LINEペイ、通販サイトの購入を一気通貫で ――「LINE」内のユーザー情報を活用

LINEペイ営業統括本部Partner sales事業部の橋本 亘平氏

LINEの子会社でモバイル決済サービスを手がけるLINE Pay(LINEペイ)は7月9日、通販サイトで購入する際に氏名や住所などユーザーが「LINE」に登録している情報を使ってスムーズに購入できる機能「LINE Checkout(チェックアウト)」の提供を始めた。加盟店の通販サイトであれば「LINEペイ」のインターフェース内でシームレスに購入が完結する仕組みで、CX(顧客体験)の向上につなげていく。

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「UXがシームレスで早い」

LINEチェックアウトでの購入では、ユーザーが通販サイトで「LINEペイ」を選択すると、専用アプリが立ち上がり、その後の手続きは同アプリ内で進行する。

多くのスマートフォンにはLINEアプリが入っており、最初からログイン状態が保持されているため「LINEペイ」での買い物時も改めてログイン作業を行う必要がない。ユーザーのログインの手間を省き、少ないタップ数で購入フローがシームレスに進み、最後に6桁のパスワードか指紋や顔認証で完結する。なお、LINEチェックアウトでの購入フローを使った際の決済手段は「LINEペイ」のみとなる。

LINEペイ営業統括本部Partner sales事業部の橋本亘平氏はLINEチェックアウトについて「UXがシームレスで早い」と説明する。他社のID決済の場合であればログインの作業が必要なのに対して、LINEチェックアウトはすでにログインされた状態で立ち上がることから、手軽に購入までできるのが強みになるようだ。

「パソコンであればキーボードを叩けるが、スマホのインターフェースではいかに入力を減らしてタップだけで済ませられるかが大事になる」(橋本氏)。そうした観点から少ない操作で購入を完了できるLINEチェックアウトの提供によって「スマホ経由のEC購入の部分をとっていきたい」(同)とする。

登録ユーザー情報を活用

「LINE Checkout」による購入フロー。ログインが不要でシームレスに購入が完了するのが特徴

LINEではユーザーが任意で自身の名前や住所、電話番号、メールアドレスなどを入力して提携サービスで利用できる機能として「LINE Profi le+(LINEプロフィールプラス)」を提供している。LINEチェックアウトでは、LINEプロフィールプラスを活用し、通販サイトでの顧客情報の登録から決済、配送までワンストップで提供していく。

プロフィールプラスに個人情報を登録しているユーザーであれば、LINEチェックアウトに加盟する通販サイトで購入する際に、新規の会員登録やパスワードの管理、配送先などを入力する手間がなくなる。

仮にプロフィールプラスに個人情報を登録していなくても、LINEチェックアウト加盟店の通販サイトで買い物をする時に入力した情報は、ユーザーの同意を得てプロフィールプラスに登録される仕組みになっている。ユーザーは2回目以降の購入時からその情報が利用できるため、登録作業は不要になる。

プロフィールプラスの登録者数を増やすために、これまでもLINEスタンプと交換に登録を促したり、フードデリバリーサービスの「LINEデリマ」で新規ユーザーが登録する住所情報をプロフィールプラスに反映するといった取り組みを、ユーザーの同意を得た上で実施している。その結果、現在の登録者数は非公表だが、「増えている」(同)という。

購入情報からリテンションも

「LINE Profi le+」の初回登録時の画面イメージ。 一度登録した情報は2回目からの購入時に利用で きる

LINEチェックアウトに加盟する通販サイト側は、LINEが抱える月間アクティブユーザー8000万人を超えるユーザーに対してリーチが見込める。

通販サイトに会員登録をしないゲスト購入の場合でも、LINEチェックアウト経由の決済後にプロフィールプラスに登録される氏名や配送先住所、電話番号、メールアドレスといった顧客情報が通販サイト側に提供される。通販サイトはその情報を使って会員化やリテンションなどの取り組みに生かすことができる。

橋本氏は「決済手数料だけで、顧客の情報も取得できる。決済手数料をコストではなくマーケティング費用として展開することも可能」と述べる。

「LINEペイ」の決済手数料は物販の場合では3.45%で、LINEチェックアウトではそれ以外の費用はかからない。LINEチェックアウトの導入に要する期間は、企業の状況により1~6カ月程度だという。

LINEペイとしては今後多くの通販サイトでLINEチェックアウトの導入を進める上で、カート会社などとの連携を進める。その一方でカスタマイズのECプラットフォームを使っている大手の通販サイトなどについては個別に提案を行っていくようだ。

先行事例としてファッションブランドを展開する「マイケル・コース」や、チャット飲食予約の「ビスポ」といったサイトにLINEチェックアウトの導入が決まっている。

LINEペイによると、「仮想モールは自社で会員を管理しているので、あえてLINEから住所情報を連携しなくても、会員になって買うのが前提なのでニーズは少ないと思う。一方で自社ECは会員になってもらうのが大きいハードルになるので、そうした企業さんの開拓に注力したい」(橋本氏)としている。

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