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消費者庁、不当表示対策で大幅増員――予算要求から見えるポイントは?

消費者庁の来年度の予算要求が明らかになった。要求額は前年比約18%増となる約142億円。中身からは、健康食品の規制強化に向けた取り組みやインターネットを使った消費者トラブルの把握など、来年度に予定される消費者庁の動きが見えてくる。気になるポイントを見ていく。
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健食の機能性「根拠」を検証

まず、健康食品の規制強化。気になるのは約1600万円の予算を計上し、新規事業として行う「健康食品のエビデンスに係るセカンドオピニオン事業」だ。中身はどんなものか。

「従来の景品表示法は、不当表示の調査を行う際、事業者から根拠資料の提出を受け、その都度、これに対応した専門家を探し、意見聴取して根拠の妥当性を検討していた。だが、これでは執行までに時間がかかる。あらかじめさまざまな学術分野の専門家を集め、科学的根拠の文献査読や実証を行える体制を構築する」──。食品表示の監視を担う食品表示対策室では、新事業の中身をこう説明する。つまり、何か問題が起きてからではなく、事前に専門家集団を組織することで調査・執行の迅速化を図るものだという。

しかも、扱うのは不当表示だけではない。詳細は明らかにしていないが、社会的に関心の高い機能性成分の根拠や、消費者団体など外部から寄せられた機能性表示食品の疑義情報に対し、これを検証する役割も担うことになりそう。より積極的に、健食や機能性表示食品の根拠の妥当性を見ていく機能も果たす。

ここ数年、ダイエット健食の措置命令が相次いでいる背景には「〝食事制限や運動をせず、楽してサプリで痩せることはない〟という専門家の統一見解が示されたことが背景にある」(行政関係者)という。同じように、専門家集団がなんらかの〝統一見解〟を示すことになれば、その分野の健食に対する監視もおのずと厳しいものになりそうだ。

課徴金対策で80人

体制に景表法の執行を担う表示対策課の人員も来年度の課徴金制度導入を視野に、大幅に増やす。現在、消費者庁の定員は309人。「食品表示対策室」を含め、このうち65人程度を表示対策課が占める。来年度は新規増員として25人を要求。だが、このうち16人が対策課の定員要求になっている。認められれば80人という大所帯の組織になる。 ちなみに特定商取引法の定員要求は3人。この点からも消費者庁の不当表示対策への力の入れようがうかがえる。

機能性表示食品、早くも見直し検討

食品の新たな表示制度である「機能性表示食品制度」は4月に始まったばかりだが、すでに届出件数が300件超に達し、販売を開始した企業の中では爆発的な売れ行きをみせている企業もある。ひとまずは政府の成長戦略は成功したといえるだろう。一方、開始当初から消費者団体による猛烈な抗議が続いており、制度の先行きには不透明感もある。

そんな中、さっそく制度の見直しを行う「機能性表示食品制度に係る残された課題検討会(仮称)」の設置が予定されている。開催は早ければ今年11月。新制度はビタミン・ミネラルが対象にならないことや、薬と異なる健食本来の特徴である〝機能性成分が明確でない素材〟が対象にならないといった問題がある。また、消費者団体からはさらなる規制強化の要請もある。早ければ今年度中にもこれらの検討を始めるようだ。

ネット書き込みからトラブル把握

消費者トラブルに関する情報収集力の強化に向けた新規事業も行う。予算要求は1000万円。これまで、消費者庁では、国民生活センターが運用する被害情報収集システムである「PIO─NET(パイオネット)」や同庁で運用する事故情報データベースなどから消費者トラブルを捕捉していた。

だが、これらデータベースでは補足しづらい消費者被害を〝インターネット上の書き込み〟などから把握する手法の検討を進めていく。これにより、消費者被害の未然防止や拡大防止に向けた取り組みを強化する。

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