「オリジナルスティッチ」は10 億通り以上のデザインができ、ウェブ上でデザイン を立体的に確認できる

昨今、オーダーメード型ECやパターンメード型ECがプチブームとなっている。以前からTシャツなどを自分好みのデザインにカスタマイズできるECはあったが、この1~2年はビジネスシーンがメーンではあるものの、ドレスシャツやスーツ、靴といったファッションアイテムにもオーダーメードが広がってきている。

EC専業ではベンチャー企業が中心となって新規参入。国内の工場と直接、取り引きするなどして中間コストを省くことで、オーダーメードであっても手にとりやすい価格設定を実現しており、これまではオーダーメードとの接点が少なかった層を囲い込もうとしている。一方、リアル店舗がメーンの小売り企業もオーダーメード型のECをスタート。実店舗を持つ優位性をベスに、店頭のスタッフが採寸することでEC利用の不安を解消するとともに、店頭在庫の適正化などにつなげているようだ。注目を集めているオーダーメード型EC の現状を見てみる。

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大手国内メーカーと提携

オーダーメードシャツのECで先行する「オリジナルスティッチ」は2013年12月に米国で事業をスタートし、14年4月には日本にも上陸。日本版の運営はスマホアプリの開発などを手がけるインスプラウトが担当している。

常時200種類以上の生地を用意しているほか、袖や襟、ボタン、ポケット、プリーツなどシャツの細部までカスタマイズでき、10億通り以上のデザインが可能で、独自開発の3Dデザインシステムによりウェブ上で立体的にシャツのデザインを確認できる。

サービス化に当たっては、日本の大手シャツメーカーであるフレックスジャパンと提携。実店舗を持たずに工場に直接発注することで、同品質のオーダーメードシャツと比べて3~4割安く、既製品と同水準の8500円~1万2000円程度で、注文から約2週間で届け、送料は無料だ。

サイト開設時は首まわりと裄丈、胸囲、ウエストの4カ所を入力するイージーオーダー型だったが、その後は13カ所のフルオーダーに対応した。ただ、最近では採寸の手間を省いて自分の身長と体重を入力すると平均的なサイズが表示され、そこから微調整する仕組みも取り入れている。それでもオーダーシャツに不安を感じる消費者のために、「オリジナルスティッチ」ではサイズが合わなかった場合、最初に届けたシャツの返品は不用とし、無料で一着、作り直している。

現状、25~45歳の顧客が多く、オーダーメードであっても比較的若い層の開拓に成功している。会員数は世界で13 万5000 人、そのうち日本が5万人で、今年中に世界で40万人、日本で15 万人の獲得を目指している。

集客面はウェブ広告が中心で、新規開拓については、例えば男性、首都圏、年齢などでターゲットを絞り込んだ上で季節ごとにフェイスブック広告を打っているという。

インスプラウトによると、「オーダーメードによる“ぴったりサイズ”の良さが分かってもらえれば、シーズンごとに購入してもらえる」(三根一仁社長)としており、実際、売り上げの約半分がリピーターによる注文という。

そのため、初回購入のハードルを下げる目的で1枚目の作り直しに対応しているほか、足もとでは初回2000 円割引などの施策を実施している。加えて、量販店のシャツの上限は4000 円程度のため、選べる生地の種類を限定したり、細部のカスタマイズをなくすなどの条件付きで同水準の価格で購入できるエントリー的なアイテムを投入することも検討している。

15 年10 月からは「スーツセレクトエビス」に専用コーナーを設け、採寸 を行っている

15年10月から16年3月末までの半年間は、紳士服チェーンのコナカが展開する「スーツセレクトエビス」内に「オリジナルスティッチ」のコーナーを設けている。店頭では「スーツセレクト」のスタッフが13カ所の採寸を行い、採寸した紙を渡してネットでオーダーしてもらう。現在、店頭オペレーションの精度を高めているところで、4月以降については、首都圏の「スーツセレクト」全店にコーナーを設けることも含めて協議中という。「オリジナルスティッチ」としては採寸できる場所を増やしたい考えで、紳士服の量販店を中心にテーラーなども候補という。

また、これまではパソコン版を中心にマーケティングを行ってきたが、16年はスマホに注力する。スマホサイトはパソコン版と同じステップでデザイン、カスタマイズをしてもらっているが、スマホでは購入までのステップが多すぎると離脱の原因になるため、例えば、生地を選んだ瞬間に人気のデザインを複数表示して次の選択をしやすくするなど、ステップを少なくできるように工夫する考えだ。

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