体験レポート:第7回 「アナザーアドレス」

 

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憧れのブランドが気軽に試せる

本誌記者が注目のサービスを体験!
EC企業が提供するさまざまなサービスを本誌記者が体験し、いちユーザー視点でサービスの使いやすさや改善点をチェックする。

 大丸松坂屋百貨店が展開する月額制ファッションレンタルサービス「アナザーアドレス」を1カ月間体験した。記者が体験したのは、月額税込1万2430円のスタンダードプランだ。

 LINEの公式アカウントと連携し、メールアドレスとパスワードの登録を行うだけで会員登録が完了する。アプリでなく、LINE上で操作が完結するのはかなり使い勝手が良いと感じた。アプリより通知を気にすることなく、返却忘れも防ぎやすい。

 いざ借りるアイテムを探すと、ブランドの幅の広さに驚かされる。百貨店ブランドはもちろん、海外のブランドや日本のデザイナーズブランドなど、いわば「憧れのブランド」がレンタルできるのは非常に嬉しい。

 迷いながらも、「レッドヴァレンティノ」のアシンメトリーワンピース、「ミキオサカベ」のオーバーサイズブラウス、「MM6メゾンマルジェラ」のデニムジャケットをレンタルした。注文してから2~3日ほどで、専用のガーメントバッグに入ってアイテムが送られてきた。

 アイテムの選定にあたり、不安だったのはサイズ感の問題だ。「アナザーアドレス」では、レディースに加えて、メンズアイテム、ジェンダーレスアイテムを展開している。ブランドによってサイズ規格も異なれば、他のファッションサブスクよりも1着あたりの単価が高いだけに、サイズ違いによる失敗は避けたい。

記者が実際にレンタルした3種のアイテム

  そんなサイズ選びに大きく貢献したのが、サイズ比較ツール「バーチャサイズ」の実装だ。身長や体重など簡単な質問に答えるだけで着用感をシルエットで表示し、おすすめのサイズも提案してくれる。これに従ってサイズを選択したところ、届いたアイテムはすべてサイズ的に問題なく着こなせた。

 特に気に入ったのは「MM6メゾンマルジェラ」のデニムジャケット。オーバーサイズの丈感とダメージ加工を施したピンクデニムという少し冒険的なデザインが、普段とは違う自分を演出してくれた。その他のアイテムも、さらりと一枚で着るだけで「こなれ感」を出してくれる。この価格帯のアイテムを日常的に買うのは金銭面で難しいけれど、「やはり良いものは素材から違うんだな」「素敵な服を着ると日常が豊かになるな」と感じた。

 1カ月のレンタル期間が終わったらアイテムを返却する。LINEのメニューから「返却する」を選び、自宅集荷やコンビニ受け渡しなど好きな返却方法で申し込みを行う。もちろん商品のレビューも欠かせない。おすすめ度を最大星5つで評価し、「通勤」や「おでかけ」など、主にどのようなシーンで着用したかや、任意の詳細コメントを記入する。このレビュー機能は商品を選ぶ際にも非常に役に立った。過去にアイテムを着用した人の身長・体型と着用サイズ、総合評価やコメントを照らし合わせて、「この人は157cm細身だけど、Mサイズでもちょうどよかったと書いているな」と、サイズ選びの参考にもできる。

レンタルした MM6 メゾンマルジェラのデニムジャ ケットを使ったコーディネート

 気に入ったアイテムはそのまま買い取ることも可能だ。割引率は、商品が過去にレンタルされた回数に応じて設定されている。レンタル回数が0回ならば10%オフ、1~2回ならば20%オフ、15回以上ならなんと70%オフと、ハイブランドが比較的安価に買い取りできるのは大きな魅力といえるだろう。

満足した記者はサービス継続へ

 体験してみて感じたのは、他のサブスクよりも、ファッションがある程度好きな人、詳しい人に向けたサービスであるということだ。

 記者は憧れのブランドが借りられるという高揚感から、どんな洋服を借りようかと1~2時間サイトを眺めていても全く苦にならなかったが、「洋服選びにかける時間をできるだけ短縮したい」「どんな服を着ればいいのかさっぱりわからない」という人にはやや不向きかと思う。

 また、「マルニ」や「メゾンマルジェラ」といった人気ブランドの商品は在庫切れになってしまうことも多いため、「『メゾンマルジェラ』のこの新作が借りたくて入会した」という人には物足りなく感じるかもしれない。しかし、新たなブランドや商品と出会えるのも「アナザーアドレス」の大きな魅力だ。

 近年は「アイテムが多すぎて選べない」という声に応えてレコメンドや検索機能を強化。顔タイプ、パーソナルカラー、骨格タイプ、好みの4つの軸を無料で診断できる「ファッションタイプ診断機能」を搭載したり、ユーザーごとにパーソナライズ化されたアイテム一覧画面で好みのアイテムを見つけやすくしたりしている。

LINEと連携しているので操作も簡単、返却忘れも防げる
ブランドやサイズ、シチュエーションなどによってアイテムの絞り込みもできる

 1カ月の体験終了後、記者は自費で「アナザーアドレス」を再開した。1カ月1万円超のファッションサブスクは20代半ばの記者にとって簡単に出せる額ではない。しかし、数千円の服を月に数枚買うよりも、自分が本当に気に入った上質なものを借りる暮らしの方がいいと考えた。

 「アナザーアドレス」きっかけにハイブランドの着心地の良さを知ってしまったのは若干恐ろしくもあるが、何より良いものを着ると気持ちも引き締まること、周りの人からの見られ方が変わることなどを体感した。良い服を着たいと考えるとき、「高くて買えないから」と諦めるのではなく、「じゃあサブスクで借りよう」という発想が生まれた。ファッションサブスクという事業モデルと、取り扱いブランドのシナジーを感じる、優れたサービスといえよう。

「その服素敵だね」と褒められる度: ★★★★★

 

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