アマゾンジャパン、「購入前にお試し」機能を実装 ――疑似化粧や3D家具での配置確認など

アマゾンジャパンがAR(拡張現実)技術を活用した新機能の実装をモバイルサイトおよびアプリで進めている。家具の3D画像が利用者宅にあたかも配置しているようにレイアウトでき、実際に家具を部屋に置いたイメージをつかみやすくする機能やユーザーの顔の画像にあたかも販売する口紅をつけたように表示する機能など、実際に手に取って試すことができないECのデメリットを解消、購入率のアップにつなげたい狙いのようだ。

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3D家具でレイアウトイメージ掴む

まず5月8日から開始した「ARビュー」は、実際に設置したい場所に商品の3D画像を配置できる機能で2017年から米アマゾンで実装後、昨年には英、仏、独などの欧州各国のアマゾンでも導入しており、日本は7カ国目の導入となる。同社が配信するスマホアプリ「Amazonショッピングアプリ」(iOS版、Android版)に実装したAR)技術を用いた新能で当該アプリ内の家具などの商品の詳細ページの商品画像の下部にある「部屋に表示(ARビュー)」をタップし、起動したスマホのカメラを通じて当該商品を設置したい場所に合わせて画面上の青い円をタップすると、自動的に商品の大きさを調整し、当該商品の原寸大の3D画像を画面上に正しい縮尺で表示する仕組み。配置場所の向きの変更も自由で実際に部屋に商品を設置したように360度、様々な角度から商品を確認できるほか、商品を配置したあとの部屋のイメージなども購入前に確認できる。

スタート時点での「ARビュー」の対応商品は家具を中心に1000点程度で順次拡大していく。

化粧品試せるバーチャルメイク

6月5日から導入したスマホ画面上の利用者の顔に選択した化粧品を使ってあたかもメイクをしているようにみせる「バーチャルメイク」。今後、対象商品を増 やしていく

また、6月5日からは同じく同社のモバイル通販サイトや通販アプリ上でスマートフォンの画面上に映し出された利用者の顔に選択した化粧品を使ってあたかもメイクをしているように見せるAR技術を使った機能「バーチャルメイク」の導入を始めた。

化粧品メーカー、ロレアル子会社のモディフェイスの技術を活用したもので、すでに米アマゾンでは5月中旬からテスト運用を始め、6月5日から本格的に実装を始めており、日本は2カ国目の導入となる。同機能はアマゾンのサイトの化粧品販売ページ上の対象商品の商品詳細ページ内に表示する「メイクしてみる『試す』」をタップし、遷移した「メイク方法を選ぶ」で”疑似メイクを行う顔”について、スマホのカメラで利用者自身の顔を動画で撮影しながら、リアルタイムに疑似メイクを施す「ライブモード」(Android版のみ。iOS版は非対応)か、利用者の顔を写真撮影した画像または事前に撮影されたモデルの顔を使って体験するいずれかの方法を選択後、色や濃さを選ぶとスマホ画面に表示された自身の、またはモデルの顔に疑似メイクが施される仕組み。

「バーチャルメイク」に対応する商品カテゴリーは購入前に色を試したいという要望が特に高いリップカテゴリーから導入。スタート時点では日本ロレアル、資生堂、カネボウ、コーセー、花王の5社が展開する「オーブ」や「ケイト」「メイベリン」「インテグレート」「ソフィーナ」など18ブランド、約890点。今後、対象のカテゴリーやブランドを拡大していくとしている。なお、日本でモディフェイスの技術を導入したバーチャルメイク機能を実装したECサイトは現状、アマゾン以外にはないという。

マシンラーニングで商品提案も

マシンラーニングで利用すればするほど、利用者の 好みを学習して最適な商品を提示する「Discover」

アマゾンジャパンではAR技術を活用した新機能のほか、マシンラーニング(機械学習)の技術を用いて、利用者が選択した商品画像のデザインや柄、形などをもとに、当該利用者のし好に合致した商品を提案する新機能「Discover」を5月21日から導入している。

同機能はモバイルサイトやアプリのほか、PCサイトでも導入した機能で「Discover」の特設ページから、ダイニングテーブルなど欲しい商品のジャンルを選び表示された複数の商品画像に対し、利用者が親指を上げたマーク「いいね」または親指を下げたマーク「ちがうね」をクリック、タップしていくと表示商品が入れ替わり、好みにあったデザインや柄の商品を表示していく仕組みで「欲しい商品」を具体的な商品名などが不明でもイメージだけで検索が可能となるという。

なお、マシンラーニング技術で利用者が利用するたびにより好みの商品を表示できるようになるという。

ARやマシンラーニングなど最技術を活用した機能を実装している通販サイトはアマゾンだけでなく、他のECサイトでも導入が進めつつある。自社のECサイトに有効な機能を見極めつつ、最適な機能を実装することが必要となってきそうだ。

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