楽天、ドローン使って離島へ商品配送 ―― 横須賀市「猿島」の観光客に食材届ける

リヴィンよこすか店の屋上で専用保冷バッグに入れた商品をドローンに積み 込む

楽天と西友は6月17日、ドローンを使った離島への商品配送サービスを開始すると発表した。神奈川県横須賀市内の「西友 リヴィンよこすか店」から、同市内の観光地である無人島「猿島」に食品などを届けるというもので、7月4日から3カ月間実施する。レジャーを楽しむ観光客をターゲットとしており、同社によれば離島におけるドローンを活用した商用配送サービスは、国内初という。

配送サービスを実施するのは、期間中の木・金・土の3日間で、ドローンは1日最大8便運行する。ユーザーが専用のスマートフォンアプリから注文した商品を、猿島の対岸に位置する「西友 リヴィンよこすか店」の屋上から、に猿島内に設置したドローン着陸ポートに配送する。ユーザーは提示される配送可能時間から受け取り希望時間を選択し、「楽天ペイ(オンライン決済)」で支払いを行うと、注文が完了。配送ステータスはアプリ上で確認できるほか、商品が到着するとアプリにプッシュ通知が届く。配送料は税込500円。なお、雨天や風の強い日はサービスを中止する。

精肉や野菜といったバーベキュー用の食材のほか、酒類、飲料、消耗品、救急用品など、リヴィンよこすか店で扱う400商品が対象。無人島である猿島にはスーパーはなく、バーベキューなどのレジャーを楽しむ際は、自身で食材を持ち込むことになる。買い忘れをした際や食材などを追加したい場合は、買い物をするために1時間に1本運行されているフェリーで往復する必要があり、すぐに手に入れることはできない。

ドローンは島まで片道1.5km を約5分の飛行で商品を届けることができるため、観光客の利便性が格段に高まる。フェリーの発着所やリヴィンよこすか店などでドローン配送サービスを告知し、アプリのダウンロードを促す。

今回のサービスで利用するドローンは、中国・京東集団が開発したもの。楽天ではこれまで、自律制御システム研究所と共同開発したドローンで実験を繰り返してきたが、京東のドローンは機体が大きいことから、最大積載量はこれまでの2kgから5kgに、最長飛行距離は同10kmから16kmへと性能が向上している。酒類や食材などを運ぶことを考慮し、より重い物資が運べる機体を採用した。

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買い物困難者支援も

ドローンが猿島にある着陸ポートに到着

両社では今回のサービスで、ユーザーが求める商品層の把握やドローン配送の運用ノウハウを蓄積し、将来的には同市内で地理的な課題を抱える地域における買い物困難者の救済や、災害支援への貢献を目指す考え。例えば横須賀市においては、丘陵地帯や階段が多い地域で日用品などをドローンで配送し、有事の際には緊急物資の配送を実現したいという。

楽天の安藤公二常務執行役員は「これまで当社では、ラストワンマイル問題について、ドローンを使って改善したいという思いで取り組んできた。今回のサービスは非常に重要なマイルストーンであり、今後はさまざまな物流問題にも貢献していきたい」と述べた。現在、ドローン配送には種々の規制があるが、規制緩和に向けて「政府と協力し、日本が世界に遅れないよう取り組んでいきたい」とした。

また、西友の竹田珠恵執行役員は「今回のサービスは、買い物困難者にドローンを使って(両社で共同運営するネットスーパーサービスである)『楽天西友ネットスーパー』の商品を届けるなど、スーパーの買い物の利便性を高めるための大きな一歩だと考えている」とコメントした。

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