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2009年のモバイル通販市場、13%増の4248億円に リアル店舗など新規参入が増加

モバイル通販市場が順調にその規模を拡大している。総務省とモバイル・コンテンツ・フォーラム(MCF)が7月6日に発表した2009年のモバイルコンテンツ関連市場規模調査によると、モバイルコマース市場における「物販系」の市場規模は、前年比12・7%増の4248億円と前年に続き2桁の伸びを記録。リアル店舗など、新たにモバイル通販に参入する事業者の増加が市場拡大に貢献しているようだ。

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市場拡大も「優勝劣敗」が鮮明化

同調査では、モバイルコマース市場を「物販系」「サービス系」「トランザクション系」の3タイプに分類。これら3タイプを合計した市場規模は前年比11・4%増の9681億円になった。
いわゆる「通販」の部分に関わる「物販系」では、リアル店舗を中心に商品を販売している小売業者が、PCと同様、モバイルでも通販サイトを開設する動きが昨年に引き続き活発化した。このため新たに参入する事業者は増加傾向にあり、こうした動きが市場規模の拡大につながったようだ。また、リアル店舗をカタログやPCサイト、モバイルと組み合わせてマルチチャネルで展開する動きも増加しており、こうしたトレンドが市場活性化に貢献していると見られる。
ただ、PCのようにモバイルでも通販サイトを開設する動きは一般化しつつあるとはいえ、実際にモバイル通販サイトを開設している事業者間で「成功している事業者とそうでない事業者が分かれてきている」(MCF)傾向もあり、優勝劣敗がモバイルでも鮮明になっている模様。
一例を挙げると、総合通販企業ではニッセンや千趣会の好調ぶりが目に付く。特にニッセンは商品一覧ページをフラッシュ化することで使い勝手を向上させたほか、購買履歴や閲覧履歴を分析して顧客への的確なメール配信を具現化するなどモバイル通販強化を積極的に推進。モバイルの純ネット売り上げは今期15%増を見込んでおり、こうした取り組みが好調を支えているとみられる。
モバイル通販サイトは、当然ながらPCとは利用層、見せ方、向く商材などが異なるため、自社の戦略・商材に最適なサイト構築・運営を行うことが重要と言えそうだ。
「物販系」における利用者は、これまでと同様に若年層が多くを占めている模様。ただ、最近の傾向として「30代、40代の利用も増加している」(同)のが新しい動きだ。
「物販系」以外のカテゴリーを見ると、携帯電話での興行チケット、旅行チケット、鉄道チケットなどの販売を含めた「サービス系」は、同11・3%増の3891億円。近年の傾向として、レジャー目的の個人利用が拡大しているという。
証券取引手数料、オークション手数料、公営競技手数料の売り上げなどを含む「トランザクション系」は同8・4%増の1542億円。証券業界の売り上げの伸び悩みや手数料設定が安くなっていることなどが影響し、伸び率は減少した。

「スマートフォン」対策は?

ところで今回の調査ではiPhoneなどのいわゆる「スマートフォン」は、そこ経由の市場規模はまだまだ小さいとの理由から調査対象からは外れている。ただ、最近の通販市場を見渡してみると、iPhone用アプリの提供や画面の最適化など、ユーザーの増加に合わせiPhone対策を施している事業者が急増しているのが目立つ。
そのもっとも代表的な例は電子カタログの配信だ。千趣会やJALUXが先行して行っている取り組みで、直接画面から商品を購入することはできないが、専用アプリをダウンロードすれば最新のカタログ情報が自動更新されるのが特徴だ。このほか、アマゾンが専用アプリを開発し、「フォト検索」など独自の機能を付加。楽天でも「楽天市場」の画面をiPhone用に最適化し利便性を高めるなどの取り組みを行っている。
現在はまだ市場規模は小さいものの、今後、さらにスマートフォン市場が拡大した場合、従来のモバイルサイトのみでは相当数の機会損失を招く可能性もある。モバイル通販を実施する事業者は今から対策を検討しておくといいかもしれない。

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