今年のEC市場の出来事を振り返る!! 2016年のEC業界10大ニュース

AIやIoTといった新技術のEC活用の広がりや、DeNAのキュレーションサイトを巡る
炎上騒動、ECの巨人であるアマゾンの全品送料無料の中止などEC業界の今後にも大
きく影響するであろう様々な兆しや事象などが起こった2016年。2016年における
EC業界の10大(重大)ニュースとは──。(※本紙編集部が独断と偏見で選びました)

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アマゾンが販売を始めたIoT発注端末「ダッシュボタン」。ボタンを押すだけで特定商品を購入できる。

【1位】AIやIoTなど新技術のEC活用広がる

2016年はAI(人工知能)やIoT(モノのインターネッ
ト)、VR(バーチャルリアリティ)など新技術がECに
活用されはじめた年だった。
大手仮想モールや通販サイトがいわゆるビックデータの解析にAIを活用して優良客の購買パターンやサイト内の行動履歴などを分析して、購入率などが最も高まる最適な商品の紹介方法やレイアウト、推奨方法などの探索に活用したり、顧客からの問い合わせ対応にAIを導入して自動的に返信したり、変わったところでは配送効率アップのために、最適な商品の配送ルートを決める際にAIを活用するなどEC事業に関わる試みやサービスが増え始めた。
IoTのECへの活用も目立った。モノにインターネットがつながることで例えば「プリンターのインクが足りなくなったら、インクを自動注文する」といったように“出口”にECをからめやすいこともあり、様々な動きが出始めた。また、最近ではアマゾンジャパンが「アマゾンダッシュボタン」という小型のボタンの販売を開始。

Wi-Fiを介してボタンを押すだけで商品が注文できるものだ。スタート時点では洗剤やミネラルウォーター、ビール、トイレットペーパーなど約40種類の専用ボタンが用意され、例えば、冷蔵庫やトイレの中のトイレットペーパーロールなどに「ビール」や「トイレットペーパー」のダッシュボタンを設置しておけば、PCやスマートフォンを開くことなく、ストックがなくなったと思った際に、ワンプッシュで当該商品を発注できる。
また、VRのEC活用の動きも増えてきた。多くはスマートフォンをヘッドセットに装着して視聴する形のものが多く、すでにファッションショーや展示会を疑似体験しながら商品を購入できる仕掛けなど様々な試みが始まっている。日本だけでなく、中国の大手仮想モールでもVRを活用して専用装置を装着すると画面にリアル店舗の360度画像が映され、ユーザーは中国にいながら、各国の土地でショッピングを疑似体験でき、目の焦点を合わせるだけで画面内の商品を購入することができるという販促策を実施している。2017年以降もAIの利活用やIoT対応製品とECの連携、VRの販促への活用などがよりいっそう進みそうだ。

【寸評】経験と勘で行っていた施策や分析がAIで劇的に効果を高められるとすれば事業者が活用しない手はない?

DeNAの守安社長㊧と南場会長

【2位】「まとめサイト」が社会問題化

DeNAが運営するキュレーションメディア(まとめサイト)が掲載した記事に対し、「内容が不正確」「薬機法違反の恐れ」「盗用ではないか」との指摘が相次ぎ、同社では全10メディアの公開を停止。守安功社長や南場智子会長らが記者会見で謝罪する事態となった。
同社では2014年、住まい・インテリア情報の「iemo」を運営するiemoと女性ファッションの「MERY」を運営するペロリを約50億円で買収、キュレーションメディア事業に参入した。その後メディア数は10まで拡大。若い女性の間で人気のMERYを中心にアクティブユーザー数を拡大、事業全体で2016年9月には単月黒字化を達成し、10~12月には四半期黒字となる見込みだった。

会社としても大きな期待をかける事業だったが、大きな落とし穴があったわけだ。守安社長は「事業の成長を追い求めすぎ、正しい情報に配慮がなさすぎた」と記者会見で反省の弁。
キュレーション「メディア」といえば聞こえはいいが、実態は他のサイトから集めてきた記事や画像を組み合わ2位「まとめサイト」が社会問題化せた「まとめサイト」だ。「メディア事業を作っていくことに際し、著作権者への配慮や質の担保ができていなかった」(守安社長)。
11月頃からウェブにおいて同社まとめサイトへの批判が激しくなり、とどめとなったのがウェブメディア「BuzzFeed Japan」による告発記事だ。非常にモラルに欠くライター向け「マニュアル」を暴露されてしまった。同社でも「他サイトからの文言の転用を推奨していると捉えられかねない点があった」(守安社長)と認め、ついには全10メディア非公開化に追い込まれた。
今回の事件はSEO業界にも大きな影響を与えそうだ。コンテンツマーケティング的観点からいえば、まとめサイトはSEOとして非常に有効。それがゆえにここまで量産されてきたわけだが、それは安価にコンテンツが作れることを前提としていたわけだ。
今後は「盗用」はもちろん、ヘルスケアなど人命に関わる領域では、不正確なものや薬機法違反を疑われるようなコンテンツは厳しい目を向けられるはずだ。ネット販売企業も、購入につながるコンテンツを作る上でより慎重さが求められる。

【寸評】記事の価値をどこに見出すかは人それぞれだが、「盗用」が検索上位に来る現状は不幸というしかない。

店舗に送付された「違反点数制度」関連の冊子

【3位】「楽天市場」で新制度や仕組み変更

国内最大の仮想モールである、楽天が運営する楽天市場。2016年もさまざまな動きがあった。中でも大きかったのは、9月から始まった「違反点数制度」。ルール違反を犯した際に点数を付与し、累積点数で罰則を課す制度や、店舗レビューで低い評価をしたユーザーに不満点を聞き取り、原因が店舗にあると判断した場合のペナルティーを設けるというものだ。不適切な店舗を排除することで、これまで以上にモールの質を上げていくのが狙い。

一方、実施は17年からとなるものの、店舗に大きな影響を与えそうなのが、出店者向けの新決済代行サービス「楽天ペイ」。これまではカード決済のみ楽天決済代行サービスを利用する必要があったが、今後は銀行振込やポイント支払いなどすべての決済手法が楽天ペイに統一されることになる。全決済高から楽天に手数料を支払うため、決済関連費用をトータルで計算すると、店舗によっては負担が重くなるケースも出てくる。

【寸評】モールの「品質向上」につなげるための施策を打ち出す楽天。店舗への還元は流通額の大幅増が一番。

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