第19 回目となる本誌によるネット販売企業の売上高調査「ネット販売白書」の結果では、ネット販売(BtoC の物販)実施企業上位300 社の合計売上額は4兆4612 億円となった。前年調査の4兆556 億円に比べて10.0%拡大した。前回に引き続き、アマゾンジャパンがトップを独走しており、2位以下を大きく引き離している。競争の激化や、運賃の値上げなど、事業者にとってはマイナス要因がある中で、ネット販売市場規模は拡大を続けている。売上規模上位300 社の実績に加え、商品ジャンル別の市場動向などを紹介する。
首位のアマゾンは2ケタ成長を維持、ロハコも再成長へ
【商材別EC 市場調査総合・日用品】
首位のアマゾンジャパンは引き続き、品ぞろえの拡充や有料会員「アマゾンプライム」の増加施策などが奏功。また、昨夏に実施した大型セール「プライムデー」も期間中の注文数が過去最高となるなど売り上げは順調に拡大したようだ。また、日用品でタイプの異なるプライベートブランド(PB)商品の積極投入を開始したり、衣料品などを取り寄せて試着してから購入できる有料会員向けサービス「プライム・ワードローブ」のスタート、決済サービス「アマゾンペイ」の実店舗での対応開始などさらなる成長に向けた新たな試みも開始している。さらに期中には東京・目黒駅前に新たなオフィスを構えたほか、可動式商品棚「アマゾンロボティクス」を導入した物流拠点を大阪・茨木市内に新設するなど設備投資も着実に行い、さらなる規模拡大に向けた準備も整えている。
アマゾンの対抗馬、LOHACO の状況は?
アマゾンの対抗馬として注目されるアスクルが運営する「LOHACO(ロハコ)」。17 年に発生した大型物流センターの火災で大きく売り上げを落とした18年度から一転、休止していた販促キャンペーンの再開や「ヤフーショッピング」への出店など新規顧客獲得策を強化するとともに、買い回りを促す化粧品などの品ぞろえの拡充、「ロハコ」内で展開するマーケットプレイスの出店者増などで順調に業績を拡大。ただ、前年は売上拡大に大きく寄与していた中国人による中国国内での転売が目的とみられるオムツなどの消費材を軸とした大量注文が中国国内での供給過多により、同様の注文量が当期にはなく、伸び悩んだことなどで期の後半は失速したものの、「ロハコ」単体の売上高は20%超の増収と再成長を遂げた。19 年に入り、筆頭株主のヤフーと「ロハコ」の主導権などを巡って対立が表面化しているが、ヤフーグループのスマホ決済サービス「PayPay」の導入やヤフーが10月に新設する「PayPayモール」へ出店を決めるなど事業面での協業は引き続き、積極化させていく方針のようだ。