【2011年6月号】
テレビ通販事業を行うオークローンマーケティング(OLM)が実施した新聞広告とスマートフォンを連動させた面白い販促策が注目されている。同社では4月下旬に発売したばかりのエクササイズDVDを宣伝する新聞広告を全国紙に出稿。この広告紙面上に“仕掛け”を持たせた。
専用の無料アプリをダウンロード後に紙面上の「商品ロゴ」をスマートフォンで撮影すると当該ロゴが浮き上がり、その後、商品PRを担当するタレントが商品の説明や使用感などを語る専用動画を再生され、最終的に当該商品の購入サイトへと誘導する仕組みだ。スマホの普及が次第に進む中で、新聞広告など他メディアを連携させた販促、PR手法は今後、増えてきそう。そういった意味で今回のOLMの試みはスマホを活用した1つの販促策という点で注目されそうだ(※画像は4月開催の「ヤーナリズム」のPRイベントの様子。タレントのくわばたりえさん㊧と考案者のヤーナ・クニッツさん)
「ヤーナリズム」拡販で仕掛け
OLMは4月19日から、「ヤーナリズム」の販売を開始した。同商品はラテンダンサーのヤーナ・クニッツ氏が考案したダンスエクササイズ法を収録したエクササイズDVDセットで、累計販売数300万枚を誇る当社のヒットエクササイズDVD「コアリズム」の後継品と位置付ける主力商品だ。
特長は「コアリズム」はラテンダンスはベースだったが、「ヤーナリズム」の場合は、ラテンに加えて、ヒップホップ、ディスコ、ベリーダンスと4種の音楽に合わせてエクササイズを行う。また、10分単位でレッスンを収録しており、飽きさせずまた短時間で運動できるよう工夫した。
OLMはこの「ヤーナリズム」を4月19日からネット販売や卸販売で、4月26日からはインフォマーシャルの放映を始めた。同商品の拡販を図る目的から、4月23日付の読売新聞に「ヤーナリズム」の全面広告を出稿した。
同広告では上部に「あなたもきっと、変われる。」というキャッチコピーとともに「ヤーナリズム」のPRを担当し、同商品を使って“産後太り”を解消したタレントのくわばたりえさんとその息子のヌード写真を大きく掲載。その横には、くわばたさんの商品の感想。下部には商品の説明と注文先の電話番号。また「JAANA Rhythms(ヤーナリズム)」という商品のロゴを掲載している。この「商品ロゴ」に“ある仕掛け”を持たせた。
アプリ使い、商品ページに誘導
スマートフォン(※Android端末のみ)用の専用無料アプリ『ヤーナリズム」のダウンロードを促し、当該アプリをダウンロードし起動させた後に「JAANA Rhythms」という商品ロゴ部分をスマホで撮影すると、撮影画面の中でロゴ部分(右の画像)が浮き上がる。これはAR(拡張現実)という技術を活用したものだ。
その後に撮影画面に表示される「くわばたりえクビレの軌道」(下の画像)をタップすると、特典映像の再生がスタート。これは同じくくわばたさんがPRを務めたエクササイズDVD「コアリズム」を使ったダイエットの軌跡と「その後、産後太りとなり、ヤーナリズムに取り組むきっかけとなった事を楽しく紹介」(同社)する1分47秒の動画で、動画再生終了後、または動画左上の「完了」ボタンをタップすると画面に「ホームページを見る」が表示され、それをタップすると「ヤーナリズム」の詳しい商品の特徴や動画、キャンペーン内容などを紹介した販促サイト「kubireru(クビレル).jp」に遷移、「ヤーナリズム」の販売を促進する仕組みだ。OLMは今後も同様の試みの実施を検討していくとしている。
スペースの問題で新聞広告では説明しきれない詳しい商品の特徴などを顧客に十分に伝えるべく、新聞広告から通販サイトやキャンペーンサイトに誘導するパターンは以前からあり、各EC事業者は紙面上に「○○(商品名やサービス名)で検索」やQRコードを表示させるなどで通販サイトへ誘導してきた。
では普及しつつあるスマホをいかに他メディアと連動させるか――。無論、今までのやり方はスマホでも転用できるが、今回のOLMの試みは、「スマホならでは」の「アプリ」を使ったという点で興味深い試みと言えそうだ。EC事業者各社はやがてモバイル端末の主流となるスマホを活用した効果的な販促策を今から模索しておく必要がありそうだ。
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