楽天、西友とのOMO戦略強化――ネットスーパーアプリ刷新し店舗で利用可能に

 

楽天グループと西友は3月10日、西友が運営する「西友」「リヴィン」「サニー」全店舗において、楽天の「楽天ポイント」を軸にしたOMO戦略を4月から本格化すると発表した。楽天子会社の楽天ペイメント楽天Edy、楽天カードも含めた5社。西友店舗に楽天の「楽天ポイント」を導入するほか、ネットスーパーのアプリを店舗でも使えるようにする。両社では、共同運営するネットスーパーの売上高を、3年で倍増の1000億円まで増やす計画だ。

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24年売上高は1000億円に

 同番組は、実演販売士が同モールで販売している商品を紹介し、吉本興業の芸人たちが商品を体感した感想を視聴者に伝えるというコンセプトで毎週放送している。昨年3月に行われた第1回の放送から1周年を迎えたことを記念し、毎月「3の付く日」に行う「三太郎の日」にあわせて、2月23日に特番『「生配信!よしもと市場」1周年記念大感謝祭5時間ぶっ通し生配信!』を放送。アインシュタイン、レイザーラモン、トレンディエンジェル、ニューヨーク、ジャングルポケットらの芸人がお笑いライブを行った。特典として、ライブ中にしか取得できない割引クーポンを配布。また、家電を芸人たちが体感してプレゼンを行い、自宅で使用しているシーンの動画も公開した。その他、吉本興業ではコミュニティサイト「FANYID」会員限定で、番組配信中に発表するキーワードを確認して応募するキャンペーンも用意した。

 4月1日より、「楽天カード」としてはスーパーマーケット業界との初の取り組みとなる、クレジットカード機能付きオリジナルデザインカード「楽天カード西友デザイン」を発行する。これにより、同カードに付帯する電子マネー「楽天Edy」も、西友などの全店舗で利用が可能となる。

 4月26日には、「楽天西友ネットスーパー」アプリに店舗でも使える機能を追加し、「楽天西友アプリ」に刷新する。新アプリにおいては、楽天西友ネットスーパーと、共通ポイントサービス「楽天ポイントカード」、スマートフォン決済サービス「楽天ペイ(アプリ決済)」の各機能も盛り込み、ネットスーパーでも店舗でも使えるアプリとする。また、同日からは楽天ポイントカードが西友グループの全店舗で利用できるようにする。

 両社では2018年から「楽天西友ネットスーパー」を共同運営しており、西友実店舗からの出荷と倉庫からの出荷のハイブリッド方式を採用。店舗出荷は124店舗で実施しており、多くの店舗で黒字化を達成したほか、近年は相次いで物流センターを新設している。21年の流通総額は前年比26%増の約500億円、このうち物流センターからの出荷は同79%増と急拡大。24年には流通総額1000億円を当初予定から、1年前倒しで達成する計画だ。

 楽天グループ執行役員兼楽天西友ネットスーパー代表取締役の小森紀昭氏は「食品の市場規模を考えると、あくまで1000億円は通過点と捉えており、もっと伸びるのではないか」とした。

西友デザインの楽天カードを発行する

楽天西友ネットスーパーアプリを店舗でも使える ように刷新

食品ECは超拡大フェイズ

 OMO関連としては、すでに西友全店舗に「楽天ペイ(アプリ決済)」、来店でポイントがもらえる「楽天チェック」、レシート画像を送付するとポイントがもらえる「RakutenPasha」を導入している。今回の「楽天Edy」と「楽天ポイントカード」導入により、楽天の決済サービスがフルラインアッ
プで揃うことになり、西友が「楽天経済圏」に入るかっこうだ。

 プログラム開始を記念して、4月26日~5月8日までの期間中、店頭で「楽天ポイントカード」を提示すると通常より5倍の楽天ポイントを進呈するキャンペーンを開催。楽天カードや楽天Edyの利用で、楽天ポイントの進呈率がアップするキャンペーンも4月より順次する。5月以降も、楽天ポイントカードの提示で通常より2倍の楽天ポイントを進呈する「楽天ポイント2倍デー」を設ける予定。

 3月10日の記者会見で、楽天の三木谷浩史社長は「日本の食品EC化率は3.3%で、国内市場全体の8.1%と比較してもかなり遅れている。ただ、コロナ禍もあり、食品のEC化は超拡大フェイズにある」と、ネットスーパー事業が成長産業であることを強調。「ネットスーパーもリア
ルのスーパーマーケットも、いかにオフラインマーケティングをやっていくか、いかにデータ活用をやっていくかが重要なポイントになっていく。日本にも本格的なOMO時代が到来した。ビッグデータを使い、AIをベースにした楽天のパーソナライゼーションサービスがオフラインでも実現する」と協業の意義を述べた。

ネットスーパーでは西友プライベートブランド商品「みなさまのお墨付き」も扱っている

 今後に関しては「楽天は日本を代表するスーパーマーケットチェーンである西友を、OMOリテーラーという形で支援していく。人口減少時代という厳しい環境の中、スーパーマーケットは大きな転換点を迎えており、これをビジネスチャンスとして、世界に冠たるOMOプラットフォームを作り、他の中小スーパーマーケットでも使えるようにしていきたい」と展望を述べた。将来的には、地場のスーパーマーケットにもプラットフォームやノウハウを提供していきたい考えだ。

協業で顧客層拡大

 また、西友の大久保恒夫社長は「実店舗は厳しい環境だが、デジタルマーケティングで売り上げを伸ばしていく。ネットスーパーに関しては、店舗出荷型は店舗周辺の顧客が多いので、商圏を面で抑えながら、面と面の間を倉庫出荷型で抑えていきたい。ネットスーパーとデジタルマーケティングでナンバー1を達成し、2025年には食品スーパーでナンバー1となる」などと目標を掲げた。

 楽天と協業するメリットについては「楽天はネット社会への対応に成功した企業で、デジタルマーケティングのノウハウを持っている。西友はネット化への対応が重要なので、良い組み合わせではないか。また『楽天エコシステム』に西友が入って実店舗とネットスーパーが一体化すると、より大きな経済圏ができる。西友と楽天は客層が少し違うので、顧客層の広がりが期待できる点もメリットだ」とした。

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