【2010年11月号】先行のギルト追撃へ、各社”次の一手”
ブランド品の会員制通販サイトが日本に入ってきて約1年半が経過し、一定の市場を構築しつつある。招待制かつ期間限定で、一流ブランドを格安でネット販売するビジネスモデルは“フラッシュセール”とも呼ばれ、購買意欲の高い30代の働く女性を中心に広まっているようだ。
このフラッシュセールは、日本には米ギルト・グループが持ち込んだが、元々はフランスで誕生したと言われている。同国では、実店舗でブランド品をセール販売できる時期が法令で定められており、その間に売り切れなかった在庫を消化する手段として、一部の顧客をネット上に招待して販売したのが最初らしい。言わば、ネット上のファミリーセールだ。
この販売手法が時流に乗った。リーマンショック以降、不況の影響で在庫過多に苦しむブランドから、高級なイメージを損なわずに在庫を消化でき、しかも素早く現金化できる手法として重宝がられた。
欧米ではフラッシュセールサイトを運営する企業の売上高は右肩上がりで、ギルトの本国では今年、年商が500億円に迫る勢いで急拡大しているという。また、日本でも今年3月にサイトを開設した「ブランズ・フォー・フレンズ」(B4F)のドイツ本国では開始2年目で年商100億円を超えた。
そんなフラッシュセールも、最近では、在庫処分の場としてだけでなく、 ブランドの認知度向上や新規顧客を開拓する販売チャネルとして活用されているようで、「日本でも5年以内に2000億円規模の市場に拡大する」(B4F)との試算もある。
実際、有名バッグブランドの代表者も、「もはやブランドのロゴだけでは売れない。ネットを介した買い物体験がブランドの新しい価値を生み出す時代になった」として、彼らを後押しする。
外資のフラッシュセールサイトが日本で一定の市場を獲得しつつあるのは、日本進出までに海外で構築してきたブランドとの関係や会員の獲得策、サイトの構築やバックヤード体制など、ネット販売に必要な要素を移植して実践しているからだ。
一方で、日本の市場に合わせて変更した部分もある。例えば、新規セールの開始時間。欧米では、職場でも昼休みなどを利用してネットショッピングを楽しむ消費者は多いが、日本ではそうはいかない。会社勤めのOLが自宅に戻って一息つける夜の8~9時にスタートしている。
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