押さえておきたい「LINE」のEC活用法 第5回(最終回) 【LINE ショッピング】

当コーナーでは、国内に7100 万人の月間アクティブユーザーを抱える「LINE」の活用法について、LINE の担当者に解説してもらいます。5回目となる今回は「LINEショッピング」を取りあげます。LINEショッピングは今年6月15日に開始したアフィリエイトモデルのサービスです。EC 実施企業が参加し、LINE ポイントをフックにしてLINEユーザーを購入に促すという仕組みです。10月には同サービスの会員数が1000万人を超えるなど、利用者は増加しています。LINEショッピングの特徴や運用のコツなどについてLINE BizセンターO2O事業室EC サービスチームの松田一樹氏に詳しく説明してもらいます。

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LINE LINE Biz センター O2O 事業室 EC サービスチーム  松田 一樹 氏

どんな仕組みになっているの?

LINEポイントはLINEが提供するポイントサービスですが、LINEショッピングでは購入額に応じて0.5~20%のLINEポイントがユーザーに付与されます。ECサイトの情報をLINEで預かって、「LINE」アプリ内のLINEショッピングで表示し、ユーザーが商品などをクリックすると参加各社のECサイトに遷移するという仕組みになっています。ECサイトからはLINE経由の売り上げ額に定率を掛けた金額をLINEにお支払い頂き、その内の一部がユーザーに対してLINEポイントとして還元される仕組みになっています。

6月のサービス開始時点では参加しているのは約150サイトでしたが、現状では約200 サイトに増えています。開始時に間に合わなかったサイトや、開始後に参加を希望されたサイトなどが追加されました。今も参加サイトは規模の大小や商材に関わらず随時受け付けています。ホームページやLINEショッピング経由で申し込んでもらえれば順次返信していきます。参加の可否はLINE ショッピングとの親和性やサイトのパフォーマンスなどを見てこちらで判断しております。

現時点では大手通販企業やアパレルブランドなどのほか、大手仮想モールも複数参加しています。結果的に商材はアパレルや雑貨、インテリア、家電、コスメなど幅広くそろっており、およそ700 万点にのぼります。

アパレル や雑貨、 家具など およそ 700万点 にのぼる 商材を幅 広く取り そろえて いる
アフィリ エイトモ デルの 「LINE シ ョッピン グ」は、10 月に会員 が1000 万人を突 破した

どのくらい利用されているの?

LINEショッピングは6月の開始から順調に拡大しており、10月末に発表した数値によると、LINEショッピングと7月に開始した宅配サービスの「LINEデリマ」を合わせた9月の決済高は前月比で38.8%増加しています。LINEショッピングの会員も10月3日時点で1000万人を超えています。

一般的なポイントサービスなどの場合、改めてそのサービス専用のアプリをインストールしたり、会員登録する必要があるため、そこが障壁となって会員数が伸び悩む原因になりがちです。

しかしLINEショッピングは「LINE」内で展開しているため、「LINE」からユーザーが流入してきます。アプリを改めてインストールする必要がありません。すでに「LINE」を使う際にユーザー登録は済んでいるので、LINEショッピングの規約に同意するだけで使い始めることができ、非常に簡単です。
新規ユーザーをどれだけ獲得できるかというのは、メディアとしての価値に直結するところですので、これに関しては非常に大きなアドバンテージがあると思っています。
とはいえ、「LINE」の月間アクティブユーザーが7100万人ですので、この会員数1000万人という数字はまだ少ないと感じています。まだまだ新規ユーザーの開拓は進めていきたいと考えております。

LINE ショッピングでは新規獲得 に力を入れており、ポイントプレ ゼントなどの企画も実施している

強みや特徴についてもっと教えて

LINEショッピングでは商品を購入するとユーザーにLINEポイントが付与されますが、LINEポイントは決済サービスの「LINE Pay」で1P 1円として交換して、JCBカード加盟店でご利用になれます。また、スタンプなどを購入できるLINEコインやギフトカードなどと交換することも可能です。普段ポイントサービスと言うと、なかなか貯めにくいため、ユーザーのモチベーションが上がらないのですが、LINEポイントであれば少し貯まっただけでアイテムに交換できるため、貯めるモチベーションが非常に高いことが強みだと思っています。

コンバージョン率や新規率が高いのもLINEショッピングの特徴です。通常のポイントサービスでは、既存客がポイント目当てで利用するというケースが多くなりがちですが、LINEショッピングでは事前のテスト段階ですと、あるアパレル企業の新規率が38%になりました。LINEショッピング経由で100人が購入したとして、そのうちの38人がそのサイトの新規だったという計算です。
ECサイト側としては、LINEショッピングに集客面で期待されることが多いと思われますが、同時に新規率の高さも評価いただいています。LINEショッピングに初めて訪れるユーザーも一定の割合で増えていますので、ECサイトへの新規率も開始時点からそれほど落ちていません。最近の新規率計測でも、数カ月掲載を経てもなお25%を超えるファッションEC様がいらっしゃいました。
LINEショッピングとしても、新規獲得に力を入れており、新規に注文されたユーザーにはLINEポイントを特別に上乗せする、などの施策をECサイトと協力して行っています。サイトごとでもキャンペーンとして新規客にポイントを多く付与する取り組みをされています。

LINEは氏名住所などの情報を預かってはいませんが、『アカウントを作り直す』コストが非常に高く付きます。その結果、新規セール目的のアカウント再作成の影響を受けにくくなり、このような取り組みに積極的に踏み込んでいけるのです。

そもそも売れた時だけ設定していた手数料が発生するというアフィリエイトの場合、EC 事業者にそれほど手間がかからないのであれば、リスクはありません。その上で“いいメディア”であるかどうかは、ユーザー数の多寡になります。つまり会員は多いほうがいいので、これからも獲得を進めていきます。

スマホのホーム画面に専用アプリ を追加できる「ショートカットア イコン」機能を提供
LINE 公式アカウントを通じて、 キャンペーン情報などの配信も 行っている

どういった運用方法が有効なの?

現時点で会員傾向としては、女性が多く、年齢で見ると20~40代が目立ちます。とはいえ、比較的様々な層に利用されており、このあたりは「LINE」のアクティブユーザーの属性がそのまま反映されていると言えるでしょう。
現時点ではLINE公式アカウントを通じて、特定のユーザーに対してセールの情報を告知してキャンペーンを盛り上げるといった取り組みを行っています。「LINE」で推定している「みなし属性」を活用し、性別などの属性別に情報を配信しています。LINEショッピングの目的が、ユーザーとブランドをつなぐことですので、ブランド側からユーザーにリーチするためのお手伝いの一環という位置づけです。

EC事業者側もブランドの公式アカウントなどを通じて自由にLINEショッピングに送客することが可能です。あるいはスタンプで友だちを獲得し、そのユーザーに向けてメッセージを配信してLINEショッピングに誘導して、そこで刈り取るという方法も有効です。

休眠顧客の掘り起こしも可能です。例えば何年も購入実績がなく、メルアドによるコンタクトポイントしかないという場合であっても、そのメールアドレスにLINEショッピングのブランドページのURLを送信するのです。ブランドの専用ページでは買い物だけでなく、「LINE」の友だち追加ボタンも用意しています。仮にそこで友だちになると、これまでのメールアドレスのほかに「LINE」でもリーチできるようになるのです。

サイト向けの販促機能などはあるの?

LINEショッピングでは、一部の参加サイト向けにショートカットアイコンという機能を提供しています。これはブランド専用のアプリのようなもので、ユーザーは自身のスマートフォンのホーム画面に追加された専用アイコンを通じて直接お気に入りのサイトにアクセスすることができます。もちろんサイトで購入すると、LINEショッピングで提供しているポイントも付与されます。

ECサイトが各社独自にアプリを作られる例がありますが、メンテナンスに大変手間とコストがかかっていると思われます。アイコンにするメリットはウェブと比べて、2つあります。1つはユーザーのスマートフォンに対してプッシュ通知できること、もう1つはユーザーの画面で常に目にとまる位置にあることで流入を狙うことです。
LINE は1つ目のプッシュ通知に関してはメッセージ送信でカバーできていました。今回専用アプリにすることで、ユーザーの画面を占領することができ、よりECサイトの入り口に相応しい形になれたのではないかと思っています。現在、ショートカットアイコンは一部の仮想モールや通販サイトにのみ対応していますが、この機能を開始した9月の1カ月間で見ると、ショートカットアイコン経由で買い物したユーザーは全体の約4割にのぼっています。今後はこのアイコンに対応したサイトを増やしていく予定です。

今後は何が可能になるの?

現時点ではLINEショッピングの会員登録は、LINEアカウントというベースがあり、後は規約に同意するだけで非常に簡単な仕様になっています。LINEショッピング自体が1,000万会員を早期に達成したのはこれが理由です。これと同じことが各ECサイト内の会員登録や決済離脱を防ぐためにも使えると思っています。
具体的には、各ECサイトにソーシャルログイン機能「LINEログイン」を導入してもらうと、ユーザーはいちいちそのサイトのメールアドレス・パスワードを覚えなくともログインして会員登録することができるようになりますので、離脱防止につながります。さらに言うと、決済手段に「LINE Pay」を入れていただくと、ログインは「LINEログイン」、決済は「LINE Pay」とLINE 関連サービスですべて完了します。その結果、コンバージョン率の向上につながると思われますので、この2つのサービスの導入を検討していただきたいと思います。

LINEショッピングは現在、ECサイトのゲートウェイです。しかし、将来的には実店舗でも利用してもらうことを想定しています。LINE ショッピングで発行するバーコードを店舗のレジで読み込んでもらい、その際にカートに入っている金額分のポイントを付与するというイメージです。この仕組みを手軽に導入できるシステムをLINEで考案しており、すでに特許も出願しております。このようにオンラインだけでなくオフラインもにらんだサービス展開も検討しています。

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