音楽之友社 付録超えた独自商品開発

 出版社の音楽之友社が運営する通販サイト「オントモショップ」(=画像)は、GMOペパボが提供する通販サイト構築サービス「カラーミーショップ」を利用した優秀サイトを表彰する「カラーミーショップ大賞2020」において、「アマゾンペイ賞」を受賞した。

 音楽之友社でネットショップを担当する鳥羽隆行氏は、「当社は創業から80周年を迎える。老舗出版社として、新型コロナで大変な時期だからこそ、音楽の灯火を消してはいけないと思っているし、受賞できたのは意義あること。音楽や芸術でユーザーに楽しみを与えられるショップでありたい」と受賞の喜びを語った。

 同社では『音楽の友』『ステレオ』といったオーディオ関連の月刊誌を発行している。出版不況が業績を直撃する中で、新たな収益源として見出したのが物販だ。スピーカーやアンプといったオーディオ機材を、オーディオ専門誌『ステレオ』の付録とする試みを開始。ただ、雑誌は期限が過ぎると返本される。「付録はきれいなままなのに、雑誌は汚れているということが多々あった。それならば付録を自社で売ればいいのではないか」(鳥羽氏)と考え、通販サイトの運営に乗り出した。

 2016年からネット販売を開始。「カラーミーショップ」を選んだ理由について、鳥羽氏は「ダウンロード販売に対応している点が大きい。当社ではピアノ教本なども販売しており、音楽データが販売できる。また、使いやすさやセキュリティー面でも安心できると感じた」と説明する。

 現在は、オリジナルのオーディオ機材も通販サイトで販売、売り上げは好調に推移している。雑誌の執筆者とのコラボレーション商品など「雑誌の付録とするには高すぎるが、ニーズはあるのではないかという独創的な商品を開発している」(同)という。例えば、ラックスマン製の真空管ハーモナイザー・キット「LXV―OT6 mkⅡ」(価格は税別3万7000円)は、こうした上位版商品の第2弾として発売された。第1弾の購入者向けにアンケートを実施したところ、同社ムックの付録として人気だった「真空管ハーモナイザー・キット」の上位版を要望する声が多かったことから、ラックスマン社とのコラボ商品が生まれた。

 アマゾンのID決済サービス「アマゾンペイ」に関しては17年に導入。クレジットカード決済と同じくらいの割合で利用されているなど、利用割合が高いことが受賞の決め手になったようだ。「カード番号入力やコンビニエンスストアでの支払いといった手間がなく、使い勝手が良い点が評価され、多くの顧客に使われているのではないか」(同)。

 『音楽の友』に毎月自社広告を出していることもあり、顧客は雑誌からの流入が8割程度という。ただ、SNSなどでの情報発信も強化しており、今後は新規客の取り込みに力を入れる。鳥羽氏は「月商1億円を目指し、他のネットショップとのコラボ企画なども進めたい」と意欲的に語る。

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