仮想モールの「Qoo10」を運営するイーベイジャパンは2月28日、都内渋谷区にライブコマース専用の新スタジオとして「Qoo10LIVESTUDIO」を開設した。eBayとしては初めてとなる常設型のライブ配信スタジオとして運営していく。
同施設は2階構成となっており、1階にはライブの撮影・配信専用スタジオのほか、商品撮影の専用スペースを完備。商品を360度回転させながら撮影できる専用機材なども導入しており、出店者が商品を撮影することが可能。利用に当たってはオンライン予約で対応しており、ブランドの公式ショップが参加できる売り場「MOVEbyQoo10」の出店者が対象となっている。
また、2階は新ブランドやオリジナル商品などを展示できるポップアップスペースやミニスタジオがあり、Qoo10のアンバサダーとして任命されたインフルエンサーが撮影場所として活用できる。その場でSNSにアップしたり、ライブ配信することも可能。
同社では2021年9月より、アプリやSNSで配信する形でライブショッピング事業を開始した。ファッションやコスメ、食品、美容家電などを取り扱い、著名なインフルエンサーやクリエイター、芸能人なども起用しながら、複数の切り口で番組を配信している。
動画では配信中限定の特別価格や特典などを用意し、視聴者参加型の双方向の内容でも展開する。商品紹介時には出演者が実際に使用しながら成分や特徴まで詳しく紹介。コメント機能なども利用しながら、ブランド担当者やインフルエンサーとコミュニケーションがとれる内容になっている。
これまでに累計270回の配信を行っており、最大120万視聴、ブランドによっては1回の配信で1億円を売り上げたほか、700万の「いいね」も獲得したケースもあった。
今回、専用スタジオを開設したことで、1回1時間程度の尺で、ほぼ毎日ライブ配信を行う。オフラインイベントも企画しながら、今後はリアルで顧客が参加できるような内容も検討していく。
当日に開催した記者発表会では、ジャヒョン・グ代表が登壇し、「様々なブランドとのコラボレーションも行い、Qoo10ファンの多くのZ世代と直接交流ができるツールとして展開したい」と語った。
また、同日には同スタジオを使った初めてのライブ配信を実施。3月1日~12日まで開催した同モールの大規模セールである「メガ割」の期間中に合計13本の配信を毎日行ったもので、初回ゲストとして女優の高橋ひかるさんが参加。メガ割でのおすすめ商品や限定商品などを紹介していった。
高橋さんはライブコマースについて「実際にショップを見ているかのように商品の魅力を知ることができるサービスだと思う」とし、通販を楽しむきっかけにしてほしいとした。
なお、同社によると、以前はパートナー企業経由で様々な場所を借りて動画撮影を行っていたが、照明の環境などがいつも変わるために安定的な配信ができていなかったという。また、これまでは、15~20人のスタッフで行っていたが、新スタジオは4~5人のスタッフだけでも操作できる簡単な機械設備を導入しており、照明もカスタマイズできるという。
過去の事例を見ると、特にコスメ関連商品の配信について反響が高いようで、「成分や使い方を知らないと不安になるものだが、出演者が実際に使ってみて色や肌への具合など細かく見せていくことでコンバージョンが上がったと感じる」(マーケティング本部のキム・ジェドン本部長)とした。