ジャパネットホールディングスは航空会社のスターフライヤー(=SF)と資本業務提携を結んだ。9月28日付でSF株式を持つ投資ファンドから約12億円で50万株(議決権ベースで14.2%)を取得する予定。提携後はSF機内の物販のほか、機内誌およびモニターで放映する映像コンテンツの制作を請け負う。また、SFの航空機を組み込んだ九州を巡る旅行商品なども開発して通販展開する。提携でSFの利用率や認知度を高め、企業価値向上を図るほか、本業の通販や地域創生事業とのシナジー効果を生み出し、グループの収益拡大に寄与させていきたい考え。
将来的には筆頭株主の可能性も
ジャパネットHDはアドバンテッジアドバイザーズ(AA)が提供する投資ファンド、投資事業有限責任組合IXGSIII号が保有するSFの普通株式50万株の譲渡を受け、筆頭株主であるANAホールディングスに次ぐ第2位株主となる予定。なお、IXGSIIIはジャパネットHDに事前に決めた価格で株式取得が可能な権利「コールオプション」を付与。1株当たり4100円で普通株式50万株、同4500円で同10万株を25年9月30日まで購入できるもので、仮に同権利を行使した場合、ジャパネットHDはSFの筆頭株主となる可能性もある。
資本業務提携を決めた理由については「7月前半ころにAAから打診があり、SFに魅力を感じ、我々もコミットすることでさらにその価値を高められリスクよりリターンが大きいと判断した」(ジャパネットHDの髙田社長)とする。一方のSFおよびAAは「1つの選定基準の中に九州の企業というのは明確にあった。このほか、認知度、サービス、商品の補完性、ブランドイメージの整合性などを検討して候補先を評価をしていった中で圧倒的にジャパネットがふさわしい企業だった」(AA笹沼社長)、「スターフライヤーは特にシニアの利用率がほかのエアラインに比べて少し劣っていると分析している。ジャパネットは全国的な知名度はもちろん、シニアに関しても非常に認知度が高い。首都圏の認知度に加えて、シニア世代の認知度も今回の提携を通じて高めて利用率を大いに拡大できると確信している」(AA小林ディレクター)、「面白いことができそうだなと考えたことが理由としては一番大きい。また、非航空収入のアップ、新しい価値創造などの面でプラスになるだろうと判断した」(SF町田社長)などとした。
機内誌や機内モニター番組で協力
提携後、ジャパネットはSF機内での物販のほか、機内誌および座席設置のモニターで放映する映像コンテンツの制作などを行うという。「通販カタログを制作しているノウハウなどを活かしながら、SFの考え方を伺いつつ、移動中にふさわしい読みものを盛り込んでいく」(髙田社長)という通販ページなども加えた新たな機内誌を年内にも制作する。映像コンテンツもグループ会社のジャパネットブロードキャスティングが運営する今春に開局したBS局「BSJapanext」の番組制作ノウハウを使って、同局で放送中の九州地区の散歩番組などを活用、毎週放映する番組を更新したり、BS局の番組出演者のタレントと連携するコンテンツも検討など、BS局のスタッフらと機内モニターで放映する最適な映像コンテンツの制作を進めていくという。
旅先の食品やお酒など販売
物販については「旅先にちなんだ果物や酒などのほか、家電など様々な商品を試してトライ&エラーを繰り返しながら旅をされる方がどのようなものを好まれるのか、研究していく」(同)として通販で販売実績のある商品を含めて様々な商品を展開していく。受注は機内モニターでの操作も将来的には考えるが、当面は客室乗務員経由となるようだ。なお、機内で注文した商品はジャパネットの物流を活用して乗客の自宅に配送するという。
航空機+ホテルのオリジナルツアーを
機内物販のほか、同社が展開するクルーズ旅行などで培ったノウハウを活用しつつ、羽田‒北九州便、羽田‒福岡便などで空席の多い日のSFの航空機にホテル宿泊や飲食などパッケージにして九州地域を巡る新たな旅行商品や、チャーター便を活用したスポーツ観戦ツアーなど新たな旅行商品を早ければ来年1~2月にもジャパネットのテレビ通販などの通販チャネルで販売したい考え。
スターフライヤーとの資本業務提携に伴う株主としての利益以外の業績面の効果については「当社が展開する国内クルーズ事業はコロナ前には売上高ベースで100億円くらいだった。航空機とホテル、観光を組み合わせたツアーはもっと大きな規模になる可能性を秘めていると思っている」(同)とし、期待感を示した。