Sun, November 17, 2019

有力ブランド6社が語るECの未来 アパレルEC座談会

服をネットで買うことが珍しくなくなった昨今、有店舗小売り企業はチャネルをまたいで情報や商品を求める消費者ニーズに対応すべく、“オムニチャネル化”に向けて舵を切ろうとしている。一方、ファッションEC専業モールは大手資本の傘下に入ることで知名度や体力強化を図ったり、巨大モールの「ゾゾタウン」はM&Aを加速して関連サービスの拡充を進めるなどウェブ上の売り場も大きく変わろうとしている。そこで、本誌ではネット販売に積極的なアーバンリサーチ、三陽商会、ジュン、TSI EC ストラテジー、ベイクルーズ、アットシェルタのアパレル6社のEC担当者に集まってもらい、各社のオムニチャネル戦略やEC強化に向けた課題、ECモール活用法などについて聞いた。(4月18日、都内で開催)

モール出店は減少傾向も

――この1~2年の間にファッション通販モールの買収が相次ぎましたが、モールの勢力図などを含め現状をどう見ていますか。

坂本 各モールに資本が入り、最終的にはある程度の役割が決まってきていると感じます。EC専業は実店舗が必要になってきますし、実店舗などのチャネルしか持ってない企業はECの仕組みが必要になってきていて、皆が声をそろえてオムニチャネルやO2Oを掲げています。ゾゾさんは別にしても、例えば「セレクトスクエア」を子会社化した高島屋などは相乗効果がでてきているのではないでしょうか。当社は「セレクトスクエア」には出店していませんが、実店舗では高島屋に出店していて、実店舗に来店する消費者に対して通販サイトとの相乗効果は必要になっています。EC専門のモールは限られてきていて、どちらかというと、実店舗に合わせたEC展開が主流になってくると思います。

川添 当社は通販モールに出店しているブランドが少ないので、あまりモールのことは意識していませんが、今後のことを考えると実店舗を持った小売りの通販サイトは存在意義が高まっていくと思います。一方で、実店舗を持たないEC専業がどういう戦略をとるのかにも興味があります。消費者は在庫があるところで買いますので、実店舗のないEC専業がどう対応していくのかに注目しています。

中嶋 各ファッション通販モールは取り扱いブランドも増え、ある程度、飽和状態になってきました。そうなると、早く届くとか、いかに安いかなど、プラットフォームとしての力があるモールに消費者は集まります。昔はどのモールに出店してもある程度は売れましたが、最近は出店しても数字につながらない場合もあって、選別する必要がでてきました。一方で自社通販サイトは、もっと尖っていくというか、モールにはない独自性を出していくことが、さらに大事になっています。

柏木 モールは集客力のあるところが強くなるだけなので、出店する側にとっては分かりやすくなり、訪問者の多いモールに出店していくことは必須です。現状、TSIは他社モールにあまり出店していませんが、今期からはグループのECを統括する会社としてモール出店を推進する側になりましたので、自社サイトと他社ECの役割を分けた上で展開していきます。たくさん実店舗があるブランドと、店舗数が少ないブランドではECの目的も効果も異なります。店舗が多いブランドは、ECが店舗の売り上げを食い始めています。そういうことを前提とすると、多チャンネル化した方が良いブランドは他社モールをメーンに展開すべきですし、ブランド力が高ければ自社ECを強くするという傾向が色濃くなるのではないでしょうか。

村田 ファッションECモールの再編はネットの世界なので、基本的には勝者総取りで、1つか2つになると思います。生き残る企業は総合系か専門系で、それにもれた企業はニッチに行かざるを得ません。昨今のファッション通販モールの買収は、(モール側の)規模が小さいため、あまり意味がないと思っています。買収した企業からすれば時間を買ったということでしょうが、それがインフラにせよ、ECのノウハウにせよ、顧客基盤にせよ、どれくらいの優位性を持つのかは疑問で、ほとんどシナジーはないと思っています。私も今後はモールに売り場を構えないと売り上げがとれないブランドしか出店しなくなると見ています。ブランド力があれば、「ユニクロ」や「無印良品」のように、モールには出店しないわけです。モールに出店する企業は減っていく流れだと思います。

木村 昨今の相次ぐ買収でゾゾさんの寡占状態が少しは変わるかと思いましたが、実際にはそうなっていません。デベロッパーが在庫を持っていない中でオムニチャネルやO2Oを叫んでも
難しいですし、モール自体を専門化するなどしないと、メーカーが求める形にはなりません。

ゾゾのチャレンジを評価

――スタートトゥデイは古着や簡単通販サイト開設サービス、コーディネートアプリなどの事業に乗り出しています。ポテンシャルや事業の方向性をどう見ていますか。

坂本 以前よりは「これやめます」という事案が増えていますが、ファッション通販モールで一人勝ちとも言われる中でチャレンジし続けていることを評価しています。当社のネット売り上げの約6割が「ゾゾタウン」経由ということもあり、ゾゾさんが行うチャレンジに乗っかっていくというか、利用させてもらい、彼らのチャレンジの神髄を感じさせてもらいたいですし、ゾゾさんにも当社を利用してもらえればと思います。

川添 カタログを発刊してみたり、コーディネートアプリの「ウェア」を始めたりとチャレンジをしてみて、失敗だと思ったらすぐやめるというのは非常にネット的な発想ですね。ただ、こうした姿勢は自社通販サイトでも見習うべきだと思います。失敗を恐れて何もしないのでは先に進みませんので。

まだまだ続きますが、この先の座談会は本誌にて。購読はこちら

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