楽天とセレクトショップ運営のビームスは5月23日から6月19日まで、両社がコラボレーションしたO2O企画として、「Rakuten meets BEAMSJAPAN」を、仮想モール「楽天市場」やビームスの実店舗「ビームス ジャパン」などで実施した。
電子看板から商品ページに移動
イベントでは、ビームスの人気バイヤーとショップスタッフなど16名が、愛用している楽天市場の商品を、ライフスタイルとともに紹介する。東京・新宿にあるビームス ジャパンの1階には、スマホで操作できる巨大なデジタルサイネージ(電子看板)を用意。消費者は、まずスマートフォンでQRコードを読み込むことで、スマホがサイネージを操作するコントローラーとなる(写真㊤)。
そして、サイネージに表示される商品から「楽天市場」の商品ページにアクセス(写真㊦)し、購入することができる。商品ページからは、スタッフが商品を紹介する動画を閲覧できるほか、店頭のQRコードからアクセスした場合のみ、特製缶バッジのプレゼント画面が表示される。また、店頭ではスタッフを紹介するとともに、商品のサンプルも展示している。
サイネージに表示されるのは48 商品。16 人がそれぞれ選んだ3商品を表示する形で、会期の前半は24商品、後半に24商品表示する。
近年、デジタルサイネージを活用した広告は増えているものの、映像を表示するだけだったり、操作できるものであったとしても、タッチ方式であることが多い。
スマホを使う今回のやり方の場合、1人しか触ることができないタッチ方式と違って複数が同時にアクセスできるほか、「街中でサイネージを操作するのはちょっと恥ずかしい」など、人目を気にする人でも、プライベートな空間を確保しながら操作できるため、参加しやすいメリットがある。
スタッフが「ROOM」で商品紹介
楽天ECカンパニー編成部CWD戦略推進課の山口貴弘シニアマネージャーは「ビームスとは5年前にもコラボレーションしており、『Rakuten meetsBEAMSハッピー隊』というサイトを開設したことがあったが、その時はオンラインだけの取り組みだった。今回はO2Oということで、オンライン・オフラインの双方で、最新のテクノロジーを活用したり、当社が運営するSNSや決済サービスを活用したり、さまざま要素を盛り込んだ。ビームスのコンテンツを楽天市場の商品を入れ込むことで、無人のセレクトショップを実現している」と話す。
楽天の三木谷浩史社長と、ビームスの設楽洋社長が旧知の仲であることから始まったという今回の企画。ビームスのスタッフが、家電や雑貨、食品、さらには「スニーカーレインカバー」といった個性的な商品を紹介。さまざまなジャンルの商品を選んでいる。山口シニアマネージャーは「デジタルサイネージ1枚あればどこでもセレクトショップが開ける。また、国内のさまざまな商品をビームスのスタッフに発掘してもらうことで、地方を活性化したいという思いもある」とコンセプトを説明する。
さらには、楽天のキュレーションサービス「ROOM(ルーム)」においては、16名が運営するアカウントを集約した特設ページを開設。各スタッフのルームは、イベントに先立って4月1日から運用しており、フォロワーも千人単位と多く、売り切れになる商品も出ている。アカウントは会期が終了してからも活用する予定だ。
また、紹介する商品を扱う店舗には、「コラボ企画に選ばれた」ことを示すエンブレムを配布。商品ページに表示することができるため、店舗側にもメリットが生まれる。
セレクトした商品は、ビームスのスタッフが実際に楽天市場で購入したもの。ビームスのスタッフならではの視点で商品を発掘してもらうということだけではなく、ルームの利用促進につなげる狙いもある。
消費者の購買意欲を喚起
山口シニアマネージャーは「最近はSNS経由の購買が流行しているが、商売が前面に出ていることも多い。今回の企画はそういったものを抑えているが、ビームスのスタッフにフォーカスし、皆さんが本当に良いと思った商品を紹介してもらうことで、消費者の購買意欲をくすぐる企画になっているのではないか」と語る。これまでの楽天市場は、ランキング経由など、売れ筋商品から商品を探す流れが強かった。こうしたキュレーション的な購買導線を強化することで、消費者と商品がマッチングする機会を増やす。
イベント開始にあわせて、ビームス ジャパンでは、楽天のスマホアプリ決済サービス「楽天ペイ(アプリ決済)」を導入した。消費者は、ビームス ジャパンでの買い物をする際に「楽天ペイ」アプリで決済を行うことで、楽天のポイントサービス「楽天スーパーポイント」を貯めたり、支払いに使ったりすることが可能になる。さらに今秋には、ビームス ジャパン以外の全国のビームスショップへも楽天ペイの導入を予定している。