「マスクは模倣品」、医食同源ドットコムが勝訴――不競法違反で提訴

医食同源ドットコムが、日用品や化粧品、医薬品の卸販売を行う三国堂を不正競争防止法違反で訴えていた訴訟は2024年2月、東京地裁が原告の請求を認め、損害賠償として1億3187万円の支払いを命じ、判決が確定した。製造販売するマスクが模倣品として、製造販売の中止を求めていた。ポイントの一つは、製品のカラーバリエーションが異なるにも関わらず、模倣品と認められた点にあるとみられる。市場の競争環境が激化する中、不競法違反の指摘も相次いでいる。

医食同源ドットコムの製品(画像)と模倣製品
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カラーバリエーション異なるも「模倣」

 医食同源ドットコムは、21年から長時間着用の快適性、デザイン性を重視した「立体型スパンレース不織布カラーマスク」を販売している。三国堂は22年6月頃から「新快適スパンレース3Dマスク」の販売を始めたが、医食同源ドットコムは、これが不正競争行為にあると訴えていた。

 両社の製品は、いずれも接着剤を使わず、繊維を高圧の水流で絡み合わせる「スパンレース製法」で作られている。このため、シルクのような光沢感、滑らかな感触に特徴がある。サイズや立体構造も同じ。また、マスク本体と耳掛け紐の溶接部の雪の結晶をデザインした刻印も多少の違いはあるものの、ほぼ同じ。ただ、カラーバリエーションは異なる。

 三国堂は、医食同源ドットコムの製品はありふれており、開発コストも小さく、不競法(2条1項3号)により保護されないと主張していた。ただ、地裁は、ありふれた形状であっても不競法は創作性や権利登録の有無にかかわらず、他社の開発品に改良を加えず模倣して、市場に提供する行為は自由競争の範囲を逸脱し、不正競争にあたると判断。製品のカラーバリエーションは異なるが、色違いであっても同一の商品と認識するとした。

独自開発の根拠示さず

 製品が模倣にあたるかは、知覚で認識する「形状、これに結合した模様、色彩、光沢、質感」(2条4号)と、「実質的に同一の形態の商品を作り出すこと」(同5号)をいう。

 三国堂は、形状等を中国の工場から提案され、やり取りは口頭、実物のみ示されたとする。ただ、経過を裏付ける客観的証拠がなく、独自開発、デザイン決定の経緯を裏付ける証拠もなかった。地裁は、書面を残さず開発されたと考えにくいことから主張は採用しなかった。テレビ番組で一定程度紹介されるなどの事情からも、医食同源ドットコムの製品に依拠して製作されたと認めるのが相当との判断を下した。

相次ぐ不競法違反訴訟

 不競法による訴訟は、通販でもよくみられる。22年には北の達人コーポレーションが同じリピート通販を行うはぐくみプラスに対し、表示の差止めと損害賠償を求めていた訴訟の判決が下された。知財高裁ははぐくみプラスに約6890万円の支払いを命じており、北の達人が主張する品質誤認表示、信用毀損行為のいずれも認められた。

 一審の東京地裁では21年、北の達人がはぐくみプラスが販売する「はぐくみオリゴ」に含まれるオリゴ糖成分が商品の53.29%であるにもかかわらず、「純度100%」などと表示していたことが商品の品質を誤認させる「品質誤認行為」と主張。これが認められた。

 一方で、アフィリエイター向けイベントで、北の達人が販売する「カイテキオリゴ」について、はぐくみプラスが「オリゴ糖100%じゃない。はぐくみオリゴはその点、良品で100%」と説明したとして、商品の信用を毀損する「信用毀損行為」したと訴えていたが、はぐくみプラスは、オリゴ糖に明確な定義が存在しないとして請求棄却を求めており、品質誤認表示であることのみ認められ、北の達人コーポレーションが控訴していた。

 北の達人コーポレーションは、社内に「競合・模倣対策室」を設置。公正な競争環境を害する行為に、法的措置を含む対応を行っている。競争相手の信用を害する虚偽の事実を流布したり、商品の形態を模倣するなど品質を誤認させ、公正な競争を阻害する行為は不競法で規制されており、同社はこれまで化粧品通販のキーリー、足のデオドラントクリームの広告画像を模倣したとしてアップスクリプトを著作権法違反で訴えている。

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