楽天「ラクマ」が法人出品に対応――古着・中古ブランド品や産直など販売ットスーパーアプリ刷新し店舗で利用可能に

 

楽天グループと西友は3月10日、西友が運営する「西友」「リヴィン」「サニー」全店舗において、楽天の「楽天ポイント」を軸にしたOMO戦略を4月から本格化すると発表した。楽天子会社の楽 楽天グループでは、運営するフリマアプリ「ラクマ」において、法人が出品できる仕組みを取り入れた。

楽天の松村亮上級執行役員

4月5日、アパレルを中心に、130社以上のリユース事業者や40社以上の国内の並行輸入事業者が出店する「ラクマ公式ショップ」と、農産物や水産物などの取り引きに特化した「産直・こだわり食品」の提供を開始。今年半ばまでには、アパレルブランドと連携したブランド公式のアウトレットやセール品の取り扱いも開始する。

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「循環型モデル」構築へ

 「ラクマ公式ショップ」では、大手リユース事業者や並行輸入事業者が出店し、検品された中古のブランド品やスマートフォン端末、並行輸入品などを扱う。また「産直・こだわり食品」では、食品の生産者や加工業者、卸業者の事業者が出店し、農産物や水産物などを販売する。

 コロナ禍やSDGsの浸透が後押しする形でリユース市場は拡大しており、3兆円市場に成長する見込みだ。同社によれば、中古市場において個人間取引のC2Cは約44%、通販や店舗などB2Cの市場規模は約54%となっており、同社の松村亮上級執行役員は「二次流通市場の成長はフリマの普及だけではなく、事業者が拡大してきた面も大きいので、両者を統合した形で消費者に提供する必要がある」と指摘。「ラクマにおいてC2CとB2Cを統合し、二次流通市場を最大化していく」と、法人出品を強化する狙いを説明した。

 今後は同社が運営する仮想モール「楽天市場」の顧客を取り込むとともに、同モールで購入した商品をラクマに出品するモデルを作ることで、循環を前提とした「サーキュレーション市場」の構築を図る。

ラクマ公式ショップ

流通額は堅調に推移

 ラクマの流通額は非公表だが、2017年の流通額は約1400億円で、堅調に伸びているという。競合となる「メルカリ」では昨年、簡単にネットショップを開設できるプラットフォーム「メルカリShops」を開始している。一方、ラクマ公式ショップに関しては、一定規模の事業者を対象としており、「安心・安全を提供してもらえる事業者と一緒にやっていくのが最大の特徴」(松村上級執行役員)という。

 法人出品を強化することによる、楽天市場との競合については「今までの個人間取引に加え、法人出品が加わることで、ラクマはより魅力的なサービスとなる。場に集まる人が増えれば、個人が出品した商品が買われる可能性も高くなるので、好循環が生まれるのではないか」(同)とした。

 販売手数料は、個人向けでは販売価格の6%となっているが、法人向けに関しては、6%を起点として事業者ごとに決めるという。

 今後の目標に関しては「数字は非公表だが、当社の国内EC流通額は2021年に5兆円を超えており、10兆円を目標にしている。ラクマもその一翼を担っており、2次流通関連の売り上げはラクマを中心に作っていきたい」と意気込みを語った。

事業者は新規獲得を期待

(左から)ティンパンアレイの桜庭邦洋ゼネラルマネージャー、デファクトスタンダードの植松勇人取締役、楽天の松村亮上級執行役員、バリュエンスジャパンの藤本勇人副部長

 発表会では、ラクマ新サービスを利用する、ブランド品や古着のリユース企業担当者も登場。「RAGTAG」のティンパンアレイからECグループ桜庭邦洋ゼネラルマネージャー、「ブランディア」のデファクトスタンダードから植松勇人取締役、「ALLU」のバリュエンスジャパンからALLU推進部藤本勇人副部長、楽天グループからラクマ事業部室井陽子ヴァイスゼネラルマネージャーがそれぞれ登壇し、トークセッションが行われた。

 3社によれば、近年のリユース業界では、顧客との接点の起点が店舗からウェブへと移行しているほか、ファッション好き以外からの需要が増加。コロナ禍を受けた「片付け需要」が高まり、買い取り依頼が増えており、さらにはサステナブル意識の高まりや環境問題を意識した消費行動が浸透しているため、リユース品への抵抗が無くなっているという。

 ラクマの新サービスに参画した理由については「ラクマは利用者が多いフリマアプリなので、多くの消費者と接点が持てると考えた。また、当社のような企業が参画することで、品質管理や真贋チェックといった点で安心感を届けられるのではないか。消費者が安心して古着を買える環境を作りたい」(ティンパンアレイの桜庭ゼネラルマネージャー)、「フリマアプリの浸透は非常に大きく、すでに生活基盤に組み込まれている。そこに参画することで、若年層を中心とした新しい顧客へのアプローチができると考えている」(デファクトスタンダード植松取締役)、「ALLUというブランドはまだ浸透していないので、知名度を高めるためにラクマを活用したい。また、ラクマは若年層が非常に多く、これまでのALLUのターゲット層とは異なるので、取り込んでいきたい」(バリュエンスジャパンの藤本副部長)とした。

ECとの食い合いはなし

 ラクマ公式ショップは、すでに試験販売も実施している。「システム連携がスムーズで、全国の店に並んでいる商品がラクマ上でも全て買えるようになった。また、当社では楽天市場にも出店しており、需要が食い合うのではないかという懸念もあったが、90%以上が『RAGTAG』未利用で、特に20~30代の利用が多く、狙い通りの結果が得られた」(ティンパンアレイの桜庭ゼネラルマネージャー)、「Z世代と呼ばれる若年層はカジュアルなブランドを買うと思っていたが、実際にはハイブランドもかなり買われていた」(デファクトスタンダード植松取締役)、「事業者ならではの安心感は提供できたのではないか。また、自社サイトとは異なる顧客層である20~30代女性を獲得できた点も大きい。質問などのコメントが気軽にできることもあり、購入意識が非常に高い人が多いように感じた」(バリュエンスジャパンの藤本副部長)という。

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