ジャパネットグループは1月10日、運営するBSチャンネルをリニューアルし、新たに「BS10(ビーエステン)」として開局した。同日以降、視聴者はテレビリモコンの「10ボタン」を押すことで同チャンネルを視聴できるようになる。これによりザッピングで視聴者を誘導できる環境となり、大幅な視聴者の増加が見込め、それに伴い、メディアとしての力がアップ、広告収入のほか、放映する通販番組や番組に連動して紹介商品などを簡単に購入できる専用アプリ経由のECなどの売り上げ拡大につながるもようだ。
「ワクワクする番組作る」
「初めましてBS10です!」─ャパネットグループのジャパネットブロードキャスティングは1月10日の午後7時から生放送の開局特番を4時間に渡って放送した。同日からこれまで運営してきた無料放送のBSチャンネル「BSJapanext(ビーエスジャパネクスト)」の名称を「BS10」に、同じく同社運営の映画ドラマ専門の有料チャンネル「スターチャンネル」を「BS10スターチャンネル」と名称を変更したことに伴うもので、両チャンネルで今後の放送していく目玉番組や番組編成方針などを視聴者に伝えた。
ジャパネットグループは22年3月に新規BS放送局として「BSJapanext」を開局、BS放送を行ってきたが同チャンネルの視聴にはリモコンで3ケタのチャンネル番号を入力したり、電子番組表から選択せねばならず新規視聴者の誘導に課題があった。「BS10」の開局に際して実施した記者会見に登壇したジャパネットグループを率いる髙田旭人社長は「22年にBSテレビ局に参入して以降、難しさを感じていた。チャンネルポジションが深く、よい番組を作ってもなかなか見てもらえない。年間数十億円の赤字を出していた。いくら〝想い〟があってもこのままでは続けられない」として、その解決策として24年夏にテレビリモコンの「10ボタン」を押すと選局されるよう標準設定されているチャンネル番号「BS200ch」を割り当てられていた映画ドラマ専門の有料チャンネル「スターチャンネル」を買収することを決め、同チャンネルに割り当てられていたチャンネルポジションに移動することでリモコンのボタン操作で簡単に「BS10」が視聴できるようになったことなどの経緯を説明。また、「ジャパネットグループは『見つける・磨く・伝える』をポリシーとしている。通販では世の中にある各商品でよいものを見つけ、メーカーと一緒に磨いて、良さをしっかりと伝えて販売している。『BS10』『BS10スターチャンネル』でもジャパネット流で徹底的に磨いて視聴者に新しい情報と出会って頂けるワクワクする番組を作っていきたい」とした。
番組や通販で新しい取り組み
「BS10」では今後、番組自体の内容や構成なども充実させ、強化してきたゴルフのツアーやプロバスケットボールの試合の中継やハイライト、スポーツ応援番組などスポーツ関連番組をより強化していくほか、麻雀では賞金総額1000万円をかけて争う生放送対局などを含めて編成を強化していく。また、「スターチャンネル」への加入促進などを図る狙いから「舘ひろしシネマラウンジ」などの映画紹介番組も編成。お薦めの映画を紹介する。
同局で行なうジャパネットたかたの通販番組もこれまでは視聴者数の伸び悩みなどから実施せず、地上波用などに収録した番組を再び放送するにとどまっていたが、「BS10」用の番組の制作を行うことなども検討。「例えば、残りの在庫数などをリアルタイムでお伝えして売り切れ御免のような、他局ではやっていない内容などを検討中」 (ジャパネットブロードキャスティングの佐藤社長)。放送時間も現状は放送していない午後7時のゴールデンタイムに通販番組を編成することも計画。また、現状は当日その日に特定商品に特化してジャパネットたかたが拡販する「チャレンジデー」の際に、「BSJapanext」で通販番組の前後に放送している当該商品の誕生秘話や開発時の想いなどにフォーカスした情報番組を1月以降は「チャレンジデー」以外の日でも放送。通販番組で紹介する商品の拡販に活かしていくという。さらに、クルーズツアーの紹介番組や温泉を紹介する旅番組の後にクルーズや温泉宿といった旅行商品を紹介する通販番組を組み合わせるなどの展開を強化するなどグループの通販事業とのシナジー拡大も図っていく考え。また、番組のリアルタイム配信や番組へのコメント投稿などのほか、番組紹介商品を簡単にECで購入できる機能などを備えた専用アプリ「つながるジャパネット」はすでに180万ダウンロードを超えているが、「BS10」への刷新以降は新規視聴者の増加でさらに同アプリのDL数も増える模様で、同アプリ経由のEC売上高拡大にも寄与しそうだ。
BS民放局らがあげている年間の収益(売上高ベースで110~160億円程度、利益ベースでは15~20億円程度)のレベルまでジャパネットのBS局の収益も引き上げたい考えで「2026年には年間売上100億円、3年後には黒字化させたい」(髙田社長)とした。