通販新聞社セミナー・ダイジェスト版【フェイスブックのEC活用】 

【2011年4月号】本誌姉妹紙の「通販新聞」は2011年3月3日、セミナーを都内で開催した。昨今注目が集まる世界最大のSNSに焦点を当て「フェイスブックのEC活用」がテーマ。アパレルブランドのファンページで27万人を超えるファンを獲得しているエスワンオーの佐藤俊介氏、ファンページ構築・運用を手がけるメンバーズから原裕氏、フェイスブック内でのネット販売支援パッケージを展開する桜丘製作所の宮坂友大氏──の3人を講師に招いて、フェイスブックやソーシャルメディアの活用方法などについて語ってもらった。セミナーの様子をダイジェスト版でレポートする。

第1部 

エスワンオー・佐藤俊介氏 

Facebookに使われず使うには』 

 

エスワンオーの佐藤氏

 我々は「satisfaction guaranteed(サティスファクション・ギャランティード、以下sg)」というアパレルブランドのファンページを運営していますが、現在(11年3月3日時点)27万人以上のファンを抱えています。1日あたり1100人か1200人程度で増えています。そういう意味で、ブランドを皆さんに作っていただいたというのが正しい表現ではないかと思っています。

 フェイスブック、ツイッター、ブログ、ホームページなどいろいろなメディアを使用していますが、各メディアの使い分けに苦戦しておられる方も結構いらっしゃるんじゃないかと思います。やはりツールというのは、分析をしないと何に良いかというのが分かりません。よく言われるのが、フェイスブックとHPを1つにまとめれば良いのではという意見がありますが、私は反対です。

 というのも、HPは唯一自分の言いたいことを言える場所です。一方、ソーシャルメディアは自分の言いたいことばかりを言えるわけではない。特にフェイスブックでは、企業メッセージやPRを発信し過ぎると、コミュニケーションではなくて一方通行になってしまいます。フェイスブックの場合は一方通行であってはならないです。相手のコメントやレスポンスが見えるので、一方通行だけは絶対に禁止です。

 実はソーシャルメディアの中でも比較的一方通行しやすいのがツイッターです。ツイッターの場合はコミュニケーションというよりも、情報に帰属している面が強いです。つまり有益な情報を発信しない限り、誰もフォローしないという分かりやすいものです。

 逆にフェイスブックは、有益な情報がなくても「これはいい」と思うと気軽に「いいね!」ボタンを押します。そこでユーザーは有益な情報を求めているわけではありません。そういう意味で言うと、フェイスブックよりもツイッターでフォロワーを増やすほうがよっぽど難しいです。

 このようにツイッターでは有益な情報を発信する必要がありますが、我々のようなファッションブランドには有益な情報などそんなにありません。そのため、ツイッターで何をやっているかというと、「本日のオープンは10時からです」とか「今日は新しい商品が入荷しました」とか、「本日は急遽、閉店させていただきます」とか、要するに今伝えないといけないことを発信しています。一方通行ではありますが、「sg」へのモチベーションが高い人には有益な情報になり得ます。

 一方、フェイスブックで行っているのは、コミュニケーションとブランディングです。27万人のファンがいると、1回ファンページにコメントを書くとたくさんの人が見てくれます。

 フェイスブックではアイコンの横にコメントが出るのですが、コメントする度にブランドのロゴを毎回見てくれます。これは非常に貴重なことで、毎日コメントを投稿すると365日ブランドロゴをアピールできます。そのため、フェイスブックのアイコンはすごく重要です。コメントする度に見らますから。

 ブログのメリットは「さかのぼれる」という点です。例えば、「3日前の僕のツイッターのつぶやきを見てください」と言われても、すごく面倒くさいです。リアルタイム性のあるソーシャルメディアで3日前のことを見るのは探すだけでも大変です。

 一方で、「3日前のブログを見てください」と言うと、簡単に見れます。時間をさかのぼってでも伝えたいメッセージはブログに残すべきですね。このように各メディアで明確に使い分けが可能です。そのためにはそれぞれの役割を正しく理解することが必要になります。

フェイスブックでモノを買おう

 ファンはあくまでも見込み客であり、カスタマーではありません。ファンをどうカスタマーにするかが重要となります。今までは購入者のほか、会員登録やメルマガ登録をしたユーザー以外の行動は何も宣言されなかったため全く分かりませんでした。ところが、従来の宣言されなかった層まで可視化されるようになったことがフェイスブックの革命です。

 さて、今日ここにいらっしゃる皆さんは、比較的ソーシャルメディアやフェイスブックというもののリテラシーが高い方々だと思いますが、そんな皆さんの中でもフェイスブックでモノを買った人はゼロ人じゃないでしょうか。つまり何で売れないんだろうと考える前に、そもそも誰も買っていないわけです。

 私もよく講演で言わせてもらうのですが、是非、フェイスブックでモノを買ってみましょう。誰かが買わないとつながっていきません。逆に言うと、つながりやすくてすぐに広がっていくツールでありますから、是非フェイスブックでモノを買ったということを広めていきましょう。誰も買ったことがない場所でモノを売ろうというのは本来、不可解な発想なはずですから。

第2部

メンバーズ・原裕氏

Are you ready for social commerce marketing era ?

メンバーズの原氏

 ソーシャルコマースという言葉が使われてからかなり経ちましたが、ソーシャルコマースの定義は使う人により異なります。

 今日は、こういう定義でやりたいと思います。つまり「シーシャルメディアを活用して、売り上げや申し込みなどのコンバージョンを上げること」。我々としてはECで売り上げを出すということだけでなく、店舗への送客を含めて店舗の売り上げを上げることも視野に入れて考えています。

 実際、アメリカではいろいろと事例が出てきており、恐らくグルーポンなどもソーシャルコマースと呼べると思います。新しい言葉であれば「f-commerce」というものがあり、フェイスブック上でコマースをやっています。例えばP&Gでは「パンパース」のファンページが、ほぼECサイトのようになっています。購入から決済までファンページ内ですべて完結する仕組みですが、裏側のシステムはアマゾンのエンジンを使っています。

 ソーシャルコマースというのは、先ほど申し上げたとおり、ソーシャルメディアを使ってコンバージョンを上げることなので、これといった決まったパターンはないのですが、P&Gの取り組みなどはソーシャルコマースの1つと言っていいと思います。

フェイスブックジャパンの現状

 フェイスブックの機能で凄いと思ったのは、現在、当社のファン数が946人いるわけですが、その友達の数を合わせると全部で7万1980人以上にもなるということです。我々のファンは1000人に満たないのに、いつも後ろにいる7万人にもコミュニケーションを取っていることになります。

 我々がいいコンテンツやいいものを出せば、ファンの何人かが後ろの友達たちに情報を語ってくれるのです。我々が直接語りかけるよりは、友人からレコメンドされる方がいい。そこがフェイスブックコミュニケーションの良いところだと思います。

 11年2月27日現在、フェイスブックの日本でのアクティブユーザー数は255万3660人。その内訳は、1月は映画公開などがあった関係で女性も多く男女比率は半々でした。しかし、今では6割弱が男性となっています。また、年齢層は25歳以上の人が約75%で、これがミクシィの場合は、おそらく25歳以下の人が多くなると思います。これは企業がフェイスブックとミクシィを使い分ける上での1つの材料になります。

 ファン数については、各企業がフェイスブックをやりだすと「絶対に増やさなくてはいけない」という脅迫観念にかられます。必ずしも絶対ではないのですが、一応、定点的な指標として捉えてもらえたらと思います。

 なぜ今日本でフェイスブックをやらなくてはいけないのか。決してフェイスブックだけの話ではなく、SNSを活用した「これからのコミュニケーション」。これが今後重要になってくるので、今から知見を蓄積するという意味でも早めにやり始めてみてはどうでしょうかという話です。メリットとしては、くちコミのもとになっている「情報先進層」に対してマーケティングを行うことで、情報が広がっていくことです。そしてフェイスブック自体は無料です。

良品計画はセールでファンを獲得

 弊社のクライアントさんは、大抵がフェイスブックを始める以前からツイッターやブログを持っています。それらを含めて、どのように形成していくのかをお話したいと思います。ケーススタディが一番分かりやすいので、まずは「無印(良品計画)」さんの事例について説明します。

 同社のファンは、何もインセンティブがなくても色々と投稿してくれています。例えば、以前発売したクリスマスケーキキットを使った料理の写真などを募集すると、あっという間に200~300件の投稿が来ます。元々のブランド力が非常に高い企業と言えます。

 フェイスブックは運用が非常に重要なのは言うまでもないのですが、同社も細かい施策を行っています。専用のアプリケーションづくりや、フェイスブックのファン限定でアウトレット商品のタイムセールなど。11年の1月6日に約4時間行ったところ、かなりの集客があり、その前後に2000人程度の新たなファンが増えたそうです。

競合より先に知見を貯める

 くちコミといものが元々重要なメディアだということは、昔からマーケティングの世界で言われていたことです。それを最大化、可視化する仕組みがフェイスブックです。そして、意識しなくてはいけないのが、ソーシャルメディアやソーシャルコマースがすべてではなくて、サーチエンジンフレンドリーとソーシャルメディアフレンドリーの両方が重要だということです。

 自社におけるソーシャルコマースモデルの検討は、やはり始めたほうがいいでしょう。「やる」「やらないか」という検討だけでも始めるべきです。先ほどの事例のように少し先に始めることによって、競合よりも知見を貯めることができます。どんどん変わっていっていることを吸収できるということにトライしてください。

第3部

桜丘製作所・宮坂友大氏

Facebook展開時の注意点と実務運営』

 

桜丘製作所の宮坂氏

 フェイスブックの展開で結局行きつくところは、「いいね!」をいかに集めるか。つまり、いかにファンを集めるかという話です。当社で運営する「フェイスブックジャパンインサイド」という媒体で見ますと、世界のランキングではコカコーラで2300万人、スターバックス2000万人くらいファンを抱えています。このファンを抱えることによって、顧客にアプローチにできる状態が生まれます。

 ファンをどうやって増やすかというと、よく言われるのが「広告を打つ」とか「自社の中のコンテンツをとりあえず入れる」とかがあります。しかし、もっとシンプルに考えて、コアとなるファンをいかに捕まえるかということだと考えています。

 自社のブランドが非常に有名なところであれば、何もしなくてもページを作っただけで大きい波及効果があります。ですが注意しなくてはいけないのが、中小で国内向けのみの企業の場合です。国内のフェイスブックユーザーはおよそ200数十万人と規模がまだ少ない。ですから、既存のユーザーベースを使いつついかにコアを集めるかということが重要になってきます。コアが集まらないとノンコアファンの方にはいけない。まずコアファンを使って、横のノンコアファンを獲得しつつ、購入のラインまでいかにつなげていくか。あるいは登録や申し込みなど、コンバージョンに結びつけていけるかということが肝心なのです。

競合との比較が重要

 自分の中で仮説検証をすることはものすごく重要なのですが、競合他社との比較も必要です。「フェイスブックジャパンインサイド」で提供している、国内外の業界別のファン数のランキングというものがあります。自分のいる業界をカテゴリーですぐ見られるので見てください。そこで、最初にベンチマークにする企業を数社決めてください。そうすると、「週間」「月間」「半年」という形でグラフ化されて出てきます。

 どこかのタイミングでファンの増加率が高くなっているポイントが分かります。そこのタイミングで、その会社のウォールの内容やコミュニケーションのあとを追ってみてください。そうすると何か理油があって増えているはずですから。もしなければ、本サイトからの流入が増えたか、広告を増やしたかということになるわけですが。日時で見る必要はないのかもしれませんが、月に1、2回程度見て、何をやってどのくらい増えたのかが分かります。

 また、フェイスブックをぜひ始める前に思い起こしていただきたいのですが、自分がいる業界、持っている商品やサービス、あとブランドの威力、小売りであれば自分たちの特徴、モールであればカバーしている商品点数や商品領域を改めて考えて見てください。自分たちの“売り”は何であったかを考えてページの構成をしてみてください。結局フェイスブックを展開して何を目的にしているのか。実購買なのか、Eメールの取得なのか、ファンを増やすことか、PRなのか、コミュニケーションをとって商品を企画したりフィードバックをもらうことなのか。具体的な目的はいろいろあると思いますので、まず目標設定からしてください。

 そして具体的な定量的な効果もイメージしてください。例えば自分のページでは1カ月後にファンを1000人、1万人獲得するというようなことです。月に10件、100件売りたいということでも構いません。とにかく、始めるとファンの反応率というものが分かります。

 ゼロスタートでこのタイミングからやるよりも、成功ノウハウを立てた上で一気に参入すべきでしょう。フェイスブックは、やること自体が非常に勉強になります。今までカスタマースタッフなどに任せきりで、直接顧客とやってこなかった通販企業などは、顧客と対面してみるとかなりの「気づき」があります。(コミュニケーションを通じて)お客さんがなかなか喜んでくれないといった悩みでも、商品開発や販売時の意識改革につながるのでメリットになります。

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