日本通信販売協会(JADMA)はこのほど2010年度の通販市場の売上高について調査を行い速報値を公表した。それによると、2010年4月~2011年3月までの通販売上高は前年比8・4%増の4兆6700億円だった。(別表は過去10年間の推移)
同調査はJADMA会員517社に加え、各種調査から推計できる有力非会員約150社の売り上げを加えて算出。調査は2011年6月17日~7月22日に実施した。
調査の結果、10年度の市場伸長率はここ10年間では04年度~06年度の10%前後の伸び率に次ぐ高い数値となった。金額ベースでは全年に比べて約3600億円の増加となっている。流通全般ではデフレなどの影響で消費が低迷しているものの、通販市場は過去10年間で2倍近くに拡大したことになる(01年は2兆4900億円)。
非会員では「アマゾン」や「楽天市場」といったモール型のネット販売市場の伸びが顕著になってきているほか、小売メーカーの自社通販サイトなどが好調に推移していることも市場に好影響を与えたと考えられる。
なお、JADMA会員社の売り上げ合計は同4・4%増の約3兆800億円。テレビ通販企業が集計31社で伸び率12・9%、BtoB通販企業が集計11社で伸び率7・2%と好調に推移し、全体をけん引したもよう。
商材別の売り上げ状況としては例年通り「健康食品」「化粧品」が好調だったほか、3月11日に発生した東日本大震災の影響でトイレットペーパーといった「生活雑貨」の需要増も多少あったという。
震災関連の需要は今後もしばらく続くと見られており、JADMAでは「消費者の安心安全志向が強くなっているので、産地から家庭に直接届けられる食品通販事業などの伸びが見られるのではないだろうか」との見方を示している。