ついに参戦したGoogle+、通販企業のSNS活用の今後は?

楽天の「Google+ページ」。フェイスブックページを超えられるか?

グーグルが11月8日、SNS「Google+(グーグルプラス)」で企業が情報を発信できる「Google+ページ」を開始した。ミクシィの「mixiページ」やフェイスブックの「フェイスブックページ」に続いてグーグルが参入したことで、国内における3大SNSすべてが「企業ページ」を持ったことになる。“最後の大物”だった「Google+」が満を持して参戦したことで、これを機に今後、一気に通販企業の活用が進む可能性が高まったといえそうだ。ただ、まだ通販企業のSNS活用で成果を出している事例は少ないのが現状。果たして2012年、SNS活用における成功事例は多く現れるのだろうか。それとも「セカンドライフ」のように、一過性の「ブーム」にとどまってしまうのだろうか。それを占う意味で、「Google+」を中心に各SNSにおける通販企業の活用の現状をみてみる。

「サークル」などで違うGoogle

そもそも、グーグルが開始した「Google+ページ」とはどのようなサービスなのか。

サービス開始は11月8日。「Google+」のアカウントを持っていれば、「mixiページ」や「フェイスブックページ」など他のSNSの企業ページ同様に、「誰でも無料で」ページを作成できる仕組みで、これにより企業が自社の名前を冠したページを持つことができるようになったほか、「ブランド」や「商品名」でも公式ページを開設することが可能になった。

サービス内容は、「Google+ページ」でも他SNSの「ページ」同様、商品の新着情報やキャンペーン情報などを「ストリーム」と呼ばれる交流スペースに投稿できる仕組み。写真や動画などを投稿・管理することも可能だ。「ハングアウト」と呼ばれるビデオチャット機能を使って「ファン」と交流することも可能で、フェイスブックなどの「いいね」に該当する「+1」ボタンも用意されている。

「Google+」が他のSNSと異なる点は、「サークル」と呼ばれるグループ分け機能の存在だ。あらかじめ「友だち」や「家族」「仕事」などとフォロー相手を分類しておくことで、サークルごとにセグメントして情報を発信できるもので、これにより、企業は「既存客」や「見込み客」などに別々に情報を発信できるようになっている。

楽天はフェイスブック経由の流入が数十倍に

以上がグーグルの「Google+ページ」の概要だが、こうしたSNSの「企業ページ」を、通販事業者はどのように活用しているのだろうか。

基本的な戦略は現在のところ、各社とも概ね同じ。自社のページを登録した「ファン」に向け、最新の商品情報やキャンペーン情報を発信し、投稿の際に添付したURL経由で自社サイトへの誘導を図る、などが一般的だ。

ただ、中には面白い、独特の工夫を凝らしている事例もある。例えば、早々にフェイスブックの活用に着手しているネットプライスでは、共感を示す「いいね!」ボタンを活用。「フェイスブックページ」内に設置した「いいねギャザリング」で販売する商品について、ユーザーが「いいね!」をクリックするごとに売価を下げる試みを行った。

また、23万人超の「ファン」を抱える楽天の「楽天市場 お買い物部」は、「お買い物部」に入部することで「楽天市場」で開催するセール・ポイントキャンペーン企画の付与ポイントを2倍にするなど、仮想モールと連動した施策を実施。こうした取り組みで「ファン」を拡大しており、「お買い物部」経由の「楽天市場」への流入数は前年同月比で数十倍に伸びたという。ただ、「Google+」「mixiページ」との使い分けについては他SNSのファン数が少ないこともあり、まだ特に意識はしていないようだ。

「Google+ページ」はまだこれから

「企業ページ」の最大の特徴は「いいね」や「+1」による情報の〝共有〟であり、「ファン」間で情報を共有・拡散することで、企業の「ファン」以外の層にまで広範に情報を届けられるところにある。このため、通販事業者は「企業ページ」を持ち、情報を発信することで自社サイトへのトラフィック増が期待できるわけだ。

ただ、こうした施策による直接的な売り上げへの寄与などは、現状ではあまり期待していないとの声が多い。もちろん最終的に期待するのは「売り上げ増」だろうが、まずは継続的につながっていてくれる「ファン」を多く作ることが重要とする向きが多く、現在はブランディングの一環として捉える傾向が強いようだ。

「ページ」の通販企業の活用状況は、「Google+ページ」は開始から日が浅いこともあり、参加企業は楽天やヤフー、ユニクロ、ネットプライスなど数社に留まっているのが現状(表参照)。

一方「フェイスブックページ」はこれらの企業に加え、ニッセンやイマージュ、アイム、カタログハウス、ドクターシーラボ、スタートトゥデイなどの有力通販企業が多く参加。アプリなどを活用して独特の施策を展開している。ミクシィの「mixiページ」も同様に、楽天や千趣会、夢展望など多くの通販事業者が参加している状況だ。

ファンの規模ではフェイスブックが最多?

次に、「企業ページ」の人気の指標となる「ファン(サークルなどに入れているユーザー)数」を、代表例として楽天、ヤフーのアカウントでみてみると、まず「Google+ページ」では、楽天の「楽天市場 お買い物部」は1066人、ヤフーの「ヤフー!ショッピング」は155人にとどまる。

一方「フェイスブックページ」では、楽天は23万1892人、ヤフーは6万3479人と圧倒的。「mixiページ」は、楽天は2万9496人だが、ヤフーが933人となり、「フェイスブックページ」よりファン数では大きく落ちる状況だ(いずれも2011年12月12日時点)。

最後に、これらSNSのユーザー層の違いについて。もちろん企業によってバラつきはあるだろうが、一例として幅広いユーザーを抱える楽天の場合でいうと、フェイスブックは30代以上のユーザーが中心で「ご意見」的なコメントが多く、ミクシィは若年層や女性が多数でコメントはシンプルなものが多いという。「Google+」については「まだはっきりしたコメントは出せない」(楽天)としている。

今後、SNSを効果的に活用するためにはこうしたユーザーの傾向も考慮して施策を練る必要はあるだろう。

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