ZOZO(ゾゾ)は、2023年3月期業績で、従来から掲げてきた商品取扱高5000億円を突破したことを踏まえ、次のターゲットとして取扱高8000億円、アクティブ会員数1500万人を目指す。目標の達成に向けては「より幅広い層の取り込み」と「一人あたり購買頻度向上」「生産支援」「コスメ拡大とその次」「テクノロジーの収益化」に取り組む。
ゾゾによると、国内のファッション小売り市場約10兆8000億円のうち、同社のターゲット市場は7兆5000万円、ターゲット人口は6400万人、EC化率が28%とすると、ファッションEC市場は2兆1000億円で、ゾゾの商品取扱高(その他商品取扱高を除く)が5000億円を突破したことから、ターゲット層は5回に1回、ゾゾで購入した計算になる。
ターゲット市場およびEC化率が同水準で推移した場合、8000億円の商品取扱高を達成するには、ゾゾ本店およびヤフー店のアクティブ会員数1100万人を1500万人に、購入頻度についても4回に1回はゾゾで購入してもらう必要がある。
これまでのターゲットは10代後半~40代だったが、ヤフー店を中心に50代も購入していることから、今後は50代までターゲットを広げる。
ゾゾはこの数年、新規獲得が好調で、前期の獲得数は過去最高となるなど、アクティブ会員は上昇基調にある。新規を引き続き獲得していくほか、認知を広げてゾゾに好意を持ってもらう施策が必要になるとする。
購入頻度の向上に向けては、売る手前の施策を強化する。「似合うラボ」やファッションコーディネートアプリ「ウェア」など、“似合う”を軸としたソリューションで購買の上流を抑えるとともに、「ZOZOMO(ゾゾモ)」を介したブランド店舗との連携により、市場の大きなリアルマーケットの収益化を図る。
生産支援については、MSP(マルチサイズプラットフォーム)および昨年9月にスタートした生産支援プラットフォーム「メイドバイゾゾ」で効率的受注生産の実現を図っており、前期は生産型数461型、生産枚数12万枚の実績がある。
在庫リスクにとらわれない多色・多サイズ展開が可能で、販売時期と実需期のズレを解消できるといった強みを武器に、1型当たりの販売枚数は通常生産品と比べて1.45倍だった。
シップスとは23年春夏シーズンから「メイドバイゾゾ」専用ブランドを始動するなど、生産支援ビジネスで早期に10億円以上の利益創出を目指す。
ファッションに続くEC市場の開拓を目指してスタートした「ゾゾコスメ」は前期の商品取扱高が目標値の100億円に対して91億円にとどまったものの、コスメ市場ではEC最大手クラスの規模に成長。展開ブランド数の拡充や、売り場としての特徴、情報量の充実などによって今期は130億円の取扱高を計画する。加えて、コスメで得たカテゴリー展開のノウハウを活用して次のカテゴリーを検討していくという。テクノロジーの収益化では、米国においてボディメイクに役立つサービスとして「ゾゾフィット」を22年9月から展開し、8300枚弱を販売。認知の拡大と機能拡充に注力して身体計測ビジネスの収益化を図る。
ゾゾでは目標達成の期限について、「2~3年での達成はさすがに難しいが、10~20年かかるとは思っていない」(澤田宏太郎社長兼CEO)としている。