飼料添加剤としてすでに2011年ころから供給を始めており、現在、3~4億円程度の売り上げとなっているというBtoBチャネルでもさらに拡販を強化し、乳酸菌関連事業全体で2021年3月期には70 億円、2024年3 月期には100億円の年間売り上げを目指したい考えとしている。

【広浦康勝社長&曽我恒太郎乳酸菌事業部長に聞く 乳酸菌事業の勝算とEC の戦略とは?】


シェアを獲るのでなく新しいマーケットを作っていく


独自乳酸菌「乳酸菌L-137」を配合した商品を発売し、ECを含めて様々なチャネルで拡販を強化していくというハウス食品グループ。乳酸菌事業での勝算や通販展開の方向性などについて、ハウス食品グループで健康食品の製造販売を行うハウスウェルネスフーズの広浦康勝社長(写真㊤)と通販事業などを統括する曽我恒太郎乳酸菌事業部長に聞いた。(8月2日に開催した記者説明会での本誌記者を含む報道陣との一問一答から要約・抜粋)

Q:乳酸菌事業はすでに競合も多いと思うが、あえてBtoCに参入する狙いと勝算は。

広浦:「乳酸菌L-137」は免疫賦活力が非常に高い。免疫をキーに健康作りという乳酸菌の市場はまだ完全にはできあがっていないとみています。我々は今ある乳酸菌の市場に参入してそこでシェアを獲っていくという考え方ではなく、新しい乳酸菌のマーケットを作っていきたい。そのために、しっかりと我々の乳酸菌の力、効果をお客様にご理解頂くことにかなりのマーケティングコストを投下する予定です。認知が広まった段階で今度はそれを利用した製品ブランド戦略を広告を中心に訴求していく考えです。

Q:独自乳酸菌を配合した商品展開をこのタイミングで行った理由は。

広浦:1つはエビデンスの確立に時間がかかったことがあります。しっかりと我々の乳酸菌に効果があるという研究を行い、そのことを論文で発表して裏付けもとれたため、発売に踏み切ることにしました。もう1つは、BtoCへの本格展開に向けて、ハウス食品、ハウスウェルネスフーズを含めてかなり幅広い製品(乳酸菌入りのカレールーや即席めんなどの食品やサプリメントなどの健康食品など)を展開したいと考えていたため、製品の開発に少し時間を要してこのタイミングになりました。

Q:乳酸菌製品の通販展開については。

曽我:当社の通販サイト(ハウスダイレクト)で(乳酸菌入りのカレールーなど)色々な製品を販売しますが、通販専用製品としてサプリメントを販売します。今回の乳酸菌事業の中でも通販というチャネルについてはかなり重きを置いてやっていこうと考えています。

Q:現状の通販サイトの売上規模は。

曽我:まだまだ小さく5億円弱程度です。これまで独自アイテムというのがそれほどなく、どちらかというとハウス食品の製品を店頭で買えない方に対して補完していくという形が強かったですが、通販専用商品を含む乳酸菌製品の販売を始めることを機にこれから力を入れて伸ばしていきたいです。なお、乳酸菌商品についてはウェブをメインにはしていきますがインフォマーシャルなどの展開も計画しています。

Q:乳酸菌事業の今の売り上げ規模は。

曽我:乳酸菌事業は実はかなり以前からやっていますが、本格的にビジネスになり始めたのが2011年くらいから。現時点では畜水産の生産者向けに飼料として、また、健康食品メーカー向けに原料として販売しているBtoB分野で事業展開を行っています。まだまだ売上規模は少なく、前年度の実績で3~4億円程度。これからBtoCを開始していくことで拡大し、計画通り、2021年3月期には70億円、2024年3月期に100億円売り上げを目指していきたいです。

Q:乳酸菌事業での売上目標はBtoB(飼料・海外メーカー向け原料販売)、BtoBtoC(国内メーカー向け原料販売)、BtoC(店頭での販売など一般製品)、通販など全チャネル合計の目標額ですが、チャネル別の売上目標を教えてください。

曽我:現在、各チャネルでの売り上げ目標は精査をしているところで明確にはお答えできません。

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