コロナ禍続くEC市場を振り返る!!ーー2021年のネット販売業界の10大ニュース

 2020年に引き続き、新型コロナウイルスに翻弄された2021年。前年同様、巣ごもり消費増などがEC市場に恩恵を与えた一方で、前年からの反動減などコロナによって生じたマイナスの影響も大きく受けた1年だった。このほか、仮想モールらプラットフォーマーへの規制法が施行されたり、ECの集客施策に大きな影響を与えるアフィリエイト広告に対する規制が強化されたりなど今後のEC市場の行方を左右しかねない新たな動きもあった。2021年におけるEC業界の10大(重大)ニュースを振り返る。(※ニュースおよび順位は本誌編集部が独断と偏見で選びました)

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1位 コロナ禍がEC業界に大きく影響

楽天市場は今年も好調だった(画像は9月2日に開催された出店者向けイベント「楽天 EXPO2021」における、楽天グループ三木谷浩史社長のオンライン講演か らキャプチャーしたもの)

2021年も2度に渡り緊急事態宣言が発出されるなど、引き続き新型コロナウイルスの感染拡大に振り回されることになった。

 本誌姉妹誌の通販新聞が21年12月に実施した読者アンケートでも、「21年下期は前年割れの傾向になったものの、20年から続くコロナ禍による通販市場の拡大は堅調で、特に大手モールの流通規模は小売り市場の占有率を一気に高めた」「新しい生活様式の常態化で巣ごもり需要の増加及び、スマートフォン・SNS使用率の増加により通販利用が定着する中、市場は拡大していく」「コロナ禍収束後も、食品を中心とした顧客の一定の巣ごもり需要、移動を抑制したライフスタイルは定着し、通販のMD構成にも影響があると見込む」といった声が各企業から聞かれるなど、EC市場は21年も大きく拡大したようだ。

 特に目立つ傾向として挙げられるのが、実店舗からECへの需要の移行といえよう。漫画や同人誌、アニメグッズなどを販売する虎の穴では、コロナ禍による購買行動の変化を受けて、主力事業として展開していた店舗事業「とらのあな」を短期間で縮小し、オンライン事業主体へと切り替えた。2年前は26店舗あった店舗を、10店舗まで減らしたものの、ECをはじめとするオンライン事業を強化したことで、21年6月期の売上高は、ほぼ前年同期並みで推移したという。

 大手仮想モールも引き続き流通額を伸ばしたようだ。楽天グループの7~9月における、ショッピングEコマース(楽天市場と日用品、衣料品、書籍、ネットスーパーなど同社直販事業のほか、フリマアプリなど)の流通総額は、前年同期比8.7%増となった。三木谷浩史社長は「楽天モバイルやポイントパートーナーなど、さまざまな経路からの流入でユーザー数が拡大しており、リピート率もコロナ禍の時期から維持している。また、ジャンル戦略により楽天ファッションは絶好調で、ユーザビリティーは競合他社を上回った」などと好調の理由を説明する。

 また、KDDIとauコマース&ライフが運営する「auPAYマーケット」でも、流通額は前年比約19%増で推移。特に、緊急事態宣言が解除された10月以降は、アウトドア用品、ゴルフ関連用品、釣り具などが伸びているという。

寸評:ECに注力する企業や新規参入する企業が増えたことで競争が激化している。

2位 プラットフォーム規制が施行へ

JADMA はオンラインモールの相談窓口に7人の相談員を配置する。
相互理解を深めるため、特定 DPF サイドとの定期的な協議の場も視野に入れる。

 政府によるプラットフォームの規制法の整備が進む。規制は、事業者間取引の「公正性の確保」、「消費者保護」の両面が行われる。

 21年2月には、「デジタル・プラットフォーマー取引透明化法」が施行された。経済産業大臣が指定した特定DPF(デジタル・プラットフォーマー)に、利用者への取引条件の開示の義務付けなどを軸にしている。

 特定DPFは、国内売上高3000億円以上のオンラインモール、同2000億円以上のアプリストアを対象にしている。これらプラットフォーマーを対象に、「取引拒絶の基準」「有償サービス利用を要請する場合の内容・理由」「検索順位を決める基本事項」「商品・売上データの取得・使用条件」「他の事業者へのデータ提供の可否、取得・提供の方法、条件」等の開示を求める。規定に慕わない場合は、国が開示を勧告。これに従わない場合、命令する。命令違反は100万円以下の罰金も規定された。また、自主的な取り組みの体制整備は指針で示す。苦情・紛争処理システムの整備や業務を管理する「国内管理人」の配置を求める。

 苦情処理や情報開示の状況は、毎年、自己評価した報告書の提出を義務づける。経産省はこれを評価。独占禁止法違反のおそれのある事案は、公正取引委員会に対処を要請する。

 評価について、経産省は、事業者相談の窓口を整備し、特定DPFによる自己評価を判断する材料にする。オンラインモールの利用事業者向けの相談窓口は、日本通信販売協会に(JADMA)に、アプリストアはモバイル・コンテンツ・フォーラム(MCF)に委託している。これら業界団体と連携を図り、プラットフォーマーを規制する。

 21年5月には、消費者保護の観点からプラットフォームを規制する「取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護に関する法律案」も公布された。1年以内に施行される。

 同法は、商品の安全性を判断する上で必要な情報に虚偽や誤認がある「危険商品」について、政府が販売停止の要請や商品名を公表できる規定を盛り込む。また、消費者が一定額以上の損害賠償を行う場合、プラットフォームに出品事業者等の名称や住所の開示を求めることができる権限なども盛り込む。

寸評:規制はイノベーション阻害への配慮から自律的規制が基本。違反の罰金が100万円など、抑止力が弱いとの指摘もある。

3位 アフィリエイト広告対象に初の措置命令

アクガレージ、アシストの商品を紹介するインスタ投稿

消費者庁は21年3月、T.Sコーポレーションに景品表示法に基づく措置命令を下した。アフィリエイト広告を対象に、広告主の関与を初めて認定したもの。以降、11月にはアフィリエイト広告だけでなく、インスタグラム投稿を対象に、アクガレージ、アシストの2社に景表法処分を下しており、〝第三者投稿〟に対する監視の目は厳しくなっている。

 SNSを対象にした点で後者は目新しいが、違反認定の構図はいずれも同じ。T.Sコーポレーションは広告素材をアフィリエイターに提供し、作成した内容に合意していたことから表示責任を認めた。アクガレージ、アシストも共同で事業を展開。インスタグラマーへの指示書、「♯(ハッシュタグ)」の指示などを行っていたことなどから関与を認定した。

 アフィリエイト広告の規制をめぐっては、広告主の責任を重くみる方向で検討会も行われており、今後、同様の処分が増加するとみられる。

寸評:媒体社、広告主ともに審査・管理強化に一気に舵を切り始めたが、動画広告など新たな問題も浮上している。

4位 ZホールディングスとLINEが経営統合

両社が経営統合を行った際の記者会見に登壇した新生Zホールディングスの川邊、出澤両代表取締役Co‒CEO

 日本を代表する大手IT企業が統合した。3月1日、ヤフーの親会社のZホールディングス(ZHD)とLINEが経営統合。ZHDの親会社のソフトバンクとLINEの親会社、ネイバーコーポレーションによる折半出資会社がZHDの親会社となり、ZHDの完全子会社として、ヤフーとLINEが傘下に入り、グループとして、両社がこれまで展開してきたネット検索やネット広告、メッセンジャーアプリなどのサービスを基盤にしつつ、互いに掛け合わせてさらなる規模拡大を図る。

 3月1日に開催した記者会見に登壇した川邊代表取締役社長Co‒CEOはコマース事業について、ヤフーやLINEが展開中、または展開予定の互いのEコマース関連事業を掛け合わせることで規模拡大を進め、ZHDが数年前から繰り返し掲げてきた、流通総額で先を行く競合の楽天やアマゾンを抜き、「2020年代前半までにEC物販取扱高で国内ナンバーワンになる」との目標の達成を改めて強調した。

寸評:大手IT企業の統合はEC市場に与える影響も大。ECでも徐々に連携を進めているが22年はより加速か。

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● 【2021年のEC市場を振り返る 5~10位】
● 【2021年のEC市場を振り返る 番外編①②③】
● 【2021年のEC市場を振り返る 識者に聞く】
 ・EC物流 ラストワンマイル協同組合 志村直純理事長
 ・EC法環境 「薬事法広告研究所」 稲留万希子代表
 ・セキュリティ EGセキュアソリューションズ 徳丸浩社長
 ・越境EC Cafe24Japan 正代誠社長
● 【2021年のEC市場を振り返る 年表】
● 【2021年EC業界の主な出来事】

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