auCL、5時間のライブコマース番組放送――吉本とのコラボ後1年間で視聴者倍増

 auコマース&ライフ(auCL)は2月23日、仮想モール「auPAYマーケット」アプリ内のサービス「ライブTV」において、吉本興業のお笑い芸人が商品を紹介するライブコマース番組「生配信!よしもと市場」開始から1周年を記念して、5時間の生配信を実施した。

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「三太郎の日」は視聴者増

 同番組は、実演販売士が同モールで販売している商品を紹介し、吉本興業の芸人たちが商品を体感した感想を視聴者に伝えるというコンセプトで毎週放送している。昨年3月に行われた第1回の放送から1周年を迎えたことを記念し、毎月「3の付く日」に行う「三太郎の日」にあわせて、2月23日に特番『「生配信!よしもと市場」1周年記念大感謝祭5時間ぶっ通し生配信!』を放送。アインシュタイン、レイザーラモン、トレンディエンジェル、ニューヨーク、ジャングルポケットらの芸人がお笑いライブを行った。特典として、ライブ中にしか取得できない割引クーポンを配布。また、家電を芸人たちが体感してプレゼンを行い、自宅で使用しているシーンの動画も公開した。その他、吉本興業ではコミュニティサイト「FANYID」会員限定で、番組配信中に発表するキーワードを確認して応募するキャンペーンも用意した。

 2月8日に都内で行われた記者会見では、auCLの八津川博史社長が「ライブコマース事業の視聴者は(1年間で)倍を超える成長を遂げている。笑顔や笑い声を交えた買い物体験が、買い物のそもそもの原点としての楽しみと同期しているのではないか。新しいコマース体験を世の中にどんどん提供していきたい」とあいさつ。さらに「Eコマースは検索して、ポチっと購入ボタンを押して終わりというのが当たり前になっているが、店員と話したり、友達と相談したりというコミュニケーションが買い物の原体験。(ライブコマースは)インターネットという仮想空間ながらも、コロナ禍だからこそ、楽しみながら視聴者に笑顔を届けられているのではないか」とした。特に三太郎の日の限定クーポンは配布枚数が上限に達することが多く、三太郎の日にあわせて番組を視聴するユーザーが増えているという。

 また、よしもとセールスプロモーションの山地克明取締役は「吉本興業は地方創生に力を入れており、地方の名産品などを販売できれば、より日本全国が楽しくなるのではないか」と述べた。

記者会見で登壇したauCLの八津川博史社長

 記者会見には、同番組に出演する吉本興業の芸人も登場。ライブコマースの魅力や出演した感想について「リアルタイムに視聴者とコメントをやりとりできるので、買う人にやさしいというか、買いやすいコンテンツではないか」(アインシュタインの河井ゆずるさん)、「おふざけがすぎて(食べ物の)味を伝えられないときは、容赦なくコメントで突っ込みが入るので、メリハリをつけている」(同稲田直樹さん)、「商品が来てリアクションしてコメントを読んでと、お笑いライブに近いノリで自由に楽しくやっている」(ニューヨークの屋敷裕政さん)、「生のワチャワチャ感が楽しい」(同嶋佐和也さん)とコメントした。

八津川社長(前列中央)と番組に出演する吉本興業のお笑い芸人

仮想モールが本腰か

 auCLでは近年、ライブコマースを強化しており、2021年12月の本誌取材において、八津川社長は「思いのほか視聴者数が積み上がってきており、少しずつ市民権を得てきているように思う。吉本興業とコラボレーションした取り組みを行っているが、継続して取り組んでいるという部分も大きいのではないか」と述べた。また、商品を購入してもらうための工夫としては
「ライブ配信中の購入だけではなく、アーカイブ配信からの購入も重要になってくる。そのため、配信で紹介された商品のページにアーカイブへのリンクを張れるようにしている。静的な画像・テキストよりも圧倒的な情報量があるので、購入に関しても右肩上がりで伸びている」としていた。

 auCLでは近年、ライブコマースを強化しており、2021年12月の本誌取材において、八津川社長は「思いのほか視聴者数が積み上がってきており、少しずつ市民権を得てきているように思う。吉本興業とコラボレーションした取り組みを行っているが、継続して取り組んでいるという部分も大きいのではないか」と述べた。また、商品を購入してもらうための工夫としては
「ライブ配信中の購入だけではなく、アーカイブ配信からの購入も重要になってくる。そのため、配信で紹介された商品のページにアーカイブへのリンクを張れるようにしている。静的な画像・テキストよりも圧倒的な情報量があるので、購入に関しても右肩上がりで伸びている」としていた。

 21年11月には、出店店舗がスマートフォンやパソコンでユーザーとリアルタイムでコミュニケーションを取りながら、商品の魅力や特徴を伝えることできる「ライブ配信機能」の提供を開始。店舗自らが出品している商品をリアルタイムで紹介・販売を可能とするもので、「美容や化粧品のカテゴリーは親和性が高いので、店舗からの問い合わせはかなり来ている」(八津川社長)という。

ショッピングアプリ内にライブコマースコーナーを設けている

 また、楽天グループでも21年11月、「楽天市場」出店店舗向けサービスとして、各店舗ページにおけるライブ動画配信機能の提供を開始。

 店舗は各店舗ページにおいて、最大90分間のライブ動画配信による商品紹介・販売が可能となり、写真や商品説明文では伝えきれなかった商品の特徴や魅力を、動画で訴求できるようになる。また、楽天市場内で開催する「楽天スーパーセール」や「お買い物マラソン」、季節のイベントなどと連動し、各店舗のライブ配信を紹介するページ「楽天市場ショッピングチャンネル」で最大30分間のライブ動画配信をすることもできる。ユーザーは、パソコンやスマートフォンから配信動画を視聴し、リアルタイムでコメントや商品に関する質問を投稿するなど、出店店舗や動画出演者と双方向でのコミュニケーションを取りながら、商品を検討し、購入できるようになる。またライブ配信中には、視聴者限定の特典が提供されることもある。

 同社の三木谷浩史社長は、22年1月に開催された出店者向けイベント「楽天新春カンファレンス」において「(ライブコマースは)中国はもちろん、アメリカでも4兆円のマーケットになっており、日本でも普及していくだろう」とし、今後ライブコマースに注力していく考えを示した。

 本誌姉妹誌「通販新聞」が21年12月に実施した読者向けアンケートでは、ライブコマースに関して「EC売り上げに大きく影響する施策であるため、販売員の新たな活躍の場としても期待」、「新規獲得への影響が大きい動向として捉えている」、「現段階では活用できていないが、中国での成功事例などを聞くと、今後、日本でも必ずライブコマースの時代が来ると思う。その波が来た時にきちんと乗れる準備をしておきたい」、「ライブコマースを含め、動画による通販拡大はマストと考えている。通販を行う場面が机に向かってというよりも通勤時間、就寝前に寝ころびながらというような隙間の時間が多いこともあり、デバイスは圧倒的にスマホにシフト。かつ縦型という変化は発信側が避けて通れないリソースの変更でもある」などといった声が出ていた。

 数年前から注目を集めていながらも視聴者数が期待されたほど伸びず、「日本では普及しないのではないか」といった声もあったライブコマース。コロナ禍を経て消費者のマインドが変わり、事業者の意欲が高まるとともに、仮想モールが本腰を入れ始めたことで、いよいよ普及が進む1年となるかもしれない。

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