消費者庁、アフィリエイト広告規制へ――広告主への執行強化、管理指針策定も

 消費者庁は今年1月、「アフィリエイト広告」に関する規制の方策をまとめた。アフィリエイト広告は、アフィリエイターなど第三者が作成したものになるが、広告主である販売者にその管理の強化を求め、景品表示法の執行においては内容に関する責任も基本的に広告主に求める。悪質な広告主の取締りは、特定商取引法との連携も強化していく。景表法に定めのある表示管理義務はこれまで、企業における「社内体制の整備」に関するものが中心だった。今後は、加えて「外部委託の広告」に関する管理指針を追加し、広告主の管理責任を強める。

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規制対象拡大は見送り

 消費者庁は21年6月から今年1月にかけて「アフィリエイト広告等に関する検討会」で検討を重ねてきた。アフィリエイト広告は、広告主、アフィリエイト・サービス・プロバイダ(ASP)や広告代理店など仲介者、アフィリエイターの3者の提携により広告が出稿される。このため、不適切な表示が行われていても、中には「アフィリエイターが勝手に行ったこと」などと責任逃れをする広告主が存在。問題のある表示が氾濫するようになっていた。

 報告書では、広告の責任は、一義的に商品の供給者である広告主求めるとする。検討会では、景表法の規制対象が「商品の供給者(供給主体者)」である広告主に限定されていることから、その解釈拡大など〝何人規制〟を念頭においた規制対象の範囲拡大も検討されていた。ただ、事業者やアフィリエイター等への委縮効果が大きいことから慎重な検討が必要として見送られている。景表法の「法解釈」の観点からは、基本的にASPや広告代理店、アフィリエイターは規制の対象外になる。

 一方、「事実認定」の面では、これら関係者が広告主と一体となって事業を行うなど供給主体と認められる場合は景表法を適用する。

 また、実質的な指示役を担う個人に対して広告業務禁止命令を行うなど、特商法とも連携して法執行を行う。〝何人規制〟を行う健康増進法、薬機法の活用、消費者安全法に基づく公表・注意喚起など現行法による重畳的規制を視野に入れる。

アフィリエイト広告は掲載までに広告主、代理店、ASP、アフィリエイターなど複数の関係者が絡む

広告内容の定期的なパトロール要請

 広告主の管理義務については、すでに第26条に「事業者が講ずべき表示の管理上の措置」で既定され、これに基づく指針がある。景表法の課徴金納付命令は、事業者が相応の注意を払っていた場合は免除されることになっており、指針はその判断基準の一つになっている。今回、新たに「外部委託」の指針を定め、指導、勧告・公表等の運用を積極的に行う。指針の改訂については、「今夏をめどに策定する」(表示対策課)としている。

 指針では、アフィリエイト広告等について、「表示内容の確認」、「表示の根拠に関する資料保管」、「表示管理担当者の設置」、「苦情・相談窓口の設置」、「広告である旨の明示」等の事項を定める。

 表示内容の確認は、アフィリエイターとの契約における不当表示を行わない旨の取決め、出稿前・後の内容確認を求める。販売実績のあるアフィリエイターを重点的に確認するなど個別事情を勘案した方法の検討を求める。

 広告データを含む根拠資料の保管は、広告主のみで対応が困難な場合、契約条項等でアフィリエイターにデータ保管を求めたり、保管期間を定めることを想定する。法執行では、再発防止の観点から広告の「保管命令」を行うことも検討する。

広告である旨」も明示へ

 また、「広告である旨の明示」は、消費者が認識できる文言や文字の大きさ、掲載場所を求める。具体的に記載を求める内容は、すでに行う事業者の実態を把握した上で、庁内で検討。「報酬を得ている旨」等も示す可能性がある。契約面でもアフィリエイターに表示義務として規定し、従わない場合に契約を解除するなどの対応で表示適正化を図るべきとする。

 報告書は、今回の対応後も問題行為が多数発生する場合、法改正を含む責任主体の見直しを検討することも触れたている。

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