有力EC実施企業に聞いた!ーー2022年のネット販売市場の行方は?

  • 2022年1月25日
  • 2022年3月24日
  • 特集1

新型コロナウイルスに翻弄された2021年が終わり、いまだコロナの収束が見えない中で幕を開けた2022年。今年のEC市場はどうなっていくのだろうか。本誌姉妹紙の週刊通販新聞で実施した通販・EC実施事業者各社へのアンケート調査の結果をもとに、2022年の市場の行方、足元の景気動向、コロナが与える影響などEC市場のこれからを展望していく。

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2022年のEC市場はどうなる?

「市場拡大する」と7割超が回答コロナ機に通販・EC定着で

通販新聞社は2021年12月、通販・EC実施企業約600社を対象に、2022年以降の通販市場の予想、景況感についてのアンケート調査を行った。その結果、「拡大する」と回答した企業の割合は73%にのぼった。コロナ禍を機に増えた通販利用者が定着し、今後も市場全体の規模拡大に寄与するとの見方のほか、通販に取り組む事業者が増えたことで市場にも好影響をもたらすのではとの回答が目立った。一方、足元の消費動向では先行き不透明な状況などから「横ばい」とする回答が半数を占めた。

 アンケートではまず、「2022年以降の通販市場について、どのように予想していますか」と質問し、「拡大する」「横ばい」「縮小する」の3つの選択肢の中から選んでもらった。その結果、有効回答数のうち、「拡大する」と回答した企業は73%を占めた。「横ばい」は24%で「縮小する」は3%だった
(グラフ1参照)。

新規参入増などで「拡大」

 「拡大する」と回答した事業者の多くはコロナ禍で通販利用が定着したことや新規に通販に取り組む企業の増加などにより市場は今後も拡大していくとの見方だった。

  • 「コロナによって通信販売の利便性・安全性が評価され、それは今後も一定は定着すると想定される」(ジュピターショップチャンネル)
  • 「コロナ禍により生活者の購買行動としての通販利用が定着してきたため」(千趣会)
  • 「通販での購入に抵抗感がなくなってきており、品質、品ぞろえ、利便性などメリットが実感されてきていると感じられ引き続き拡大傾向は続くと考えられる」(タキイ種苗)
  • 「EC会員が拡大、お客様の実店舗に出向かず通販を利用する購買行動が定着化すると考えている」(JALUX)「新型コロナウイルス感染症の拡大により、ECの購買行動のハードルは下がり、マーケット全体の裾野が広がったと捉えているため」(オイシックス・ラ・大地)
  • 「通販での購入が一般的になったことで、利用者の絶対数が増えたことにより市場全体は拡大を続けると思う」(レミントン)
  • 「コロナ禍でお店に行かなくても、通販でお家でも商品が買える利便性がかなり周知された。生活様式も変化したように、個人のライフスタイルに合わせた購買行動が継続すると考えられる」(日本生活協同組合連合会)
  • 「コロナ禍が沈静化したとしてもその利便性の高さから顧客離れが起きるとは考えにくいため拡大傾向は続くと予想している。欧米諸国のEC化率と比較しても日本市場の成長の余地はまだ十分にあると考える」(田中貴金属ジュエリー)
  • 「コロナによる通販利用は広がっており、業界自体が伸びている。コロナ終息の目途はいまだたたないため、この傾向はまだ続くと考える」(GSTV)
  • 「新型コロナウイルス感染症拡大の影響による新しい生活様式の常態化で巣ごもり需要の増加およびスマホ・SNS使用率の増加による通販利用が定着する状況下で市場は拡大していくと予想」(ハーバー研究所)

などの回答が多かった。 また、

  • 「コロナ禍の拡大で通販の利用が定着し、利便性もあることから、今まで通販を行っていなかった新規の会社も増えさらに拡大する」(てまひま堂)
  • 「コロナの状況が回復したとしてもECの利便性になれたユーザーの生活様式が全て戻るとは考え難い。また、メーカー側もモールや自社サイトでのEC販売を強化している最中であるため、特にECは伸長すると考えている」(ゴルフダイジェスト・オンライン)
  • 「新規参入者が依然多いから」(世田谷自然食品)

などコロナ禍を機に通販に取り組む企業が増加したことが市場拡大に寄与するなどの見方もあった。さらに、

  • 「長引くコロナ禍における先行き不透明な状況ではあるがデジタルシフトは継続し、持続的な成長を維持する」(マガシーク)
  • 「デジタルシフトはまだまだ進むと考えられるため」(バロックジャパンリミテッド)
  • 「EC化率は毎年継続して伸長しているため、コロナ禍ほどの伸び率は落ち着いても継続して拡大していくと考えられる」(エクスプライス)
  • 「新型コロナウイルス感染症拡大を機にEC化が加速したため」(アスクル)
  • 「ネット通販の拡大」(マルハニチロ)

などさらなるデジタルシフトやそれらに伴うEC化率の増加を挙げる意見もあった。 このほか、

  • 「短期では巣ごもり需要の縮小と通販利用客増加が起きる想定だが、中長期においては拡大する可能性が高い」(ベルーナ)
  • 「ECの定着と参入企業の増加。決済・物流の寡占化によるスケールメリットの享受」(ベルネージュダイレクト)
  • 「アフターコロナへシフトし、店舗利用者の回復はあるが相互利用が加速し通販シェアは高まる」(ダイドーフォワード)
  • 「BASEやメルカリなど個人のショップ展開など、サービスが増えているため」(CROOZSHOPLIST)
  • 「通販業界全体の売上が微増しているから」(山田養蜂場)
  • 「新型コロナは一定の落ち着きを見せてはいるが、コロナ化によって増えた通販需要が続くことや動画サービスによるアニメ視聴が増加しホビー市場への関心が増進しているとみられるため。世界市場においてもコロナ禍でコンテナや配送サービスの制限など課題は残るが、円安であることも越境販売においては有利に働くとみられる」(大網)。

といった意見もあった

コロナ収束で通販特需見込めず

 「横ばい」と予測した事業者の意見で目立ったのは、通販の利用増は継続するもののコロナの収束により、消費者の行動や買い物手段も多様化するなどで一昨年、昨年ほどの伸びは見込めないのではないかとの見方だ。

  • 「外出時間が増え、店舗での購入が増加すると予測。通販についてはコロナ禍での特需がおさまり、通常に戻ると予測」(ヒラキ)
  • 「買い物をする際の選択肢が、コロナ禍においてはネット>リアルだったのが、ネットもリアルも同等に選択肢に入るようになるため、横ばいになるかと思う」(プラグイン)
  • 「コロナが落ち着けば、消費者の意識は一気に旅行や人との関わる欲求に向かい、通販消費に下降圧が掛かると見ている。一方でSNSや動画を介した通販体験は伸びてくると思われるが、下降圧を払拭するほどの規模感には満たないと思われる」(エー・ビー・シーメディアコム)
  • 「ワクチン接種の普及によりコロナが収束に向かい、店頭での需要が回復傾向となり、巣ごもり需要による消費がやや減少する。これまで拡大傾向ながらも一時的には横ばいになる」(アイム)

など。このほか、

  • 「新型コロナウイルス感染予防のため、通販市場の需要はあるが消費力が増えるかは疑問がある。購買力低下の不安もある」(ちゅら花)
  • 「企業の好不調の二極化が進み、結果としては横ばいとなる」(ユナイテッドアローズ)
  • 「(コロナが収束した場合)冷え込んでいた実店舗での買い物への回帰が生じるものと思われ、一時的には通販市場は横ばい期を迎えるものと捉えている。ただし通販市場の縮小はなく、その利便性の高さから拡大基調は続くと捉えている」(ファンケル)

などの意見もあった。

 なお、「縮小する」と予測した事業者の回答では「2021年度のコロナ特需がいつまでも続くか分からないため」(ロッピングライフ)など回答があった。

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