翔屋 「プリン」でEC転換に成功

 楽天グループの仮想モール「楽天市場」において、「おうちdeボンマルシェ」を運営する翔屋は、名古屋市の百貨店「ジェイアール名古屋タカシマヤ」で10月に開催された、楽天市場の人気グルメ店を集めた物産展「楽天うまいもの大会」に初めて出店した。

 同社は生鮮食品などのキッチンカー販売事業を手掛けているが、コロナ禍を受けてECへの参入を決意。2020年7月には楽天市場に出店した。

 キッチンカーで扱っていた加工食品や調味料などを販売したものの、当初の売り上げはあまり芳しくなかったという。売り上げが急激に伸びたのは21年3月に「なめらかぷりん」の取り扱いを開始してからだ。

 「キッチンカーでいろいろな商品を販売していたが、愛知県のブランドタマゴ『三日たまご』は非常に人気があった。コロナ禍のタイミングで三日たまごを使ったプリンを開発したところ、キッチンカーでは良く売れたのでECでも売り始めたら、楽天市場店の売り上げがうなぎのぼりになった」(EC事業部の嶋﨑伸幸氏=写真)。

 新鮮な状態で顧客に届けるためにプリンの作り置きはせず、注文があってから愛知県の同社工場で作るという完全受注生産の商品だ。こうしたこだわりが消費者に伝わったことで、プリンには高い評価のレビューが多く投稿された。「とても良く売れたので、プリンを看板商品にしていこうと腹をくくった」(同)。22年における楽天市場の平均月商は、出店当初の約111倍だという。

 嶋﨑氏は「リピーターも増えているが、まだまだ新規顧客を取っていくフェーズだと思っている。うまいもの大会への出店も知名度を高める施策の一環だ。普段は消費者とは文字ベースでしかコミュニケーションを取れていないので、直接感想を聞けるのは励みになる」と話す。

 ECに携わっているスタッフは5人。商品開発は、受注や出荷など部門を超えたスタッフの意見を取り入れながら進めている。今夏ヒット商品となるフルーツゼリーは「夏はプリンよりもゼリーの方が売れるのでは」という社内の声を受けたものだという。嶋﨑氏は「最近は硬めのプリンも人気が出てきているので、食感の違うプリンなども開発したい。ゼリーだけではなく、新規顧客開拓のために今までと違う切り口の商品を作っていきたい」と意気込む。

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