東京都、ニコリオを景品表示法違反で処分――アフィリエイト広告対象で初の訴訟に

 東京都は今年3月、健康食品ECを行うニコリオに対し、景品表示法に基づく措置命令を下した。アフィリエイト広告を対象にしたものだが、ニコリオは処分を不服として即日、処分取消しを求める行政訴訟を提起している。処分により広告出稿が難しくなるなど、取引先への影響を懸念した動きともみられるが、アフィリエイト広告を対象にした訴訟は初めて。事業者の表示管理の責任を問う裁判になりそうだ。

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ニコリオ、届出資料など根拠提出

 ニコリオは、機能性表示食品「フラボス」について、アフィリエイト広告で「お腹の脂肪、減り方凄すぎ!!!50代でも成功者続出中!」などと表示していた。東京都は、不実証広告規制に基づき、表示の裏づけとなる合理的根拠を示す資料の提出を要求。ニコリオは、届出根拠、作用メカニズムに関する8本の研究論文を提出したが、東京都は根拠と認めず、景表法の「優良誤認」と判断した。

 ニコリオは20年にも埼玉県から景表法、特定商取引法に基づく行政処分を受けている。東京都は「過去に処分を受けていることもあり、悪質性が高いと判断した」。一方のニコリオは、2回目の処分に「結果的に機能性表示食品制度の信用を傷つけることになり、業界に申し訳ない。訴訟結果に関わらず、コンプライアンスの強化を図る」としている。過去の処分を踏まえると、取引先への影響を懸念し、提訴による対応を選んだ可能性もある。

ニコリオの処分対象広告

アフィリエイトの表示管理争点に

 アフィリエイト広告を対象に行政処分取消訴訟が行われるのは初めて。改正景表法は、アフィリエイト広告など広告類型の多様化を受け、景表法第26条に定める「表示の管理上の措置」を改正。事業者による表示管理の責任を強化している。法令にひもづく指針では、広告主の責任を明記するとともに、外部委託の場合の対応例を示すなど、表示管理責任を重くした。表示に関する情報の確認・共有、責任者の配置、報酬額の高いアフィリエイターを重点的に確認するといった方向性を示す。

 処分対象となった機能性表示食品「フラボス」は、運用を終了しているものも含め、数百件のアフィリエイトサイトで新規獲得を進めていた。ただ、ニコリオは、表示への関与を認めており、「月ごとに異なるアクセス数の高い上位数%のサイトは確認していた」(同社)とする。社内や外部の関係会社と協議を行い、表示の妥当性をチェックしていた。

 行政処分取消しを求める裁判では、管理が妥当か争われそうだ。また、関係筋によると、東京都は23年9月に調査を開始。表示の逸脱を全体印象で判断したが、「SR(システマティックレビュー)による届出だが、製品の効果に見える。この表現はRCT(製品の臨床試験)でなければダメ」との見解も示していたという。法廷でSRとRCTによる表現の妥当性が争われる可能性もある。

 ニコリオの主力製品は、機能性表示食品の「ラクビ」。処分対象になった「フラボス」の売上構成は1割に満たない。年間売上高は、数億円(本紙推計)とみられ、業績への直接的な影響は軽微とみられる。

 「フラボス」の機能性関与成分は、「ブラックジンジャー由来ポリメトキシフラボン」。届出製品でも採用数が最も多いとされる。同成分配合の届出製品に影響が出るかも注視する必要がある。

ヘルスアップも景表法処分

 アフィリエイト広告を対象にした処分は消費者庁による2021年の処分が初めて。20年には大阪府警がアフィリエイト広告を対象に薬機法違反容疑の摘発事件もあった(略式起訴で決着)。

 東京都による同広告対象の処分は23年3月、ツインガーデンに対するものが初めて。今回、東京都は、同広告でヘルスアップも処分を下した。

 ヘルスアップは、展開するアフィリエイト広告について「第三者によるいたずらや迷惑行為の可能性がある」と、自らの表示責任を否定していたが、都は、関与した代理店を特定。景表法29条第1項(報告徴収)に基づく調査を行ったところ、回答が虚偽であることが判明した。外部の委託事業者の関与が疑われる事案で、同条文を使い調査を行った事例は初めてとみられる。

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