10月を前にふるさと納税の「駆け込み寄付」が増え、各ポータルサイトとも活況を呈している。2024年に総務省がふるさと納税の指定基準の見直しを定めた告示を改正すると発表し、「寄付者に対してポイント等を付与するポータルサイト等を通じた寄付募集」を2025年10月から禁止することが大きな要因だ。つまり、各ポータルサイトは10月以降、独自ポイントを寄付者に付与できなくなるわけで、「ポイントがもらえるうちに寄付しよう」という人が急増しているようだ。各サイトも好機とばかりにキャンペーンなどを展開。実際に寄付額もうなぎ上りとなっている。寄付者からするとECに近く、それゆえに競合サービスとして認識するEC事業者も少なくなく、また、各ポータルサイトを運営する事業者もEC関連事業者が多く参戦しており、ECに大きな影響を与える「ふるさと納税」の現状と、ポイント規制後の行方を見ていく。
各ポータルサイトとも寄付額急増
ポイント規制を前に主要なふるさと納税ポータルサイトは駆け込み寄付を取り込むべく、付与ポイントを高めるなどの利用促進キャンペーンを展開するなどしてそれぞれ寄付額が急増しているようだ。

楽天グループが運営する「楽天ふるさと納税」では9月の5と0のつく日に、楽天カードでふるさと納税の寄付を5000円以上申し込むと、付与ポイントが+6%となるキャンペーンを実施(上限は1000ポイント)。5と0のつく日は、楽天カードで買い物をすると、付与ポイントが1%増える恒常的に実施しているため、寄付者がもらえるポイントは+7%となる。
加えて、仮想モール「楽天市場」では、9月10~16日に「楽天スーパーセール」を、19~24日に「お買い物マラソン」を実施。両セールには、ユーザーが買い物する店舗数によってポイント倍率が高まる「買い回り」というルールがあり、1つの自治体への寄付も1店舗分の買い物としてカウントされることから、期間中の5と0のつく日には寄付が集中したとみられる。同社によれば、8月の楽天ふるさと納税における寄付額は、前年同月比で2倍。9月も前年同月を大きく上回る寄付額となりそうだ。
地域創生事業ふるさと納税事業部コンシューマーマーケティング課の北原咲希ヴァイスシニアマネージャーは、最近の寄付動向について「“米騒動”の影響もあり、ふるさと納税で米を頼む寄付者は目立っている。また、物価高が続く中で、引き続き日用品を欲しいという寄付者が増えている。例えば、缶詰や洗剤などが人気だ」と話す。さらに、近年注目を集めつつあるのが、宿泊予約サイト「楽天トラベル」の30%割引クーポン。「ふるさと納税といえば『食品』というイメージが強いが、じわじわと人気が高まっている」(北原ヴァイスシニアマネージャー)とする。

LINEヤフーが運営する仮想モール「Yahoo!ショッピング」で展開するふるさと納税サービス「Yahoo!ふるさと納税」では8月18日から同サイトで寄付を初めて行った利用者に、最大で購入額の全額分のポイントを還元するキャンペーンを開始、9月30日まで実施する。同キャンペーンでは同モールで初めてふるさと納税で寄付を行った利用者に寄付額の最大20%を「Yahoo!ショッピング」などLINEヤフーグループの一部サービスで利用できる「PayPayポイント(期間限定)」で還元する。加えて期間中に実施する寄付の回数と同じ枚数の電子くじを獲得できる「Yahoo!ふるさと納税ジャンボ」で、一等に当選したユーザーには8月18日から同31日までは寄付額の最大50%(上限は7500円)、9月1日から同30日は最大80%(同1万2000円)のポイントを付与するため、8月中は合計で70%、9月中は最大で100%を付与することになる。
こうしたキャンペーンの効果もあってか直近の寄付額は「Yahoo!ショッピング全体のふるさと納税で8~9月は前年比3倍以上と大きく伸びている」(同社)。なお、直近で人気の返礼品については魚介類、海産物などは24年から引き続き定番で人気があり、特に25年については価格の高騰などが影響してか米の人気が目立っているという。そのほか、トイレットペーパーや防災・防犯・セーフティ関連商品の寄付が伸びているとしている。
さとふるが運営する「さとふる」では9月1日から同30日まで「超さとふるジャンボ‒ファイナル‒」と題して期間中にエントリーの上、アプリで寄付を行った利用者に抽選で寄付金額に対して、独自ポイント「さとふるマイポイント」を最大1000%(期間中の付与上限10万ポイント)、同50%(同5000ポイント)、同1%(同100ポイント)をそれぞれ付与するキャンペーンを軸に、毎月アプリで実施しているキャンペーンで3と8のつく日に寄付額の最大7%分のポイントを上限なしで付与する「さとふるの日」で9月については2と7のつく日もポイント付与対象日とする取り組み、初めてPayPayで決済した利用者に決済額の15%分(期間中の付与上限500ポイント)の「PayPayポイント」を付与する取り組みなども行っている。
直近の寄付額の伸長については「7~8月末までの寄付額は前年同期比で1.8倍以上に増加している。特に8月最終週(8月25~31日)の寄付額は前年同期比で3.1倍以上に増加した」上半期ランキングにランクインしてい(同社)としたうえで「2023年10月に募集経費見直しなどを伴う法改正が施行された際には9月に前年の4.5倍以上の寄付額が集まった。これは同年の年末と同水準の寄付で、今年も同じく9月に駆け込み寄付をしようとする方が増えると考えている」(同)と9月にはさらに駆け込み寄付が増える見込みであるとした。
なお、人気の返礼品については「さとふる」の2025年の上半期ランキングで初めて日用品が総合ランキングのTOP3にランクイン。同社によると、物価高騰の影響などによって日用品の返礼品を求める寄付者が2023年頃から増えているようで、2位の栃木県小山市の「ボックスティッシュ」は2024年の上半期ランキングでは6位、同年の年間ランキングで4位と順位を上げているという。2025年1月から4月までは1位を獲得していたことからも、日用品が定番人気となりつつあるとする。ただ、ポイント規制前の直近の返礼品の人気の変化については「直近の週間・月間ランキングともに、上半期ランキングにランクインしている品目と大きく相違ないことから、人気の傾向はとくに変化は見られない」(同)とする。一方で普段と異なる動きとしては自治体や事業者が「寄付額改定」や「限定寄付額」という文言を品名につけた返礼品を出しているようで、制度改正の10月以降、寄付額が上がる返礼品もある中で注目が高まっているよう。