アマゾンジャパンは12月19日から、運営する通販サイトで販売した商品について、小売店などを構える事業者に配送を委託する取り組み「AmazonHubデリバリーパートナープログラム」を本格化すると発表した。委託を受けた事業者は自身の店舗の近隣へのラストワンマイル配送を行う。東京や大阪など大都市圏から導入し、徐々に他地域へも広げていく。新たな配送手法の運用で既存の配送サービスを補完、増え続ける物量に対応する。
2020年からすでに実証実験を開始
「AmazonHubデリバリーパートナープログラム」はアマゾンと業務委託契約を結んだ地域の商店らパートナーが本業の空き時間などを活用して店舗・事務所から半径2kmキロ圏内の近隣地域に徒歩や自転車、バイク、車などを用いてアマゾンの商品の配送を行うもの。インドのアマゾンで2015年から導入後、スペインやメキシコでも運用を始めており、日本は4カ国目となる。日本では2020年9月から実証実験としてスタートしており、雑貨店や写真館、レストラン、新聞配達店、居酒屋、美容室、花屋、アパレルショップ、喫茶店、犬のブリーダーなど数百の中小事業者がすでにパートナーとして稼働している。
なお、パートナーの条件は配送品を置ける店舗や事務所のある事業者全般で事業の登記情報や開業届、納税証明証のいずれかの証明書が必要。登録者は18歳以上という制限はあるものの「何を販売している店舗でも構わない」(同社)とし、本業での制限は特にないよう。
1日平均30~50個を配達
パートナー登録後はアマゾンの担当者が一緒に配送方法などをレクチャーし、その後、「週に2回」など労働可能時間や「1日30個まで」など配送可能な荷物の数などを事前に連絡しておくと、それに対応した荷物をアマゾンの配送拠点「デリバリーステーション」からアマゾンが配送業務を委託する配送業者「デリバリーサービスプロバイダー(DSP)」または個人事業主「AmazonFlexドライバー」がパートナーの店舗・事務所まで運んでくる流れ。パートナーは当該荷物を当日中に配送を行う。基本的に徒歩で運べるものや自転車に載せられる程度のサイズに限定し重量が重いものやかさばる荷物はないという。1日の配送ノルマや上限などの設定はないようだが「各パートナーには1日平均で30~50個に荷物を配送頂いている」(同社)としている。
不在による持ち帰り荷物や体調不良などで配送できなくなった荷物はアマゾンに連絡するとDSPらが引き取りを行い、代わって配送を行うという。報酬は1個配送ごとに発生、週単位で支払いを行うという。報酬額は明らかにしていない。報酬単価については「現状、一律」(同社)としているが、今後はホリデーシーズンなどの繁忙期には報酬を高める可能性があるという。
実証実験として開始した2020年からこれまではアマゾンの担当者が配送量の多い地域の商店などに直接、営業し参加を促す形式でパートナーを増やしてきたが、今後は直接営業は継続していくものの、「本業のすき間時間を活用して副収入を得られる」などと訴求しつつ、「AmazonHubデリバリーパートナープログラム」の申込専用ページに誘導し、希望する中小事業者の参加を促していく。
9都府県でスタート
現状は東京、千葉、埼玉、神奈川、大阪、京都、兵庫、愛知、福岡の9都府県で運用しているが「いずれは47都道府県すべてで行っていく」(アヴァニシュ・ナラインシングAmazonロジスティクス事業本部長)としている。
アマゾンジャパンでは現状の配送の委託先であるヤマト運輸や佐川急便、日本郵便ら大手配送事業者と中小配送業者に委託するDSP、個人事業主に委託するAmazonFlexに加えて、「AmazonHubデリバリーパートナープログラム」を展開することで既存の配送サービスを補完、増え続ける物量に対応したい考え。「幸いなことに年々、商品の配達個数は増えている。多様な配送手段を用いてカバーしていく」(同社)としている。