香りの総合プラットフォーム「カラリア」を運営するハイリンクでは、独自保有する香りのデータを強みに、事業拡大を進めている。
中核事業「香りの定期便」は、1ヶ月使い切りサイズのアトマイザーで香水を販売するという切り口で潜在需要を喚起してヒット。2019年1月のサービス開始から右肩上がりに伸長し、会員数は直近で累計65万人を突破。定期便の継続率は約9割を維持している。
現在は香水に加えてルームフレグランスやバスグッズ、ボディケア、4月からはお香や入浴剤など商材を拡大。約1000種類の香りアイテムから毎月好きな商品を選択することができる。料金は月額1980円(税・送料込)から。
代表取締役の南木将宏氏は「特にルームフレグランスが好調。香水と同様に1ヶ月使い切りサイズで販売するという新しい取り組みで、今後は商品数を増やして販路拡大に注力していく。また、それぞれの商品ジャンルに適切な訴求方法を検討し、サイト上での商品の見せ方や説明方法なども改良していく」としている。
同社の強みは、独自保有する膨大な香りのデータにある。公式サイトでは、AIを駆使した精度の高い商品レコメンドを提供して商品選びをサポート。具体的には、マイページに相当する「フレグランスプロフィール機能」のレビュー内容から顧客の好みを分析して香りを提案。ユーザーはレビューを書く度に自分の香りの好みや傾向の分析がアップデートされる仕組みで、定期便ユーザーのうち香りの評価をしたことがあるユーザーの割合は約42%、レビュー数は約40万件に上る。また、「香水診断機能」は累計で約200万回利用されている。
BtoBにおいては、豊富なデータ基盤を活用し、メーカーやブランドの商品開発や販促、ブランド認知獲得などを支援している。
「香りに関するデータは質・量ともに国内随一だと自負している。これまでは主に自社EC上で展開してきたが、今後は顧客や協業メーカーにより価値を提供できるよう、オフライン展開も含めて取り組みを進めていく」(南木社長)とする。
施策面では、5月8~14日まで大丸東京店で初開催された香りのイベントに出展した。同社がポップアップイベントを実施するのは今回が初。
イベントの参加ブランドは同社のほか、サウザンドカラーズ、サノマ、ノーブレイナー、パルファン・サトリ。いずれも「カラリア」で取り扱いのあるブランドで、日本をはじめとするアジアや世界のニッチな香水ブランドが集結した。
「カラリア」のブースではフレグランススペシャリストによる香りコンサルティングや、AI香水診断を実施。「カラリア」で取り扱いのある香水やアトマイザーケースの販売を行った。
「初のオフライン施策のため集客が読めない部分もあったが、予約枠の8割近くはSNS経由の事前予約で埋まり、多くの方にブランドやサービスを訴求することができた。会期中の購入者数も想定以上で、新規顧客の獲得にもつながった。リアルの場での接客方法や診断機能の見せ方など学びも多く、今後の施策に生かしていく」(同)としている。