オイシックス・ラ・大地は2030年3月期に、食のサブスクリプション事業で売上高3000億円を目指す。食品宅配「Oisix」を主力に展開する「BtoCサブスク」の売上高2000億円、会員数100万人に拡大。施設向け給食事業を展開する「BtoBサブスク」は売上高1000億円をそれぞれ計画する。
「BtoCサブスク」は700億円のオーガニック成長と、新サービスの開発やM&Aで400億円の成長を目指す。主なターゲットは共働き子育て世帯とし、既存会員は約5%となるため拡大の余地があると判断した。
「BtoBサブスク」は、人手不足により給食の委託が進むと予想し、100億円のオーガニック成長と、ミールキットを活用した少人数運営モデルの確立やM&Aで350億円の成長を見込む。
30年3月期以降は海外で展開するBtoCサブスクの拡大をすすめる。24年3月期は米国で展開するPurple Carrotの売上高が前期比7%減の90億8000万円、営業損失1億9000万円を計上したものの、フルフィルメントやマーケティングの体制が整ったとして今期から新規客獲得をすすめる。将来的に海外の販路を生かして、プラントベースフードやアップサイクル商品の育成につなげる。
なお、今期の「BtoCサブスク」は前期比1%増の売上高1000億円を計画する。従来から掲げる「プレミアム時短」を進化させ「プレミアム超時短」の商品展開を進める。
開始した冷蔵総菜「デリOisix」は初週の購入者の客単価が1・5倍に伸長するなど好調な立ち上がりとなった。このほか調理器具不使用のミールキットや弁当など新規商材の開発を行う。
新規顧客の獲得には、新たな獲得手法の開発を目指す。TikTokやアフィリエイトなどこれまで注力していなかった媒体を強化し、お試しセット購入後の入会までのコミュニケーションの見直しを図る。
同社によると「Oisix」の認知率は51%となるが、利用傾向のある人は12%にとどまるという。「超時短」を打ち出して、利用意向を持つ層を拡大したい考え。
このほか特定ニーズ向けコースを開始。第一弾としてがん患者の食生活を支援する「ヘルスケアOisix」を開始した。会員数5万人の獲得、売上高100億円を目指す。
また、「BtoBサブスク」の今期の売上高は同345%増の666億円を計画する。BtoCサブスクで掲げる「プレミアム時短」はBtoBサブスクにも導入し、シナジーを創出する。ミールキットやデリを活用することで、人手不足の解消と付加価値の提供を実現する。
「Oisix」の食材を活用した食材提供をすすめ、首都圏を中心とした施設に向けて食材費を上げることなく導入できるモデルを構築する。また、学童保育向けの食事提供は24年夏休みに本格化し、約500施設に10万食以上の提供を行う予定。適正な価格改定で赤字や低収益店解消で収益向上を目指す。「Oisix」食材を使用したメニューや人気のコラボメニューを導入することで他社との差別化をすすめる。