【2011年5月号】
半数以上のユーザーがスマートフォンでの買い物に満足している――? アイ・エム・ジェイ子会社のIMJモバイルは3月29日、「スマートフォンユーザーのECサイト利用実態調査」を発表した。それによると、スマートフォンで閲覧する通販サイトについて、アンケートに回答したユーザーのうち半数以上が、多少の不満は持ちつつも「満足」していることが分かった。「画像の見やすさ」や「ズームのしやすさ」「文章の読みやすさ」など、多くの商品情報が得られることが支持される要因となったようだ。一方、「読み込みの遅さ」や「複数サイトの比較の難しさ」など、スマートフォンがPCに比べて劣っている点が「不満」との回答も出た。
今後、スマートフォンはより普及が進み、いずれは従来のフィーチャーフォンの出荷数を抜くことがほぼ確実と見られているだけに、ネット販売事業者は何らかのスマートフォン対応を行うことが不可欠だろう。スマートフォン経由の利用を拡大するためには、いかに前述のような「不満」を改善し、ユーザーの「満足」を伸ばせるか、その辺りが重要なポイントとなりそうだ。
購入商品はPC同様「書籍」がトップ
同調査は同社が3月9日~10日の2日間、スマートフォンの通販サイト利用について、20~49歳のスマートフォンでの商品購入経験者を対象に実施したもの。1030人から有効回答を得ている。
調査では、まずスマートフォンで閲覧する通販サイトの満足度について質問。「満足」「やや満足」と回答した数は50.9%と半数をやや上回った。満足している点は「画像が見やすい」「ズームがしやすい」「文章が読みやすい」など。不満点としては、「1ページの情報量が少ない」「複数サイトを使った商品比較がしづらい」などで、端末の性質としてPCに劣る部分が「弱点」として挙げられたようだ。制限のある中でいかに見やすく情報量の多いサイトを構築するか――それがスマートフォン用のサイトを立ち上げるうえで最重要課題となりそうだ。
購入商品ジャンルについては、PC同様に「書籍・CD・DVD」(56.7%)が最多だった。次に大きく落ちて「PC関連・AV機器・家電」(30.1%)、「食品・飲料・酒類」(29.4%)が続く。以下は「チケット・航空券」(26.0%)、「衣料品・下着」(23.0%)という結果で、多く購入される商品ジャンルはおおむねPCと同じ傾向が見られ、デバイスによる違いなどはあまりないもよう。
ただ、スマートフォンではもっとも購入率の低い「家具・インテリア」(9.5%)が、PCサイトでは44.9%と高いという結果も。要因としては、購入に際して多くの商品画像を閲覧する必要があることや、携帯端末の小さい画面ではサイズ感が把握しづらいことなどが考えられそうだ。
「今後も利用」が85%に
スマートフォンで閲覧したい通販サイトの仕様については、「スマートフォン専用サイト」が48.7%、「PCサイト」が33.0%という結果となっており、多くのユーザーが「スマートフォン専用サイト」を利用したい意向が読み取れる。スマートフォン用にサイト画面を最適化する試みは、ネット販売実施企業では楽天やドクターシーラボ、ゴールドウインなどがすでに始めており、今後も「アプリ」の構築と並ぶ「スマートフォン対策」の2大戦略のひとつとして多くの企業が着手すると見られる。傾向としては、まずはユーザーを逃さないために使いやすくサイトを最適化したのち時間をかけて「アプリ」を構築する、などの流れが多いようだ。そうした意味でも、スマートフォンでのネット販売の利用促進を図るために最適化は欠かせない一手と言えるだろう。
「スマートフォンで今後もECサイトを利用したいか」については、「利用したい」「やや利用したい」が合計で84.9%にのぼる結果に。多くのユーザーがスマートフォンでの商品購入に積極的な姿勢でいることがわかった。
今後、スマートフォンによる通販利用をより拡大するためには、前述したような課題を改善していくことに加え、タッチパネルの利点やスクロールのしやすさなど、「スマートフォンならでは」な部分をいかに上手く活用したサイトを構築できるかが重要になりそう。数年後はスマートフォンが携帯電話のほぼ大半を占めると予想されており、そうすると、これまでPCでサイトを閲覧していた層の何割かがスマートフォンでの閲覧にシフトすることも考えられる。スマートフォン対策が、今後の各社のネット販売の浮沈を左右することになるかもしれない。
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