「楽天市場」のチャット有料化を7月に延期 ――アフィリエイト増額分も3カ月分楽天が負担

楽天が運営する仮想モール「楽天市場」では、2018年9月に全店舗へと導入した、チャット機能の無料期間を、19年6月末まで延長する。また、店舗がアフィリエイターに支払う報酬に関しても、一定期間楽天が負担する。同社では「出店店舗に対し、売り上げを伸ばすための変更であるという、当社の意図を周知していくための期間が必要」(EC 広報課)としている。

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チャットはメッセンジャーに刷新

1月に開催された店舗向けイベントで、チャット機能の有効性を説く三木谷浩史社長

楽天が導入したチャット機能「R-Chat」は、ユーザーが商品に対する疑問や店舗に対する要望など、店舗とリアルタイムでやり取りすることができるというもの。同社では、チャット機能を利用したユーザーと未利用ユーザーを比較した場合、前者は購入転換率で8.2ポイント、客単価は74.2%向上するなど成果が出ているとする。

6月には「R-Messe」としてメッセンジャーへの刷新を予定している。現状のチャット機能の場合、担当者がパソコンの前にいない場合など、チャットが発生してもすぐに対応できないことがあることから、ユーザーからメッセージが入った際に、担当者のスマートフォンに通知されるという形に刷新。これで、担当者は外出先などでも対応が可能となる。

4月1日からは、スタンダードプランを利用する店舗からは月額5000 円(100会話以上は1会話につき10円)、がんばれ!プランとエンパワーメントプランを利用する店舗からは同3000円(同)を徴収する予定だった。無料期間を6月30日まで延長することについて、同社では「当社の理想に近い、ユーザーとのコミュニケーション機能が提供できる時期が6月なので、そのタイミングから料金を徴収するのが良いと考えた」(同)と説明している。

また、新たなメールマガジン広告として展開している「カスタマーマーケティング広告」についても、無料期間が3月末で終了する予定だったが、これを4月30日まで延長する。加えて、料金体系についても、1クリックにつき税別100円としていたが、同50円に見直す。

アフィリ報酬額に上限設定

アフィリエイトプログラムについては、現在店舗は一律1%(店舗による変更は可能)を支払っているが、今後は一律の料率ではなく、商品カテゴリーごとに料率を設定。ファッションと食品は8%、日用品は4%、家電・型番商品は2%とすることを18年に発表。アフィリエイターにとって魅力的な料率とすることで、商品紹介を促すのが狙いだ。一方で、ユーザーがアフィリエイトリンクをクリック後、これまでは30日の間に購入すると報酬が発生していたものを、期限を24時間に短縮するとしていた。

4月1日から新プランに移行する予定だったが、同日から6月30日までは現行のルールで運用する。そのため、店舗は成果が発生した場合も1%の報酬を支払う。一方で、アフィリエイターには新ルールを適用するため、差額は楽天が負担することになる。

さらに、1商品あたり1000 円という報酬額の上限を設ける。例えば、2万円の衣料品で成果が発生した場合、8%の料率を適用すると報酬は1600 円だが、実際には1000円となる。一方、2000円の食品を10個販売した場合は、料率通り報酬は1600 円支払われる。

2つのルールが併用されることになるため、「成果速報レポート」については、 5月末まで閲覧できない。「確定成果レポート」と「請求レポート」はこれまで通り閲覧できる。移行期間の店舗への請求については、4月分と5月分を合算して7月に支払いを求める。6月分については、単月分を8月に請求する。

これらのルール変更や無料期間延長について、店舗に対しては3月25日に通知した。同社では現在、全都道府県で店舗を対象としたタウンミーティングを開催しており、ルール変更に関しては「店舗の意見を受けたもの」(EC 広報課)としている。

ただ、公正取引委員会が仮想モールの調査に乗り出していることから、今回の措置はこれを受けた対応との憶測も呼びそうだ。

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