ライブコマース、成功への条件

  • 2021年7月25日
  • 2022年6月24日
  • 特集1
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視聴伸び、売り上げあがるコツとツボとは?

 ライブコマースを行うEC実施企業が増えている。生配信というある意味で最も優れたコミュニケーション方法の1つをECに上手に活用することができれば商品の購入を大きく後押しする効果的なツールとなる。しかし、現状、その利点を生かしきれず、成果をなかなかあげらないケースも散見される。ライブコマースの成功のためのコツ、抑えねばなれないツボとは何なのか。効果を最大化させるために日々、ライブコマースに挑むEC実施事業者の事例をもとに使いこなすための条件を探る。

インフルエンサー起用して実施

通販専門放送を行うジュピターショップチャンネル(JSC)は女性向けの動画メディアを運営するCChannel(シーチャンネル)と組んで4月30日からライブコマース「コレイヨ」を開始している。テレビ通販では獲得しにくい20、30代の世代を獲得すべくシーチャンネルが運営する動画メディア「CChannel」およびママ向け動画メディア「mamatas(ママタス)」の公式インスタグラム上でライブ動画を配信する形で実施。ライブ動画にはターゲットである20~40代の世代に影響力を持つ各分野で活躍するインフルエンサーを進行役に起用して、JSC側が抱える仕入れ先の中から、シーチャンネルの動画メディアのユーザー層に合致する商品を選定して、1~2商品を毎回、紹介していく形。紹介商品のメーカーの担当者らとともに当該商品を使ったデモンストレーションを行ない、特徴などを説明、訴求するもの。紹介商品はインスタから「コレイヨ」の専用サイトに誘導し、購入を促す。

ショップチャンネルとシーチャンネルが
組んで行うライブコマース「コレイヨ」

 初回の4月30日は「ママタス」ではインフルエンサーの山内渚さんが段ボールを捨てるまで自宅でコンパクトに収納できる「移動が楽らく段ボールストッカー」と不要になったカーペットなどを廃棄する際などに切断でき、ごみの処分費用を減らすことなどができる「多目的廃棄物ノコギリ」を、「CChannel」ではインスタグラマーのhico(ひーこ)さんが小型美容シェーバー「チョイソリーナ」を紹介した。5月19日には「CChannel」および「ママタス」のインスタグラムでそれぞれインフルエンサーの三ツ石佳央莉さん、おかもとまりさんが洗顔ブラシ、キャンプや災害時に使用できるポータブルシャワー「シャワーバッグ」などを紹介するなど、4人のインフルエンサーによって週1回のペースでその後もライブコマースを行なっている。

成果を上げるポイントとは?

 ライブコマースの成果はどうなのか。「まだまだ試行錯誤をしている段階」(同社)とする一方で「売り上げ自体はテレビ通販と比べれば、十分ではないが、今のところ、及第点というところ」とする。

 「テレビ通販のやり方をそのまま使えないが、購買意欲を喚起するという方法自体は一定程度、ライブコマースでも通用するのではないか」(同社)とする。

 同社によると、ライブコマースを行なう上でのポイントは「商品選定」「商品説明の熱量」「効果的なデモンストレーション」の3つだ。

 まず商品については、前提としてライブや動画で説明することで、そのものの価値が増大するものでなければならないという。トレンドや希少性、開発背景、価格設定などを含めて「今、この瞬間の買う理由のある商品」を紹介できるよう販売する商品を選定しているという。

 次に出演者の熱量。出演者が動画内で商品を紹介する際に、事前に用意された原稿を読み上げるだけのような感じで商品を紹介しても「絶対に売れない」という。「コレイヨ」で紹介する商品は、インフルエンサーを交えて決める。複数の候補商品をインフルエンサーに一カ月程度、事前に実際に使ってもらい、自身が良さを感じない商品や売りたくない商品を省くというプロセスを踏んでいる。「インフルエンサーが実際に気にいった商品でないと、(ライブコマース内で)『本当におすすめだよ』という熱量が出てこない。この熱量がなければ説得力が生まれない」(同社)とする。

 また、デモンストレーションの方法も重要だという。化粧品で言えば、使用前と使用後を見せるなど、使ったことによってどう変化が生まれるかを分かりやすく見せることができるか否かが売れ行きを大きく左右するという。こうした演出の部分はテレビ通販番組でのノウハウをライブコマースにおいても生かすことができるという。

 ただし、ライブコマースではテレビ通販にはないユーザーからの「コメント」がリアルタイプに表示されるため、これに対応した演出もポイントになる。例えば、「MとLで迷っています」「ネイビーと黒、どちらがよいか」といったサイズや色選びに関する悩みや疑問点についてのコメントについて、「進行スケジュールがおしても、即時に応えることを優先している」という。途中から視聴を始めるユーザーがテレビ以上に多いため、何度か説明した特徴であっても繰り返して、デモを行なったり、説明するということが実は大きな効果があるという。

映像制作、集客面を試行錯誤

 今後もより効果的なライブコマースのやり方を模索する。

 例えば6月に配信したヘアアイロンのライブコマースでは「CChannel」の公式インスタグラム上とは別に、出演するインフルエンサーの公式インスタグラムでも当該ライブコマース動画を画面を上下に分割して配信するコラボ配信を実施している。これはインフルエンサーのフォロワーに直接、視聴してもらい、視聴数増や購入率を高めるための試みで、成果次第では同様の展開を今後も行っていきたい考えだが、分割画面でいかに分かりやすい映像を制作していくのか。また、コラボ配信の場合、撮影にはカメラを使えず、スマホでの撮影となってしまうことから映像制作の面で制約を受けることもあり、その中でどう映像を作っていけるかなど、インフルエンサーや商品によって手法を変えながら、試行錯誤していく考えだ。

 また、「ライブコマースの難しさはたまたま視聴したユーザーにごく短い商品説明動画で特徴を理解してもらって購入まで至ってもらうこと」として、ライブコマースの実施前にライブコマースで紹介する商品の露出や話題を高めるために、出演者とは別のインフルエンサーによるPR施策や、ライブコマース終了後に、当該映像を活用してSNS広告を出稿したりと集客強化に取り組み、ライブコマースで紹介した商品の売り上げを最大化する施策を進めていく考えだ。

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