ネスレ日本、栄養素加えた抹茶の定期購入を開始 ――スマホ診断でパーソナライズ化

質問への回答踏まえて1人ひとりに最適なカプセルを提案

ネスレ日本は3月1日から、栄養素を加えた抹茶の定期購入を開始する。スマホなどを使って食事や生活習慣を診断し、診断結果にあった専用カプセルを提案する。診断は、スマホやタブレット端末のウェブブラウザ上の回答や、専用のカメラアプリを使った食事記録のデータを分析して行う仕組み。一人ひとりに不足しがちな栄養素を摂取できるパーソナライズ化したサービスで他社との差別化を図る。

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栄養素加えた“抹茶”は7種類

開始したサービスは「ネスカフェ ウェルネス アンバサダー」。抹茶に栄養素を加えた専用カプセル「ネスレ ウェルネス抹茶」を用意して、個人の食事や生活習慣に合った栄養素を選んで摂取できるようにする。
カプセルは7種類を用意して、カリウムやカルシウムなどを摂取できる抹茶「ブルー」や、ビタミンAやビタミンCなどを摂取できる「グリーン」など不足しがちな栄養素を補う4種類と、「グルコサミンプラス」など、機能性成分を加えた3種類を提案する。「日本人はビタミンやミネラル、食物繊維が欠けがち。何種類のカプセルを用意すれば足りるか研究した」(高岡浩三社長兼CEO)と話す。
価格は15個入りで1350~1620円。1個あたり約100円として、手軽に摂取できるようにした。同社が販売する抹茶カプセルが1個55円で、約2倍の価格を設定した。
専用カプセルは本格コーヒーを抽出できる「ネスカフェ ドルチェ グスト」を使って抽出する。カプセルの定期購入などの一定の条件を満たすと、無料で使うことができる。カプセルをセットするだけで簡単に抽出でき、来客にも出しやすいことから、友人の紹介などで新規客の獲得につなげることも考えているようだ。

スマホやタブレット端末でチェックし、診断結果に合わせたカプセルを抽出する

スマホで簡単に栄養素をチェック

専用カプセル「ネスレ ウェルネス抹茶」は、食事や生活習慣の診断結果に合致したものを選んで摂取してもらう仕組み。「サプリメントのパーソナライズ化をはかっていく」(同)と説明する。
診断では、食事のチェックに肉や魚、果物などの摂取の有無や摂取量を問う4個の質問を用意した。当てはまるものを選んで回答する簡単なチェック方法で、専用カプセル4種類の中から1種類を提案する。

また、生活習慣の診断は28の質問を用意して、食事に関する質問に加えて運動量や喫煙、飲酒、人付き合い、体型、好みなどを踏まえてチェックする。「グルコサミンプラス」などを加えた7種類の中から最適なカプセルを提案する。

質問への回答を踏まえて食事や生活習慣を評価し、「主菜や副菜、果物を摂取できている人が不足しがちな5つのミネラルの補給をサポートブルー」、「野菜や果物などの摂取が少ない人が不足しがちなビタミンA、C、Eなどの補給をサポートするグリーン」などと、最適なカプセルを提案する。

これと併せて、ユーザー向けに「ネスレウェルネスカメラアプリ」を無料で配信する。食事の写真やメモをアプリを通じて送信すると翌日に、食事の評価や摂取すべきカプセルを記載したメールを届ける。

メールには、食事の内容を踏まえて不足している栄養素を補うことができるカプセルを4種類の中から提案する。このほか、会員の専用ページでは、過去の食事スコアの記録やダイエットアドバイス、レシピの提案などを行い、サービスのパーソナライズ化を図っていく。あわせて、会員向けに脳トレーニングサービス「ブレインHQ」を用意している。脳をエクササイズして、情報処理能力や記憶力を鍛えて健康寿命の延伸につなげたい考え。

立ち上がりは「申し込みは目標の倍のスピード」

これまでに北海道で1年をかけてテスト販売を実施してきた。まずはオフィスを中心に利用企業を増やし、順次、家庭向けに拡大してきた。既存顧客からは「簡単に飲める」、「朝の目覚めが良くなった」、「ビタミンやミネラルを摂取できるので肌に良い」などと好評だったという。また、栄養素を補う4種類を日によって使い分けるケースも出ており、「毎日、食事チェックを行い、その日に飲むものを決めている」というユーザーもいるという。
3月1日からは、全国展開を開始して、テレビCMなどの広告を出稿して新規客獲得を図っていく。テレビCMでは、専用カプセルは10種のビタミンと5種のミネラルを配合して、手軽に足りない栄養素を補給できることや、足りない栄養素を診断しておすすめの抹茶カプセルを選んで摂取できるメリットを訴求している。
新規顧客を対象に、自社通販サイトで利用できるポイントをプレゼントするほか、職場で導入する人を対象に同社の人気チョコレートの「キットカット」をプレゼントするキャンペーンも実施。立ち上がりは好調のようで、「目標の倍のスピードで新規客獲得が進んでいる」(同)としてる。
今後は、主力のチョコレート「キットカット」に栄養素を加えた製品を開発する予定。「キットカット」は携帯性に優れているほか、抹茶味が好調だという。旅行などの外出先でも、簡単においしく足りない栄養素を補えるようにしたい考え。

「抹茶をキャリアにサービスを展開する」

同社は3月7日に、事業戦略発表会を開催し、高岡社長兼CEOは新しいサービスについて「抹茶を『キャリア』に、足りない栄養素を美味しく手軽に摂取できるようにし、健康面での課題解決を提案する」とす。
サプリメント市場は1.6兆円といわれる。だが、サプリメントを飲む人の中で栄養バランスを気にしている人はいても、不足している栄養素を意識している人はほとんどいないことに着目した。
ネットを使って不足している栄養素を診断し、結果に合わせて一人ひとり最適なサプリメントを提案することで、既存のプレイヤーとの差別化につなげる狙い。
キーとなる素材は「抹茶」だ。元々ポリフェノールが豊富に含まれるなど、健康志向のニーズに合致。さらに、チョコレート菓子「キットカット」や、本格カフェシステム「ネスカフェ ドルチェ グスト」を通じて高い国内シェアを持つ、宇治抹茶のブランディングや消費拡大を狙い京都府との連携協定も結んでいる。

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