消費者庁、山田養蜂場に措置命令――健食の「コロナ予防」、リリース記載で処分

 消費者庁は今年9月、山田養蜂場に景品表示法に基づく措置命令を下した。販売する健康食品で新型コロナウイルスの感染予防、重症化予防の効果が得られるかのように示す表示を行っていた。処分対象となって表示物にはプレスリリースが含まれるが、通常、関連事業者向けの公開を意図するリリースを対象にした処分は、これまであまり例がないとみられる。同社は、「処分を真摯に受け止め、表示内容の見直し、再発防止に向けた表示管理体制の構築を進める」としている。

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コロナのリスク煽り訴求

 「ビタミンD+亜鉛」について21年11月、自社サイトに掲載したプレスリリースの中で容器包装の画像とともに「新型コロナウイルス〝第6波〟に警戒を『感染』と『重症化』どちらも予防したい…」、「『予防だけでなく、もし感染しても重症化しないよう、今すぐできる対策をしたい』との声が寄せられております」、「ビタミンDと亜鉛は、ともに新型コロナウイルス感染時の重症化を防ぐ可能性が研究報告されており」などと表示した。PR-TIMESで配信されたリリースも違反対象になった。

プレスリリースの記載を対象にした処分は珍しい

 「1st(ファースト)プロテクト」、「2nd(セカンド)プロテクト」は21年12月と今年2月、顧客向けDMで「コロナ時代を生き抜く対策を万全に」と題し、「新型コロナウイルス感染症からの回復を早める可能性がある」などと表示した。

試験データ提出も根拠と認めず

 消費者庁は不実証広告規制の規定に基づき、同社に表示の裏付けとなる合理的根拠の資料を要求した。山田養蜂場は「1stプロテクト」等に含まれるロポリスエキスについて、飲用した新型コロナ患者の入院日数が約3日減少したとするものや、PCR検査陽性者が陰性者に比べ、血中のビタミンD濃度や亜鉛濃度が低かったとするもの、ローヤルゼリーが免疫機能を活性化するというものだ。ただ、消費者庁は合理的根拠とは認めなかった。内容は、商品とともに紹介されており、薬機法にも抵触する可能性がある。

プレスリリースの記載対象に違反認定

 サステナブル関連の施策としては、環境省の「グリーンライフ・ポイント事業」に採択されたことか プレスリリースの記載を対象にした処分も珍しい。ただ、リリースは、顧客が訪問する自社サイトにも掲載されており、不特定多数の一般消費者の目に触れる状態にあった。また、消費者庁はこれまでコロナウイルス関連の表示に繰り返し注意喚起や法執行を行っており、置き過ぎた表現のため違反認定の対象にしたとみられる。

 山田養蜂場は、ウェブサイトにお詫び文を掲載。今後、新聞への社告掲載を行う。顧客向けのカタログでの説明は「検討中」としている。

 再発防止に向け、今後は外部の専門家など第三者によるチェック体制を強化。「広告は媒体考査があるが、プレスリリースはチェックが甘い部分があった」(同)としてすべての表示物を対象に責任者の承認を得なければ配信できないよう変更するという。

サイトにお詫び文を掲載
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