JALグループ、仮想モールを開設――まずは200店舗、流通総額120億円へ

 日本航空(JAL)とその子会社であるJALUXは5月30日、マイルを貯めて、使うことができる仮想モールとして「JALMall」を開設した。モール開設時にはJALグループ内外から出店者が参画しており、合計29店舗でスタートした。まずは出店者数200店舗、モール流通総額では約120億円を目指す。

JALグループが手がける仮想モールの「JAL Mall」

 同モールは、主に約3000万人を有する「JALマイレージバンク(JMB)会員」に向けて展開していくもの。1000マイル単位からポイント交換ができ、1ポイント1円で利用できる。会員番号でログインし、購入金額100円ごとに1マイルが貯まる仕組みで、さらにクレジットカードの「JALカード」による支払いで購入金額200円ごとに2マイル、「JALカードショッピングマイル・プレミアム」に加入の場合には100円につき2マイルがさらに積算されるため、100円につき最大3マイルが貯まる。

 また、JALグループ便の搭乗やツアー利用などで同社グループが環境に配慮した活動への参加を促すポイント付与システムの「新ステイタスプログラム」について、同モールでの購入に対してもポイントが獲得できるようになるもよう。

 モール内ではJALUXが運営するJALグループの商品などを集めた、「JALショッピング」が出店しており、これまでグループで個別に展開していた「JALブランドコミュニケーションストア」や「JALアグリポートオンラインショップ」の販売品なども集約している。

 なお、同モールの開設に合わせて、JALでは全国の生産者が旬の食材を出品することができる産地直送型ECの「SORAKARAOTODOKE」を開始している。これまで同サービスは産直アンテナショップとしてリアルで展開していたが、同モールにも新規出店する形でECでの展開も行っていく。同サービスはマッチングプラットフォームを採用しており、生産者が同モールを通じてJMB会員に直接販売が可能。宅配サービスに加えて、JALの空輸便を使った「プレミアム配送」サービスなどもあり、配送設定日に〝朝どれ〟の食材が当日に届く内容で、東京都大田区、品川区、目黒区、港区、中央区、江東区のエリアを対象に提供する。配送エリアは今後順次拡大していく予定。

 そのほか外部からの出店者としては、「成城石井」や「ティファール」、「PHILIPS(フィリップス)」、「西川」、「日本ハム」などがある。ファッションや生活雑貨、家具、家電、グルメなどの幅広い分野でまずは、JALグループ店舗も含めた全29店で始動。6月以降も「亀屋良長」といった複数のブランドの出店を予定している。

 JALグループとしては廃棄される航空機部品を活用した商品や地域産品の特集を展開するほか、新商品の開発にも積極的に着手。「マイルが貯めやすく、使いやすいことに加えて、ECリテールの拡大とマイル利便性の向上に取り組んでいく」(同社)としており、まずは出店者数200店舗、モール流通総額では約120億円を目指していく。

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航空業界のEC合戦に注目

 なお、航空事業会社が手がける仮想モールとしては、JALグループに先駆けて2023年1月末にANAグループが、「ANAMALL」を開設。グループ会社のANAXが運営を担っており、JALグループと同様にマイル会員に向けた展開となっている。開業から約3カ月間での実績として、全26店舗の出店で、約25万SKUを展開。2023年度末には100店舗の出店と、流通総額100億円を目指している。

 国内外でコロナ感染対策に関する規制緩和が進む中、旅客利用者数は堅調に回復を見せている。マイルユーザーの拡大に伴って、両グループのECを巡る新たな競争の行方が今後も注目される。

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