メルカリは5月21日、安心安全な利用環境構築に向けた新たな取り組みを発表した。AI技術を活用した不正監視の強化と鑑定センターの新設により、不正利用者の排除を図る。また、トラブル被害に遭った顧客に対し、購入代金や販売金額の全額補償を明確化する「全額補償サポートプログラム」を7月から開始する。
メルカリはこれまで、〝利用者間のトラブルは利用者同士で解決してもらう〟という方針をとってきた。しかし、昨年11月に購入者による〝商品すり替え〟詐欺がSNS上で話題となるなど、メルカリ上での犯罪件数が増加。不正利用の手口が多様化・巧妙化していることからも、「犯罪行為には速やかに踏み込んで対応する必要がある」(迫俊亮執行役員=写真)と、トラブル解決に積極的に関与する姿勢を見せた。
AIを活用した不正監視の強化では、ユーザーの取引行動における疑わしい行為をAIに学習させ、不正リスクをスコア化する。特定した不正利用者に対しては、アカウントの利用制限、刑事事件化、民事訴訟などによる賠償請求を行う。無在庫出品などの規約違反行為も利用制限の対象になるという。
さらに、偽ブランド品の撲滅に向け、新たに「メルカリ鑑定センター」を設立。現在は取り引きの多いブランド品が主な鑑定対象となるが、今後はさらに対象商品を拡大し、服飾品なども鑑定対象に含める考え。鑑定された商品に関しては、鑑定済みであることをユーザーに何らかの形で示すようにするという。鑑定センターは9月から稼働予定。
「全額補償サポートプログラム」では、トラブル被害に遭った顧客に対し、購入代金や販売利益の全額を補償することを明確化。eKYC(電子本人確認)が済んでいるか、過去の補償申請が合理的な回数であるかなど、顧客が補償を受けるためのガイドラインを公開した。補償金額の上限は設けず、費用はメルカリ側の全額負担とする。
同日に都内で開催された記者発表会で、迫執行役員は、「安心安全な利用環境を構築することは全事業の基盤となる。本取り組みが顧客の利用促進とさらなる事業成長をもたらすだろう」と話した。