楽天が2011年の「ショップ・オブ・ザ・イヤー」を発表

楽天は2月2日、都内で「楽天市場」出店店舗を対象にした「楽天ショップ・オブ・ザ・イヤー2011」の授賞式を開催した。同イベントは、売り上げや注文件数、ユーザーの人気投票などを基に選ばれた店舗を表彰するもの。総合グランプリは、日用品や医薬品を扱う爽快ドラッグが受賞。一昨年、昨年に続く受賞で3連覇を達成した。同社は配送や品揃えを充実させたほか、昨年は東日本大震災の影響で日用品の需要が高まったこともあり、こうした部分での商品供給が高く評価されたようだ。2位は、前回3位のケンコーコムが受賞。3位は前回2位の上新電機が受賞しており、順位の変動はあったものの上位3店が3年連続で同じ顔ぶれとなった。

「楽天市場」は日本最大のネット販売のプラットフォームとしての地位を確立しており、ここでの受賞店舗の動向や三木谷社長の講演は今後の戦略を立てるうえで少なからず参考になるだろう。市場の動向を占う意味で、授賞式と翌日開催されたカンファレンスの詳細をみていく。

「爽快ドラッグ」が3連覇

同イベントは、楽天市場に出店する約3万7000の店舗の中から、売り上げや注文件数、ユーザーの人気投票などを基準に総合的に評価し、優秀店舗を決定するもの。今年で14回目の開催となる。総合賞のほか、ジャンルごとの優秀店舗も決定した(表参照)。

3年連続で総合グランプリを受賞した爽快ドラッグは、「医薬品・コンタクト・介護ジャンル賞」でも「ジャンル賞ダブルイヤー」を受賞した。商品グループ兼Webグループの加藤グループ長は、表彰式後のインタビューで「本当に嬉しい。この1年、品揃えも値段も配送も、お客さんに満足していただけるレベルを目指して改善に改善を重ねてきたので、そのあたりが評価していただけたのかなと思う。どれかひとつではなく総合的に底上げしてきたので、来年も同じように頑張りたい」と喜びを語った。4連覇への自信については、「結果的に取れれば嬉しい」と控え目に述べるに留めた。

「楽天市場」では震災以降、日用品の需要が急増。その利便性に着目し、普段ネットでモノを買わない層の利用も拡大したとされている。こうした震災以降の変化については、「初めて利用される新規のお客さんが増えた。日用品をネットで買うという行為が一般化したのだと思う。これは今後も変わらない傾向だろう」との見解を示した。

2位はケンコーコム、3位は上新電機

2位のケンコーコムは、「今年は震災があり、生活必需品に対するニーズが増えた。ユーザーのライフラインを支えるため、バックアップ体制やリスク管理を徹底するなどインフラを強靭なものにし、しっかりした供給体制が維持できるよう心がけてきた。今年はさらにインフラ整備を進めていきたい」とコメント。また、今年は海外展開にも力を入れると明言。「中国、アジアなどでの国際展開に取り組んでいきたい」と意気込みを語った。

3位の上新電機は、「昨年は激動の1年だった。今回で8回目の受賞となり、総合賞をいただいたのは5回目となる。末広がりの8ということで、今後も末永く『Joshin web』をご愛顧いただけるように頑張りたい」とコメントした。

「エリア賞」も新設

また、翌日行われた「新春カンファレンス」では、三木谷社長の講演(詳細はページ上部の記事参照)のほか、新設された「Shop of the Area」も発表。2011年に楽天市場で活躍した店舗を地域別に選出、表彰するもので、当日は関東・北陸・甲信越エリアから選ばれた20店が参加。「イケベ楽器楽天ショップ」や「総合家電のお店 まいどplus」などが受賞した。

楽天の新春カンファレンスから三木谷社長講演要旨

「今後は流通総額10兆円を目指す」

カンファレンスで講演する三木谷社長

楽天は昨年、ついに年間流通総額が1兆円を突破しました。楽天市場を始めた最初の月の売り上げは32万円。18万円分は私が買っていたので、実質は14万円ということになります。そこから1兆円まで14年かかりましたが、後半の5000億円から1兆円までは約4年間でした。次なる目標は、今までは3倍の法則でやってきましたが3兆ではなく10兆円を掲げたいと思っています。

今後10兆円には何が必要なのか。ポイントとしては、ソーシャル、デバイスの進化、HTML5、ビッグデータなどが挙げられると思います。

これから、ますます楽天グループは物流に注力していきます。これは強制のサービスではなく、あくまでもオプションサービスとしてですが、究極的には5時間以内にモノを届ける、ということを実現したいと思っています。また、今後は独自の物流倉庫をどんどん作っていくつもりです。皆様の商品を預かって、経済的にユーザーにお届けすることを考えていきたい。サービスを向上し、コストを削減し、「おもてなし」のマインドで流通を一気に拡大することを考えていきたいと思っています。自分で物流をやったほうが効率的だと思われる方もいるかもしれませんが、実際には人件費などいろいろなコストがかかります。アウトソースすることで売り上げを伸ばすことができるわけです。配送料も圧倒的に安くなる。「あす楽」にも対応できます。そして、品質も向上されるわけですね。これからは物流の相談もさせていただくことになるでしょう。拠点は東京だけではなく全国に作っていきたいと思います。

これからは補完的ではなく、インターネットショッピングが中心になる時代がくるでしょう。ECが出現して約15年、いまやコンビニ、百貨店に匹敵するまでになっており、現在もどんどん伸びています。「楽天市場」では、ついに1日約100億円を達成しました。次の目標は30時間で200億円を実現すること。3月には楽天のテレビコマーシャルも含めて、大きな仕掛けを打っていこうと考えているところです。

楽天は国際化を進めていますが、その過程で分かったことは、「楽天市場」のモデルは非常にユニークで、アマゾンモデルに対抗できる唯一のモデルだということです。現在は英語化、人材のグローバル化、戦略のグローバル化を進めていますが、目標としては、最低でも売り上げの10%、できれば20%を海外での取引にしたいと考えています。「おもてなし」を世界に広げていきたいと思っています。

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