楽天がドイツでネット販売を開始する。7月28日、独ネット販売大手のトラドリア(画像)の株式80%の取得を完了し子会社化したと発表。楽天がこれまで培ってきたノウハウや経営手法を注入し、「ドイツ版楽天市場」を展開する考えだ。欧州では昨年のフランスに続く2例目の参入。ここを足がかりにし、ポーランドなど東欧へ進出する構想も描いている。
トラドリア社は楽天と同じビジネスモデルで、中小規模の店舗を対象とした仮想モール事業を展開している。現在の出店店舗数は約4400店。取扱商品数は約800万点で、家具やファッション、アクセサリーなどを幅広く扱っている。会員数は、具体値は不明だが昨対比3倍で拡大しているという。
楽天では、トラドリア社と、昨年買収したフランスのプライスミニスター社のサイト間での連携を検討。商品情報を両サイトで共有するなどが一例だ。また、ノウハウの共有も行っていく考え。ブランド名は当面は変更しないが、いずれ「楽天」ブランドに変更する予定という。なお、買収額は非公表。
ドイツでは現状、ネット販売事業者はアマゾンやイーベイが先行。「トラドリアは3~4番手」(楽天・三木谷社長)だが、楽天では「年間230%程度で伸びているので、4~5年後には(アマゾンなどに)肩を並べるレベルにいけるのではと思う」(同)とみており、こうした成長率が買収を決めた一因となったようだ。
楽天の海外での仮想モール展開は台湾、タイ、中国、米国、インドネシア、フランス、ブラジルに続く8カ国目。三木谷社長は27カ国への進出を明言しており、今後は「東欧に近いドイツの会社がグループに入ったので、ここを足がかりにポーランドなどにも進出したい」(同)構想を描いているようだ。