ヤフーショッピング無料化、その後は?~キーマンが語る次の一手~

  • 2014年3月25日
  • 2020年8月26日
  • 特集1

「全部、無料」――。ヤフーが2013年10月に発表した仮想モール「ヤフーショッピング」における「eコマース革命」から5カ月。思惑通り、出店者や取扱商品数は拡大しているようだ。ただし、加速度的に増え続ける“売り場”に対し、その“整備”が追い付いておらず、売り手買い手双方にとって「売りにくい」「買いにくい」といった不都合が起きているという指摘も出ているという。注目されたヤフーショッピングの無料化の後の現状や次の一手とは。ヤフーショッピングを担う3人のキーマンが語った。

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5カ月で6万店、1億品まで拡大 次はタオバオ流の生態系作りへ

日本の“タオバオ”を目指せ!――。ヤフーが3月13日に、東京・六本木の本社内で開催した開発者向けのイベント「ヤフーショッピングデベロッパーミーティング」で、昨年10月に出店料の無料化や外部リンクの自由化などを柱とした新戦略「eコマース革命」を実施した仮想モール「ヤフーショッピング」の現状と今後の戦略について発表された。

「eコマース革命」の発表後、昨年12月時点で出店希望者数は9万件を突破。実際の店舗数も6万店(※アカウントの発行ベース。審査完了後の開店準備中の店舗も含む)まで拡大したという。これに伴い、モール内の商品数も拡大し、無料化前に比べて3割増となる1億品弱まで増えているという。

これにより昨年はマイナス成長に転じた流通総額も回復基調に戻ったようで、昨年12月の月次流通総額は過去最高を記録。2014年に入っても1、2月と流通総額は10%程度の増加を維持しているという。

要望への迅速対応でオープン化

店舗や商品の数が増え、流通総額も増えてくると噴出してくるのは「売り手」および「買い手」双方からの要望。「もっと顧客を増やしたい」「販促の効果を高めたい」という出店者側からのニーズや「商品が多すぎて適切な商品が見つけられない」といったユーザーからの声などだ。

もちろん、ヤフーとしてもシステム開発に携わる人員を1年前と比べて6~7倍まで増強し、サイト刷新やシステム改修、新たなサイト構築ツールの開発などを進めてきたようだが、「社内のリソースにも限界がある」(小澤隆生ショッピングカンパニー長)とし、無料化で膨らんだ「売り場」を売り手と買い手の双方にとって使いやすくし、さらに規模拡大を図るための次の一手として、打ち出した戦略の1つが「ヤフーショッピングのAPIのオープン化」だ。

ヤフーによると、ヤフーショッピングのビジネスモデルに類似しており、親会社のソフトバンクが出資している中国最大手の仮想モール「タオバオ」の戦略を参考にしたという。タオバオも立ち上げ当初は先行するアマゾンやイーベイと大きな差をつけられていたようだ。こうした状況を打破すべく、機能強化に注力。タオバオが持つツールや機能のAPIをフル公開することで、多くのサードパーティがそれらAPIを使ってタオバオの様々な機能を開発し、その便利な機能を出店者が活用してさらに「売り場」が活性化し、流通総額が増えていくという「タオバオ生態系」が生まれ、現在では18兆円(2012年度)という世界最大規模の年間流通総額を誇る圧倒的な「売り場」に成長するに至ったという。

ヤフーでもそのタオバオにならい、3月12日からまず、法人出店者向けに出品管理や商品管理、ページデザインなど約50本のAPIを公開した。これを第1弾として、4月以降は個人出店者などに向けたAPIを開放していく予定。また、7月には注文系APIなどを順次提供していく考え。

ヤフーショッピングの規模拡大をPRして、日本のデベロッパーを「ヤフーショッピングにビジネスチャンスがある」として巻き込み、タオバオと同様、ヤフーから手が離れたところでヤフーショッピングの機能向上が進んでいく「ヤフーショッピング生態系」を構築していきたい考えだ。卵が先か鶏が先かという議論になるが、API公開による新たな成長戦略もヤフーショッピングの流通総額が順調に伸び続けることが不可欠となる。成長できない「売り場」でいくら便利な機能を作って提供してもデベロッパーにとってはビジネスにならないからだ。今後もヤフーショッピングの成長の行方が注視されそうだ。

ヤフーショッピングのキーマン、小澤ショッピングカンパニー長や平田ショッピングカンパニープロダクション本部長らが語る「次の一手」など続きは本誌で。「月刊ネット販売」4月号の購入はこちら

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