体験レポート:第10回 「“をかし”なスプリングコンサート」

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音による味覚の変化を楽しむ

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  森永製菓の通販専売菓子ブランド「TAICHIROMORINAGA(タイチロウモリナガ)」が4月14日に都内で開催した「音楽とお菓子の〝をかし′′な
スプリングコンサート」に参加した。同イベントは、音による味覚の変化を検証するセミナーと、音楽家による生演奏で構成されている。

 「タイチロウモリナガ」のブランドコンセプトは「お菓子をこえる、『をかし』な体験を。」。味覚だけでなく、聴覚・嗅覚といった五感を駆使しながら、新たな驚きをもたらす体験づくりに注力している。コンサートは2024年12月に続いて2回目の開催。前回は大好評との噂を聞いており、記者本人も楽しみにしていた。

会場では音楽家による生演奏が行われた

 まずは森永製菓のチョコレート菓子「カレ・ド・ショコラ」を使った体験を行った。テンポの異なる2つのメトロノームの音を聴きながら、チョコレートを食べるスピードがどのように変化するかを検証する。同社の小野隆研究所シニアエキスパートによると、「速いテンポでは噛むように食べてしまうが、遅いテンポではゆっくりと味わうことができるのでコクや濃厚感を感じやすい」という。実際、132BPMの速いテンポではチョコレートを噛んでしまい、チョコの風味を存分に感じられなかった。

 さらに、周波数の異なる2つの音を流して味覚の変化を検証。音圧と周波数が反比例する「ピンクノイズ」を基準とし、ここから低音域を強めた音と、高音域を強めた音を流す。低音域をアップさせると、口に含んでいたチョコレートの甘さが強まった。高音域をアップさせた音では、今まで食べたことのないようなチョコレートの味わいに。森永製菓によれば「低音域が強いと甘さを強く感じ、高音域が強いと塩味や酸味を感じやすくなったり、クリーミーに感じたりする」という。

 ゼリー飲料「inゼリーまるで巨峰の食感」を使った実験では、音域や調性をコントロールすると巨峰の風味がどのように変化するかを検証。「中音域・長調・BPM100」「高音域・長調・BPM100」「低音域・短調・BPM40」の3つの音楽を聴き比べながらゼリーを食した。中音域から高音域に切り替わった瞬間、巨峰の風味が一気にフレッシュに感じられた。また、低音域に切り替わると、完熟した濃厚な味わいに変化。この変化は他の来場者にも分かりやすかったようで、流れる音楽が変化するたび、会場から「味が変わった」とどよめきが起こった。

実際に提供された森永製菓の菓子の一部。

 創業当初からの看板商品である「森永ミルクキャラメル」を使った体験では、音楽家オリジナル曲の生演奏に合わせて、キャラメルの味わいがどのように変化するかを確かめた。バイオリンの高音部が際立つ部分は「香り」、チェロの低音部が際立つ部分は「コク」、ピアノ中音部が際立つ部分は「味のキレ」が強く感じられるというが、記者は〝そう言われてみればそうかも′′程度の変化しか感じることができなかった。

 セミナーの第2部は、第1部に続き「カレ・ド・ショコラ」を使った体験を実施。協和音と不協和音のそれぞれに合わせて、味覚の変化を検証した。同社によれば、不協和音を聴くと交感神経が優位になって脳が興奮し、風味が感じにくくなるという。一方で、協和音を聴くと副交感神経が優位になり、鎮静作用が生じて味を感じやすくなるという。

 実際、不協和音を聴いた際には不安感が増し、チョコレートの風味に集中できなかった。試験や大事なイベントの前、緊張するあまりに食事の味が分からなくなる、といった経験は誰でも体験したことがあるだろう。改めて、精神状態が味覚にもたらす影響力の大きさを思い知った。

「タイチロウモリナガ」新製品のクッキーアソート4種。それぞれの食感に合わせた曲が演奏された

 プログラムの最後には、新商品「TAICHIROMORINAGAクッキーセレクションwithCACAO」を使った体験を行った。音楽家たちが奏でる、春にまつわる3曲の音楽に合わせ、テンポの違いや高低音の響きと、クッキーの食感の組み合わせを体験した。リズミカルな「春一番」(キャンディーズ)には、ザクザクとした食感の「アーモンドチョコクッキー」やガリっとした食感の「メープルチョコクッキー」をペアリング。ゆったりとしたメロディーの「春よ来い」(松任谷由実)には優しい食感の「チョコチップサブレ」を合わせ、哀愁を感じさせる旋律が特徴の「桜」(コブクロ)には、桜が散っていくようなホロホロとした食感の「和三盆スノーボール」を合わせた。

 特に「春一番」の際にはテンポに合わせてクッキーを食べる手が止まらず、楽しい気分で味わうことができた。

五感を活用した体験に期待

 普段何気なく食べている菓子も、周囲の音により味わいが大きく左右されるということを体感した。騒音などの環境下では味に集中できない、といったことは容易に想像がつくだろうが、周波数や音の調性により、甘みや塩味といった風味が変化するとまでは思わなかった。

 普段の食事でも、もしかしたら環境が原因で美味しさを損なっている側面があるのかもしれないと思うと、そうした環境づくりにもこだわってみたいと思うきっかけになった。

 「タイチロウモリナガ」は「聴覚に限らず、五感を使った様々な体験を提供していきたい」(同社)という。視覚や嗅覚による味わいの変化も体験してみたいものだ。次の〝をかし′′な体験が待たれる。

目から鱗が落ちる体験度:★★★★☆

 

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