Yahoo!ショッピング、9月から出店を有料化――システム使用料と売上ロイヤリティ徴収へ

 LINEヤフーは9月1日から、運営する仮想モール「ヤフーショッピング」の利用料を有料化する。現状、徴収していないシステム利用料を同日以降、月額税抜1万円を徴収するほか、売り上げの2.5%を売上ロイヤリティとして別途、徴収する。2013年に無料とした月額利用料および売上ロイヤリティを12年ぶりに有料にする。「サービス基盤を強化し、出店者に成長機会を広げていくために料金体系を変更することにした」(同社)としている。有料化で休眠店などを排除して出店者を絞り込みモールとしての質の向上を図っていきたい考えのようだ。

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9月から月額固定費を1万円徴収

  「ヤフーショッピング」は9月1日から出店者向けのプランを変更する。「ヤフーショッピング」の出店プランは同プランの1種類のみで、新たなプランがすべての出店者に適用される。

 新プランでは現行は徴収していない「月額システム利用料」を1万円(税抜)徴収。同じく現状は徴収していない「売上ロイヤルティ」を売り上げの2.5%分徴収する。なお、「初期費用」は現行と同じく無料のまま。また、「ストアポイント原資負担」も現行の1〜15%のままで変更はない。

ヤフーショッピングに出店する優良店を表彰する「ベストストアアワー ド 2025」の表彰式に登壇し、今後の「やフィーショッピング」の戦略を 説明した出澤社長
9月から出店プランを変更する「ヤフーショッピング」(同社の資料より)

 一方で現行は出店者が売り上げの1.5%分を負担している「キャンペーン原資負担」は徴収しないようになるほか、同モール内の商品検索順位アップや顧客分析ツールの利用など同社が用意した集客・販促支援サービスを利用するために任意で加入できる「プロモーションパッケージ」が現行では売り上げの3%を徴収しているが、9月1日以降は2%に引き下げる。

 また、新プランでは同社が運営する対話アプリ「LINE」の主な機能に利用者を誘導する導線である「タブ」の1つでグループの通販サービスに誘導する「ショッピングタブ」を経由して「ヤフーショッピング」の商品が売れた場合、「ショッピングタブ掲載経由料金」として売り上げの2〜4%を徴収する。料率は商品のジャンルの異なるとしているが、詳細は「現状詰めている段階」(同社)としており、明らかにしていない。なお、「ショッピングタグ」は現状、LINEのギフトサービス「LINEギフト」への送客がメインだが、4月以降から「ヤフーショッピング」への送客も本格化する予定としている。

 また、時期は未定としているが2月25日から開始した「ヤフーショッピング」で生成AI(人工知能)が利用者からの相談・質問を受け、当該利用者の属性や購入履歴なども加味しつつ、最適な商品を提案する機能「Yahoo!ショッピングAIエージェント」(9ページに詳細)を経由した売り上げに関しても手数料を徴収する意向。手数料率に関しても未定だが、「ショッピングタブ掲載経由料金」のように商品ジャンルに応じて料率が変わる形を想定しているようだ。また、AIが商品を提案するWEBページ上には出店者が自社商品を表示できる広告枠も設定する意向とし、当該広告を利用する場合には別途、広告料を徴収する考えのようだ。

負担変わらない、下がる店舗も

 同社は水をあけられていた競合サービスへの対抗のため、2013年10月に「eコマース革命」と称して「ヤフーショッピング」の初期および月額出店料と売上高に応じて当該額の1.7〜6%を徴収していた売上ロイヤルティ(売上高手数料)を完全無料化した。その後、出店者数の大幅増に大きく貢献。13年10月当時は約2万店だった出店者数は現状では120万店舗以上となっている。すでに出店者数は十分でむしろ休眠店などを減らすなど仮想モールとしての質向上のために一定の売り上げを上げていない出店者を排除して、優良出店者に絞り込みたい狙いなどもあって出店プランの変更に踏み切ったとみられる。

 実際、新プラン移行後の出店者負担をみると売上ロイヤルティ分として2.5%を徴収される一方、キャンペーン原資負担分の1.5%がゼロに、プロモーションパッケージ分は1%減ることから相殺となる。月額システム利用料として1万円を徴収されるため、その分の負担は増えるが、プロモーションパッケージを使って販促策に注力する一定の売上高を上げている出店者の負担はこれまでよりも軽減されるケースもあるよう。

 また、新たに徴収されるショッピングタブ掲載経由料金については「LINEユーザーというこれまでなかった送客に対する対価であり、単純に負担増という性質のものではない。そのため、一部の大口出店者には2月下旬から新プランの案内を先行して行っているようだが、同社によると否定的な意見は少なく概ね受け入れている声が多いという。「ヤフーショッピング」を統括するコマースドメインショッピングSBU統括本部長の杉本務氏も「(新プランによる変化は)もちろん、固定費を頂くことになったので相応の反応を頂いたストア様もいるが、特にプロモーションパッケージを活用いただいているストア様にとってはあまり変わらないこともあり、聞いている限り、全体の7割近くが中立またはポジティブな声を頂いている」としている。

 なお、このタイミングで月額固定費を徴収する新プランに切り替える理由については同社では「この1年でAIを取り巻く環境が大きく変化した。ECに与える影響もあり、危機感もあったし、同時にチャンスでもあり、2026年は大きなパラダイムシフトが起きるタイミングだろうということで、ここで新しいビジネスモデルに変換した方がいいと判断して、新プランを導入して(出店者の)成長のための施策を通じて皆様に還元していきたいと考えた」(杉本氏)とする。

 「ヤフーショッピング」専門のコンサルティング事業を行っているアルドの佐藤英介代表取締役はヤフーショッピングの有料化について「出店者の間ではポジティブな反応が多い。変な店舗やゾンビ店舗がいなくなれば本気でやっている人が伸びやすくなるということとLINEからの流入を期待している反応が見られた」とする。

 有料化に伴うヤフーショッピングの流通額への影響については「弊社の推定で月商が1万円未満の店舗が2〜3万店、1万円以上が4万店以上、10万円以上は2万店以上いる。固定費が月1万円になると月商が10万円未満の店舗は退店してしまうと思うが、ヤフーショッピングの流通額に与える影響はそれほど大きくない。一方で月商10万円前後の店舗は固定費がかかることで本気になり、そうした店舗の動きが活発化する効果もありそう。現在、メルカリSHOPSなど後発のモールでも審査が厳しくなっており、ヤフーショッピングを退店しても行き先がないという事情もある」(佐藤氏)とする。また、LINEの「ショッピングタブ」経由の送客については「LINEはコミュニケーションアプリであり、そこにショッピングタブを作っても押す人はあまりいないと思うため、効果はすぐには出ないだろう。ただ、LINE内で限定ポイントを出すなど大掛かりなキャンペーンを行うなどで徐々に効果が出ると見ていて、来年以降には効果が出てきそう」(同)としている。

26年は「LINEとAI」で拡大へ

 なお、「ヤフーショッピング」の今後の戦略について3月7日開催の「ヤフーショッピング」の優良店を表彰する「ベストストアアワード2025」の表彰式に登壇した出澤剛社長は「『ヤフーショッピング』は当社にとって非常に重要な事業。25年は良い形で着地できる見込み。26年はさらにアクセルを踏み、盛り上げていきたい」とした上で「26年は『LINE』との連携が本格的に始まる。これまでは『ヤフーショッピング』を売り場として活用してきたが、今後は『LINEヤフーショッピング』『ヤフーLINEコマース』として提案型の売り場を提供しユーザーのあらゆる接点で売り場や会話が広がるような戦略を考えている」とした。また、「AIの活用を進める。先週(2月25日)はユーザー向け(「ヤフーショッピング」内での一連の購買行動全体を生成AIがサポートする新機能「Yahoo!ショッピングAIエージェント」)、今週(3月2日)からはストア向け(ヤフーショッピングでのストア管理業務をAIが支援する「Yahoo!ECPilot」)と新たなAIサービスを開始した。ユーザーとの接点作りと業務効率化の両面でストアのビジネス成長を支援したい。2026年はこの2つ(LINEとAI)で大きく伸ばしていきたい」と説明している。

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